2011年3月期 第1四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は2010年7月29日に、2011年3月期 第1四半期決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はオンデマンド配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催したアナリスト説明会の資料などをご確認ください。

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイル株式会社(以下、ソフトバンクモバイル)CFOの藤原が出席しました。
今回の決算説明会の模様は、ユーストリーム(Ustream)とツイッター(Twitter)に加え、ニコニコ生放送でも同時中継されました。

登壇した孫はまず、 今年6月に発表した「ソフトバンク 新30年ビジョン」についてふれ、「経営陣・従業員が、明確なビジョンを持つことができた。この『ソフトバンク 新30年ビジョン』作成を通じて、我々が一丸となり、今後どこへ・何のために向かっていくのか、どうやってそれを実現するのかということを真剣に考えることができたことは、今後の成長における大切なプロセスだった」と語りました。

また孫は、決算説明会の前日(2010年7月28日)に行われた「ソフトバンクアカデミア」の開校式について、「熱気あふれる将来の後継者候補が社内にたくさんいることが改めて分かり、非常にうれしく思った」と喜びを語りました。

ソフトバンクは、創業者である孫の後継者発掘・育成を目的とした「ソフトバンクアカデミア」を2010年7月28日に開校しました。開校にあたり、社外からも入校生を募集しています。

決算概要

続いて決算内容の詳細な説明に移ると、 孫は今回の決算説明会のハイライトが以下の3点であると説明しました。

  1. 2011年3月期 第1四半期 売上高5%増 2期連続過去最高
  2. 2011年3月期 第1四半期 営業利益45%増 5期連続過去最高
  3. 移動体通信事業で契約数とARPU*1が大幅増

2011年3月期 第1四半期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が7,008億円(前年同期比105%)、EBITDA*2が2,272億円(同123%)、営業利益が1,566億円(同145%)、そして経常利益が1,268億円(同161%)でした。移動体通信事業で携帯電話契約数とARPUが大幅に増加し、収益が拡大したことで、連結ベースでの増収増益をけん引しました。当期純利益は、税金費用が増加したことにより、前年同期から79億円減少し194億円となりました。

営業キャッシュフローおよび純有利子負債*3削減の源泉となるフリーキャッシュフロー*4は、それぞれ1,329億円のプラス(前年同期は1,320億円のプラス)と577億円のプラス(同565億円のプラス)となりました。

なお、3年間のフリーキャッシュフロー創出および純有利子負債削減目標に変更はないlことを改めて説明しました。ソフトバンクグループは2010年3月期からの3年間で累計1兆円超のフリーキャッシュフローを創出し、純有利子負債残高については、2012年3月末には2009年3月末の半分の水準に、2015年3月末にはゼロにすることを目標として掲げています。

また、これら目標の達成に向けて役職員へ新株予約権の有償発行*5を行うことを発表しました。役職員が新株予約権の権利を行使するためには、次の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 3年間累計フリーキャッシュフロー1兆円超創出(2009~2011年度累計)
  2. 純有利子負債半減(2011年度末まで、08年度末比)
  3. 営業利益累計1.1兆円超(2010~2011年度累計)

孫は、今回の新株予約権の発行内容である400万株と同数の自社株買いを行うことにより、希薄化は起こらないと説明しました。

iPadとiPhone 4の発売

事業の説明に移ると、今回特に好調だった移動体通信事業の業績をけん引した要因が、「2010年5月と6月にそれぞれ発売したiPadとiPhone 4だった」と説明しました。

iPadは、その特性を生かした法人の活用に期待が高まっています。法人活用例として、「これまで営業の現場で使われていたカタログや紙の書類などに代わり、今後はiPadが広く活用されるようになる」と説明し、すでにiPadの導入を表明している企業の事例について解説しました。

続いて話題がiPhone 4に移ると、はじめに「想像を遥かに超える数のご予約をいただき、出荷が追いついていない。今も多くのお客様をお待たせしている。大変申し訳ない」とお詫びをしたうえで、「iPhone 4にたくさんの関心を寄せていただいていることをうれしく思っている」と語りました。

基地局倍増計画進捗

次に、2010年3月期決算説明会(2010年4月28日開催)で発表した「基地局倍増計画」が順調に進捗していることをご報告しました。ソフトバンクモバイルでは、2010年3月末時点で約6万局あった基地局を2011年3月末までに約12万局まで増やすことを計画しています。2010年6月末現在、場所確定済みと1.5GHz帯で設計済みの基地局を合わせて9.4万基地局まで増やしており、計画達成に向けて順調に推移しています。また、無償提供を開始した家庭用のフェムトセルも2010年7月29日時点で3万件のお申し込みをいただいています。

さらに、「ソフトバンクWi-Fiスポット」も順調に拡大しており、スターバックスをはじめ、ミニストップやモトスミブレーメン通り商店街など、「ソフトバンクWi-Fiスポット」が利用できる店舗やエリアが広がっています。

