孫 正義 グループ代表挨拶

2009年度 新卒採用合同セミナー「孫 正義 LIVE 2009」

2月25日、冬晴れの渋谷C.C.レモンホール。今年も2009年3月卒業の学生を対象とした「孫 正義 LIVE 2009」が開催され、ソフトバンクグループ代表 孫 正義が約2,000名の就職活動中の大学生・専門学生を前に、情熱とチャレンジに満ちた人生、揺るぎない「志(こころざし)」について熱く語りました。

坂本竜馬が教えてくれたこと

ソフトバンクの孫です。

冒頭、皆さんに見ていただいたオープニングVTRは、幕末に活躍した坂本竜馬の海援隊を取り上げています。15歳のときに出会った小説「竜馬がゆく」が、私の人生を大きく変えました。竜馬は私利私欲や形式にとらわれず、あるべき社会の姿を考え、その実現に命を捧げた人物であり、私の憧れの人でもあります。人は何のために生まれて来たのか。社会はどうあるべきか。人は個人として尊重されるべきではないか。私も今まで、そういったことを真剣に考えながらソフトバンクの事業展開を進めてきました。

2006年4月に約2兆円かけて旧ボーダフォン株式会社を買収し、おかげさまで、携帯電話事業の新規契約数から解約数を差し引いた純増数において、2007年5月より連続してNo.1を獲得しています。

創業当初を振り返りますと、始まりは資本金1,000万円、福岡の小さな雑居ビル。みかん箱の上に乗り、たった2人のアルバイトに言ったことがあります。「豆腐屋さんの心意気でやるぞ!豆腐を1丁、2丁と数えるのと同じように、1兆、2兆と数えられるような規模の会社にする。これからはコンピュータの時代が来る。情報革命で、すべてが圧倒的に変わる時代がくる。そのためにやるんだ」。
私のことをよほど変わった人だと思ったのでしょう、1週間後、そのアルバイトの2人は辞めてしまいました。それから27年たった現在、ソフトバンクグループは社員数が約2万人になり、昨年の売上高は2.5兆円に達するまでに成長しました。

大きな志で ~何のために生まれて来たのか~

人生は、あっという間に過ぎるものです。その中で大事なことは、大きな志を持ち、その実現に向かって真摯に努力し続けることだと思っています。

「志」とは、自分のエゴではなく、多くの人に役立つ何かを成し遂げたいと思うことです。「志」を立てたなら、次に、それを実現させるためのより具体的で鮮明なイメージを描く。それがビジョンです。そのビジョンに向かって、さらに具体的な施策を組む戦略を立てる。そして、その戦略を実行する計画を練る。いちど志を持ったなら、それを成し遂げること、大きなところから目標に向かって取り組む姿勢が大切だと思います。

皆さんは来春、社会人として新しい一歩を踏み出す、いわば人生の岐路に立っています。今までの学生時代とは異なり、これからは自分の選択が大きく自分の人生を変えていくことになります。何のために生まれてきたのか、世の中に対してどのように貢献できるか、ということを誰よりも真剣に考えて、自分の価値を社会に問うことです。

世界一のインターネットカンパニーを目指して

ソフトバンクグループは、創業以来一貫して、「デジタル情報革命の担い手」として社会に貢献することを理念に、さまざまな事業に挑戦してきました。

2008年は携帯電話の「インターネット元年」になると考えています。CPUのパワー増大、HSDPA*1に代表される通信速度の向上、ディスプレイサイズの拡大など、携帯電話は話すためのツールから、より豊かなコミュニケーションのための「インターネットマシン」に進化しつつあります。今後は、インターネットビジネスを展開する企業が携帯電話業界を牽引していく時代となることでしょう。その中で市場の覇権を取るのは、「携帯電話におけるインターネット活用をより上手に提供できた会社」であり、「アジアでNo.1になった会社」です。

かつては、あらゆる産業において、アメリカでNo.1になる必要がありましたが、これからを10年20年というスパンで見るならば、アメリカではなく中国でNo.1になる必要があります。中国のNo.1である「アリババグループ」と日本のNo.1である「Yahoo! JAPAN」。両者の共通点は、ソフトバンクのグループ企業であることです。つまり、「アリババグループ」+「Yahoo! JAPAN」=「アジアNo.1インターネット企業」+「携帯電話」=「SoftBank」。このシンプルな算数こそがインターネットの分野で世界一になる公式です。ソフトバンクは、 世界一のインターネットカンパニーになりたい。志を共有する仲間たちと一緒に、大きな革命を起こしていきたいと考えています。

私にとってもっとも大切な事業の目的は、人々の生活をより豊かにすることです。ソフトバンクが提供する製品やサービスが本当にお客様の役に立ち、使っていただいた方に笑顔で感謝され、より豊かな社会のために貢献できたのならば、それこそ「生まれてきた価値があった」と言えるのではないでしょうか。

一緒に頑張りましょう。宜しくお願いします。

(掲載日:2008年4月1日)

[注]
  • *1HSDPA(High Speed Downlink Packet Access):3G移動体通信システムの標準化団体3GPPの「Release 5」で標準化された通信方式。