孫 正義 グループ代表挨拶

2008年度 新卒採用合同セミナー「孫 正義 LIVE 2008」

2月21日、2008年度新卒採用セミナー「孫 正義 LIVE 2008」が、ソフトバンクモバイル株式会社、ソフトバンクBB株式会社、ソフトバンクテレコム株式会社の3社合同で開催されました。毎年恒例のこのイベントではグループ代表の孫が登壇し、就職活動中の学生の皆さんを前に、若い頃のエピソードやその時に抱いた思い、そしてソフトバンクグループの現在の事業内容まで幅広く語ります。オープニングは、坂本 竜馬の海援隊旗から着想を得た、ソフトバンクのブランドシンボルのビデオからスタートしました。

志を持ち、困難や苦労に正面から取り組んでほしい

ソフトバンクの孫です。

今、ビデオをご覧いただいたように、ソフトバンクのブランドシンボルとなる2本の黄色いラインは、坂本 竜馬が率いた海援隊の隊旗より着想を得ています。

私にとって、坂本 竜馬はあこがれのヒーローです。司馬 遼太郎さんの『竜馬がゆく』という本を初めて読んだのは15歳のころでしたが、人生観が変わりました。たった一度しかない人生の中で志を抱き、それを追い求める姿に感動を覚えました。
「夢」と「志」というのは似た言葉ですが、この二つには決定的な違いがあります。夢は、自分個人の願望を叶えることで、志とは個人のそれを超えて、多くの人々に貢献したいという気持ちを持つことです。私は、この志を持つことを、とても重要だと思っています。皆さんは現在就職活動をされていると思いますが、ぜひいろいろな会社を見て、「この人たちと志を共有したい」と思える会社を見つけてほしいと思います。坂本 竜馬を知って以来、私は「人生は一度しかない」という思いを強く持ち、様々なことにチャレンジしてきました。しかし、皆さんの年齢のころには、同じように多くのことに悩み、迷いました。皆さんは今、人生の大きな岐路に立っていると思います。自分について、社会との関わりについて思う存分悩み、たくさんのことを考えてほしいと思います。

私は26年前、ちょうど皆さんと同じ年齢のころに、日本ソフトバンク(現 ソフトバンク)を創業しました。九州の雑居ビルを間借りしてのスタートです。アルバイトを2人雇い、みかん箱の上に立って、「いずれ売上高を1兆円、2兆円と数えられる規模の会社にするぞ」と演説しました。

2人はそれを聞いてキョトンとして、1週間たったら辞めてしまいました。私のことを少し変わった人だと思ったようです(笑)。しかし、今やソフトバンクは連結売上高が1兆円を超え、グループ企業が約800社、社員数は17,000人規模となり、ほぼその時イメージしていたとおりの企業になっています。ただ、規模こそ大きくなりましたが、私の気持ちは当時とまったく変わっていません。
もちろん、これまでの過程には、様々な困難がありました。「ソフトバンクはもうつぶれる」と言われたことも何度もあります。ただ皆さんにお伝えしたいのは、例え困難があっても、自分の気持ち次第で人生は変わるということです。よく物事がうまくいかない理由を、周囲や社会のせいにしまうことがあると思います。自分のことをかわいそうだと思って、自分が間違った方向に行くことを正当化してしまう経験は、誰にでもあるでしょう。しかし、それでは自分が一番損をしてしまいます。むしろ困難や苦労を自分を鍛えるチャンスだととらえ、真正面から乗り越えていく。若いころからこうした経験をたくさん積めば、人生がまったく違ったものになるのではないでしょうか。

人々のライフスタイルを変えるソフトバンクグループ

人類は、これまで3つの大きな革命を経験しています。農業革命、産業革命、そして情報革命です。ソフトバンクグループが今まさに取り組んでいるのが、この情報革命です。デジタル情報革命を通じて、人々が知恵と知識を共有することを推進し、人類と社会に貢献することを目指す、これが我々の志です。

ソフトバンクグループは昨年から、携帯電話事業をスタートしました。携帯電話の機能は非常に早いスピードで進化しており、かつてパソコンでしかできなかったようなことも、今や24時間自分の手の中でできるようになっています。我々も、携帯電話をグループも重要な事業の一つにしたいと願ってきました。

3位からのスタートですし、ナンバーポータビリティー制度が始まる際には、「ソフトバンクは草刈場になる」と言われました。しかし先ほど申し上げたように、あらゆる障害が自分を鍛えてくれます。結果は、1月の月間純増シェアが43%、純増数は164,000件。この43%という数字は、前身であるJフォン、ボーダフォン時代を含めて過去最高値だそうです。私はこれを、ソフトバンクの将来の成長を予感させる出来事だと受け止めています。10年以内にナンバーワンになるという目標に向かって、4つのコミットメントである3Gネットワークの増強、3G端末の充実、コンテンツ強化、営業体制/ブランド強化に取り組み、いずれも順調に結果が出ています。

携帯電話以外の事業も着々と成長しています。Yahoo!動画、マイスペースジャパン、オッズパーク、サイバー大学など、皆さん耳にされたことがあるかもしれません。我々は、インフラとしてブロードバンドのソフトバンクBB、固定通信のソフトバンクテレコム、携帯電話のソフトバンクモバイルを有し、その層の上にポータルサイトであるYahoo! JAPAN、さらにその上に、多様なコンテンツを抱えています。大事なことは、つながった上で何ができるか、どう人々のライフスタイルを変えていけるかです。これがソフトバンクと他社との決定的な違いです。

志を共有できる仲間に集まってほしい

将来的にソフトバンクグループは、グループ企業5,000社の規模にしたいと思います。つまりそれには社長が5,000人、さらにはそれを支える経営陣が必要ですから、皆さんはその社長・経営陣候補というわけです。私は20代の時、「人生50ヵ年計画」というものを立てました。20代で名乗りを上げ、30代で軍資金をため、40代で一勝負し、50代で事業を完成させ、そして60代で次の経営陣にバトンタッチするというものです。今が49歳ですから、これからまさに事業を一つの形にするフェーズに入っていくわけですが、最後経営から引退する時は、ソフトバンクグループの社長やCFO、CTOが入る学校をつくって、経営者を育てていきたいと思っています。校長先生になる、それが私の最後のささやかな夢です。

本日ここに集まりいただいた皆さんの中で、ご縁があって我々と志を共にして下さる方々がいれば、とても幸せなことだと思っています。仮に、今後直接的なつながりがなくても、今日このような形で私の話を聞いていただいたことを、感謝したいと思います。
本日はありがとうございました。

(掲載日:2007年3月1日)