米国Zynga社とのジョイントベンチャー設立を発表

決算説明会の後半、孫より米国のZynga社とのジョイントベンチャーであるZynga Japanの設立について発表しました。Zyngaは月間アクティブユーザ数2億3,000万人を誇る、世界最大級のソーシャルゲーム事業者です。世界最大のSNSサイトであるFacebookの人気アプリケーションランキングでは、上位10タイトル中6タイトルをZyngaのソーシャルゲームアプリが独占するなど、人気を博しています。

会場にはZynga Japanの社長に就任予定のロバート・ゴールドバーグ氏が登場し、ステージ上で孫と固い握手を交わしました。ゴールドバーグ氏は「世界的に重要な市場である日本で、ソフトバンクと手を組みZyngaのゲームを提供できることをうれしく思う」とスピーチしました。

[注]
  • *1Average Revenue Per User:1契約当たりの平均収入(10円未満を四捨五入して開示)。 収入および契約数にはプリペイド式携帯電話および通信モジュールを含む。
  • *2EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額+営業費用に含まれる固定資産除却損。
  • *3純有利子負債=有利子負債-手元流動性
    有利子負債:短期借入金+コマーシャルペーパー+1年内償還予定の社債+社債+長期借入金。リース債務を除く。ボーダフォン日本法人の買収に伴う事業証券化スキームにおいて発行された社債(銘柄:WBS Class B2 Funding Notes、 発行体:J-WBSファンディング)のうち、当社が2009年度に取得した額面270億円を除く。手元流動性:現金及び預金+流動資産に含まれる有価証券。
  • *4フリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー。
  • *5詳細は2010年7月29日付プレスリリース「新株予約権(有償ストックオプション)の発行に関するお知らせ」および「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」を参照。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

ストックオプションの条件に、「今年度と来年度の合計の営業利益が1.1兆円超」とあるが、今年度の計画が5,000億円ということから、自動的に来年度は6,000億円と考えて良いか。

A.

今年度と来年度の合算で1.1兆円超ということなので、来年度が自動的に6,000億円になるというわけではありません。

Q.

設備投資の進捗について教えてほしい。

A.

もともと今年度に4,000億円の設備投資をする予定はありませんでした。しかし、私がツイッターを始めて半年間、多くのお客様から「電波がつながらない」との率直なご指摘を受け、真摯に反省しました。その結果、今年の3月に、当初の予定より設備投資を大幅に拡大する「基地局倍増計画」を発表しました。

予定していなかった設備投資を一気に立ち上げるので、今年の上半期は場所探しや機材の調達、許認可の申請などに費やすことになります。実際の工事が進捗するのは下半期になると思います。第1四半期の設備投資額が金額的に少ないからといって、計画が遅れているということではなく、順調に進んでいます。

Q.

ツイッターで寄せられた声に孫社長自ら答えているが、お客様センターや店舗の役割とのすみ分けはどうなっているのか。

A.

お客様から直接お叱りや励ましのお言葉をいただく場を持てたことが、ツイッターを始めて一番良かったことだと思います。ぜひこれからも続けていきたいです。ただし、私一人でお答えできることは限られていますので、直接お客様のご対応をさせていただくのは今後もお客様センターやソフトバンクショップです。代表的な問題へのご指摘やご要望などに対して、まとめてお答えできることは私からお答えします。

Q.

ツイッターでいきなり重要事項を決めることについて、ガバナンス上の問題はないのか。

A.

ガバナンスについては、経営会議でもさまざまな議論がありました。当社役員からも「勝手にやりましょうと言わないでほしい」などと言われましたが、「やらねばならないと心から思うことに対して、やりましょうと言って何が悪いのか」と反論しました。もちろん、真剣に考えたうえで、我々がコミットできると思えるご意見やご要望に対してのみ「やりましょう」と言っていますし、一度「やりましょう」と言ったことは何としても実現させる、という意気込みで取り組んでいます。

当社の経営会議では、毎週「やりましょう」とコミットした案件の進捗を報告する仕組みができあがっており、その場限りにならないようにしています。経営の意思決定も早くなり、全体のマネジメントが改善されたと思っています。

Q.

ヤフー株式会社とグーグル社が提携したが、なぜグーグルの検索エンジンを選択したのか。また、マイクロソフト社が今回の提携に対して懸念を示していることについてどう思うか。

A.

