スプリント事業戦略

スプリント事業戦略「モバイル業界に変革を」マルセロ・クラウレ

より速く、より信頼できるネットワークで、さらなる付加価値の提供を

スプリントは、2018年4月29日、米国Tモバイルと合併するという画期的な合意に至りました※1。この合併は、全米で最初にして最高の5Gネットワークの迅速な構築を可能にし、通信業界における米国の、そしてわれわれの優位性を加速していきます。このネットワークは、農村部を含む米国全土にイノベーションの巨大な波と地殻変動を引き起こすために必要な「幅の広さ」と「密度」を兼ね備えるものです。そしてネットワークの規模と経営資源が拡大することで、将来的に、米国の消費者や企業に対し、従来の移動通信サービスの枠組みをはるかに超えた、驚異的かつ革新的なサービスを、より手ごろな価格で提供できると確信しています。また、この合併により、ネットワークの統合や販売網の合理化、販管費の効率化が進み、ランレートで年間60億米ドル以上(NPV(正味現在価値):430億米ドル)のコストシナジーが見込まれることから、株主価値の大幅な増大につながると期待されます。

[注]

再建計画に新たな節目を重ねる

2017年度は、契約数の増加、収益性の改善およびネットワーク品質の向上を同時に成し遂げ、再建5カ年計画のさらなる進展を見せました。この一年間、われわれの戦略的選択肢の可能性に関し、さまざまな臆測が飛び交いましたが、目の前の課題にしっかりと取り組み、実績を上げたスプリントのスタッフたちを、私はこの上なく誇りに思います。

特に2017年度の収益性については、4年連続でサービス原価と販売費および一般管理費合計で10億米ドル以上のコスト削減※2に成功するなど目覚ましい成果を残していますが、これは数年かけて懸命に取り組んできたコスト構造の見直しの成果です。さらに、ネットワークへの投資額は前年度から約70%増加しましたが、調整後フリー・キャッシュ・フローはプラスを確保しています。ネットワーク品質も収益性同様改善を続けており、Ookla社による通信速度テストでは、スプリントは、全米キャリアのうち、平均ダウンロード速度が過去1年間で最も改善したと評価※3されています。

収益性の向上:調整後EBITDA(米国会計基準)

収益性の向上:調整後EBITDA(米国会計基準)

一方、契約数について、ポストペイドとプリペイドを合わせた2017年度の純増数は、ここ5年間で最高となり、特に目覚ましい伸びを見せた1年となりました。特定地域でのみ移動通信サービスを提供する事業者やコムキャストのような新規参入事業者など、複数の事業者がひしめく市場環境の中、ポストペイド、プリペイド、法人の3領域全てにおいて、契約数の純増を達成しました。なかでも、2017年度のポストペイド携帯電話の純増数は60万6,000件となり、3年連続で増加しました。過去3年間における純増数はおよそ200万件に達します。

[注]
  • ※2
    ハリケーンの影響などの非経常要因で発生した費用を除く
  • ※3
    Ookla社が行った移動通信速度テストデータのうち、2017年3月と2018年3月のデータを比較した結果に基づく

5Gをリードする存在となるために

われわれが手掛ける通信ビジネスにおいてネットワークの品質が重要な鍵となることは疑いの余地がありません。ネットワークの改善で大きな手応えを感じていますが、次世代ネットワーク「Next-Gen Network」こそが、今後2、3年の間にスプリントを他社とは全く異なる強力な通信会社へ成長させる決め手になると確信しています。スプリントは、ギガビット級の高速ダウンロードを可能にする豊富な周波数を武器に、競争力のあるLTEネットワークを備えたキャリアとなるでしょう。LTE技術で強固なネットワーク基盤を確立することで強靭な5Gネットワークへの道を開き、顧客を異次元の通信体験へと導くことができるのです。

「Next-Gen Network」

2017年度は、われわれの次世代ネットワーク「Next-Gen Network」が大きく進展した1年となりました。

優れたカバレッジで大容量データ通信を提供するため、われわれは、既存大型基地局のほぼ全てを800MHz帯、1.9GHz帯、2.5GHz帯の3つの周波数帯に対応させています。2017年度は、その既存大型基地局を数千局という単位でアップグレードし、複数の周波数でLTEを利用できるようにしました。大型基地局のアップグレードは、多くの顧客に2.5GHz帯へのアクセスを提供することに注力して順調に進んでいます。さらに、複数のベンダーとともに通常の屋外小型基地局を展開したほか、ケーブルテレビ事業者とも協業し、数千の空中小型基地局(ケーブルに架設した小型基地局)の設置にも取り組みました。また、「Sprint Magic Box※4」は、導入後1年で、すでに全米約200都市で20万局以上設置され、飛躍的に改善された屋内外のカバレッジで平均ダウンロード速度が2倍速いデータ通信を顧客に提供しています。