ヤフージャパン(Yahoo! JAPAN)は自ら検索エンジンを持ったことがありません。設立当初から、米国ヤフーから検索エンジンの提供を受け、そこに日本独自のコンテンツや機能を追加・開発してきました。提供元である米国ヤフーが検索エンジンの継続を断念することが正式に決まったので、新たな検索エンジンを検討する必要がありました。複数の選択肢があり、マイクロソフト社のビング(Bing)も真剣に検討しましたが、日本語化が十分だと判断できませんでした。

したがって、もう一つの有力な候補だったグーグル(Google)の検索エンジンを選択しました。マイクロソフト社の検索エンジンを採用しなかったことと、同社が懸念を示していることとの因果関係は分かりません。

事前に公正取引委員会にも今回の提携が法令違反にあたるかどうか相談しましたが、広告市場は広告主同士がオークションで値段を決めることや、ヤフージャパンとグーグルでは広告のマーケットが違い、値段も別々の料金メカニズムで決まることもあり、専門家からも「価格の吊り上げや統制にはあたらない」という意見をいただきました。

Q.

グーグル社の検索エンジンを採用したことで、ユーザにとっては何が良くなるのか。

A.

日本語化が十分に整っていないマイクロソフト社のビングを使うよりは、すでに日本語環境が整っているグーグルの検索エンジンを使う方が、検索結果としては良いのではないかと思います。そこにヤフージャパンが持っている日本のコンテンツが追加されるので、結果的には今までよりさらに強化されると思っています。

Q.

他の移動体通信事業者のフェムトセルは登録制で制限されているのに対し、なぜソフトバンクモバイルはオープンなのか。その結果、他の回線事業者やインターネットプロバイダから「ただ乗りしている」などの批判もあるようだが、どのように説明するのか。

A.

フェムトセルが我々の「Yahoo! BB」のブロードバンド回線にしかつなげられないということであれば、「Yahoo! BB」のお客様にとってフェムトセルを利用できる機会が減ります。より多くの環境で使えた方がお客様にとってはより良いはずだと思います。「Yahoo! BB」以外のブロードバンド回線でフェムトセルを利用したからといって、それらの回線トラフィックが急激に増えるわけではないと思っています。ブロードバンド回線を提供している各社とは、有償・無償を含めた価格の交渉を行っています。

Q.

iPhone 4 ホワイトモデルが年内に発売延期された件についてコメントしてほしい。

A.

既に米国のApple社がコメントしているとおりです。追加のコメントは特にありません。

Q.

iPhone 4のアンテナ問題ついてコメントしてほしい。

A.

先ほどのご質問と同様です。米国Apple社がコメントしているとおりです。
しかし、私自身毎日iPhone 4を使っていますが、iPhone 4に替えてから急にアンテナの感度が悪くなったという実感はありません。むしろ、スピードも速くなって快適です。実際に日本のiPhone 4ユーザの皆様からも、iPhone 3GやiPhone 3GSに比べてアンテナの感度が悪くなったというご意見はほとんど寄せられていません。

Q.

Zyngaは具体的にどのように日本で展開するのか。現在、日本のSNSはiPhoneやiPadに対応していないが、その中でZyngaはどのような展開を見せるのか。ソフトバンクグループがプラットフォームを作ることもあるか。

A.

年内のサービス開始を予定していますが、それ以上のことについてはお答えできません。具体的な時期についてはコメントを控えさせていただきますが、複数のSNSと提携したいと思っています。

Q.

日本のSNSはiPhoneやiPadにほとんど対応していないが、今後は対応していくということか。

A.

その通りです。サービス提供開始段階では一般の携帯電話端末を対象にしますが、今後はiPhoneやiPadにも広げていきたいです。

Q.

iPhone 4の発売時に、頭金やオプションを設定しなければ契約できないという契約形態をやめるよう販売店へ指示を出していたが、なぜそうしたのか。

A.

一部の販売店でそのような契約形態で販売していたようですので、「私どもの意図と異なるのでやめてほしい」とお願いしました。しかし、その行為が価格統制に当たり、独占禁止法に違反するのではないかという懸念が浮上しました。

専門家に相談したところ、想定している価格よりも安い価格で販売しているものに対して「価格を下げるな」と言うのは独占禁止法に違反する可能性がありますが、想定している価格よりも高い価格設定で販売しているものに対して「価格を上げないでほしい」と要請するのは、米国の事例から見ても独占禁止法上問題にはならないということが明確になりました。これまでの日本では、それが明確ではありませんでしたが、米国での判例をもって、お客様を優先に考え、今回そのような対応を行いました。

Q.

販売店側から見ると、1台あたりの利益が数千円単位で減ると思うが、販売店に対する販売奨励金の増額や供給価格を抑えるという施策が行なわれているという理解で良いか。

A.

それによって販売店にインセンティブを与えるということはありません。

Q.

1.5GHz帯および2GHz帯への計3,100億円の設備投資額の内訳はどのようなものか。

A.

1.5GHz帯については、1,000億円までは行っていないが、数百億円の上の方です。

[注]
  • *iPhone、iPadはApple Inc.の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。