ネットワークの改善、とりわけ大型基地局と小型基地局の2.5GHz帯対応地域拡張により、ネットワーク・パフォーマンスは向上しています。先述のOokla社による通信速度テストのデータが示すように、全米でのスプリントの平均ダウンロード速度は前年から36%改善し、全米キャリアの中で過去1年で最も改善したキャリアとなりました※3。また、都市別平均ダウンロード速度では、No.1となった都市が100にのぼり、前年の2倍以上となっています※5

また、Tモバイルとの合併合意の一部として同社と新たに締結したローミング契約により、カバレッジがさらに広がることとなりました。スプリントの顧客はスプリントとTモバイルのネットワークへのアクセスが可能となり、両社それぞれの強みを活用できることになります。

ユニークな周波数ポートフォリオ

われわれは、「Massive MIMO」のような革新的な5G技術を導入するなど、2019年前半に予定している5Gネットワーク立ち上げへ向けた準備を進めています。「Massive MIMO」は、ソフトウエアのアップグレードで5G機能をサポートできるため、われわれが保有する周波数を、LTEと5Gの双方に同時に活用することが可能となります。一方で、5G技術を生かしたネットワーク容量のさらなる増強を推し進め、5Gを活用する新しいサービスを提供します。

2.5GHz帯で幅広い帯域を保有するスプリントには、モバイル5G市場で優位なポジションにつける競争力があります。ミドルバンドである2.5GHz帯は、5Gにおけるスイート・スポットであると言え、全国でモバイル5Gサービスを展開するために必要な「カバレッジ」「データ容量」「速度」をバランスよく備えています。その2.5GHz帯で160MHz超の帯域幅を米国上位100都市圏で保有しているスプリントは、5G用周波数帯のうち6GHz以下の周波数帯ブロックを全国レベルで最も多く保有しています。つまり、スプリントは、5Gで実現できることに関して一切妥協する必要がない唯一のキャリアなのです。

[注]
  • ※4
    自動設定機能を備えた、低コストで、屋内外の顧客体験を大きく改善するためのLTE用小型基地局
  • ※5
    Ookla社が行った移動通信速度テストデータのうち、全米で移動通信サービスを展開する上位4事業者の、2018年1月1日から2018年3月31日のデータを比較した結果に基づく

ミシェル・コンブを中心に事業のさらなる効率化を

2018年5月31日付で私はスプリントのExecutive Chairmanへ就任し、CEOにミシェル・コンブが就任しました。株主価値の最適化のために最も重要なゴールであるTモバイルとの合併に関して、規制当局から承認を得られるよう私自らがその陣頭指揮を執ることが、この役員人事の狙いです。ミシェル・コンブは、米国や世界の通信業界における25年の経験を生かし、日々の業務執行をリードします。一方、私はソフトバンクグループ(株)の取締役副社長 COOにも就任し、ソフトバンクグループ傘下の企業と連携し、スプリントや合併後の新会社に新たなビジネスモデルを提供していく考えです。

われわれは、今後も、米国の消費者に世界最高・最速の5Gネットワークを提供し、株主価値の向上に全力で取り組んでいきます。

参考:スプリントのTモバイルとの合併

2018年4月29日、スプリントとTモバイルが、スプリントとTモバイルの全ての対価を株式とする合併による取引(以下「本取引」)に関して最終的な合意に至りました。本取引における合併比率は、スプリント株式1株当たりTモバイル株式0.10256株(Tモバイル株式1株当たりスプリント株式9.75株)であり、2018年4月27日の終値を基準とした場合、スプリントの企業価値は約590億米ドルと想定されており、統合後の会社の企業価値は約1,460億米ドルと見積もっています。統合後の会社は、クロージング時において健全な貸借対照表および投資適格を有する負債による力強い基盤に基づく資金の裏付けのあるビジネスプランを有することとなります。

本取引はスプリントとTモバイルの株主および規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を必要とします。本取引のクロージングは遅くとも2019年半ばまでに行われることを見込んでいます。本取引完了後、統合後の会社はソフトバンクグループの持分法適用関連会社となり、スプリントはソフトバンクグループの子会社ではなくなります。

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