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2012年3月期 第2四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は2011年10月27日に、2012年3月期 第2四半期決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はビデオオンデマンド配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催した決算アナリスト説明会の資料などをご確認ください。

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    2012年3月期 第2四半期 決算説明会

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    2012年3月期 第2四半期 決算アナリスト説明会

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイル株式会社(以下「ソフトバンクモバイル」)CFOの藤原、同社CTOの宮川が出席しました。
今回の決算説明会の模様は、ユーストリーム(Ustream)やツイッター(Twitter)、ニコニコ生放送でも同時中継されました。

 

登壇した孫はまず、アップル社会長のスティーブ・ジョブズ氏の逝去を悼みました。「私がアメリカで学生だった頃、コンピューターの展示会で、当時発表されたばかりのApple IIを見る機会があった。とても衝撃的な出来事だったので、あの時のことはまるで昨日のことのように覚えている。もしジョブズ氏がいなかったら、コンピューターの世界は全く別のものになっていたと思う。この数年間、ジョブズ氏との友情により、我々ソフトバンクグループはさまざまな事業で、ジョブズ氏と近しく仕事をさせていただいた。ジョブズ氏と身近に接することができたことは、私の人生の中でもまぶしい記憶だ。ジョブズ氏が亡くなったことは大変残念。しかし、我々は、これからも進化し続けるテクノロジーの中で、人々に情報革命の素晴らしさ・幸せを提供することに努力していきたい」と述べました。

 

続いて、ソフトバンクグループが掲げているコミットメントの進捗状況について説明しました。ソフトバンクグループは、純有利子負債*1残高を、2012年3月末に2009年3月末の半分の水準にすることを目標として掲げていましたが、2011年9月末に、その目標を半年間前倒しで達成しました。さらに、2011年9月末時点の純有利子負債は、当初の目標だった2009年3月末の半分の水準よりも約2,000億円少ない0.7兆円となりました。その他に、2009年度から3年間で連結フリーキャッシュフロー*2を累計1兆円創出するとしていたコミットメントについても、半年間前倒しで達成しました。孫は、「資産を切り売りするのではなく、フリーキャッシュフローを積み上げたうえで負債を減らした。“ソフトバンクは借金過多”というのは、残存イメージである」と、大きく改善している財務状況について強い自信を見せました。

決算概要

2012年3月期 第2四半期のソフトバンクグループ連結業績は、売上高が15,356億円(前年同期比5%増)、EBITDA*3が5,331億円(同16%増)、営業利益が3,732億円(同18%増)、そして経常利益は3,144億円(同24%増)となりました。好調に推移する移動体通信事業がグループ全体の業績をけん引しました。特に営業利益は、6期連続で過去最高益となり、前年同期に引き続きKDDI株式会社(以下「KDDI」)を上回りました。そのほか、売上高、EBITDA、経常利益、当期純利益がいずれも過去最高を達成しました。さらに、純利益は前期比2.8倍の2,172億円と大幅増益となり、KDDIを初めて逆転しました。孫は、「株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「NTTドコモ」)も、あと何年間かで超えてみせます」と、今後のさらなる成長への決意を表明しました。

 

連結フリーキャッシュフローは2,352億円となり、3期連続過去最高となりました。また、純有利子負債が利益(EBITDA)の何倍であるかを示す純有利子負債/EBITDA倍率は0.7倍となり、健全性の目安となる1.0倍を切りました。利益の増加と負債の削減により、財務の健全性が向上しています。

今期の好調な決算を支えた主な要因は、グループを挙げて移動体通信事業に取り組んだことによる成長にあります。2011年4~9月期の携帯電話純増契約数は149万件で、圧倒的No.1を継続しています。また、昨年末にグループ傘下に入った株式会社ウィルコム*4(以下「ウィルコム」)を加えた累計契約数は2011年9月時点で3,105万件となり、5年間で2倍となりました。データARPU*5も順調に増加し、移動体通信事業の通信料売り上げも7,118億円(同14%増)と、高い成長性を示しています。その結果、移動体通信事業の営業利益でも、KDDIを初めて上回りました。世界の通信事業者と比較しても、ソフトバンクグループの移動体通信事業は、圧倒的に優れた成長を遂げています。

「霧は晴れた」

ここで孫は「ソフトバンクの成長は持続できるのか?」と書かれたスライドを映しました。10月に、KDDIからもiPhoneが発売されることが明らかになった直後、世の中では、「iPhoneの独占販売が崩れても、ソフトバンクグループは今後も成長を続けていけるのか」という疑問の声があがりました。そんな皆様の疑問の声に対して、孫は、「ソフトバンクグループはこれまでも、成長が難しいと言われた状況の中で、着実に成長を続けてきた。今回も必ずやり遂げる」と自信を示しました。

 

また、国内で初めて2つの移動体通信事業者からiPhoneが同時に発売されたことについては、家電量販店で行った事前調査の結果を公開し、「KDDI版iPhone 4Sの購入希望者がソフトバンク版iPhone 4Sの購入希望者を倍近く上回っていた」と説明し、「最大の危機」を感じていたことを明らかにしました。しかし、iPhone 4S発売後は、これまでのどのiPhoneよりも多くの予約をいただきました。

 

iPhone 4S予約受付開始直後にソフトバンクモバイルの予約システムの動作が停止状態となったことについて、「多くのお客様にご迷惑をお掛けして、大変申し訳ございませんでした」と陳謝したうえで、「前回iPhone 4を発売した時から予約数が20~30%増加すると予測しシステムを設計したが、実際には数百%以上の予約が殺到した」と説明しました。iPhone 4Sの販売は引き続き大変好調で、現在(説明会当日現在)も在庫がない状態が続いています。

 

孫は、「これまで多くの方から『ソフトバンクグループの業績が好調なのは、iPhoneの独占販売のおかげだ』というお声をいただいてきた」と述べ、「今回KDDIからもiPhoneが発売されることになったが、iPhone 4Sの予約数、純増数、業績、どれをとっても変わらず好調で、まるで霧が晴れたような思いだ」と語りました。しかし、「iPhone 4S」をめぐるKDDIとの競争は今後も続きます。この点について、ソフトバンク版のiPhone 4Sが機能面などでKDDI版に負けないことをいくつかの例とともに紹介し、ソフトバンク版のiPhone 4Sに自信をのぞかせました。

 

一方、ソフトバンクモバイルが「唯一の弱点」としているモバイルネットワークについては、その弱点の克服のため、さまざまな努力をしていることを説明しました。基地局数は5年間で8倍になりました。またお客様からの指摘が多かった自宅などでの接続率も、現在では他社とほぼ同水準にまで改善しています。「ソフトバンクWi-Fiスポット」のアクセスポイント数は、他社を圧倒的に上回る125,000となり、11月1日からは、都営地下鉄線に続き東京メトロ全駅で、無線LANが利用できるようになりました。
そして、今年12月に免許申請が予定されている900MHz周波数帯の割り当てについては、その獲得に強い意欲を見せました。700~900MHz帯の電波は、建物内や山間部にも電波が届きやすいという特性を持つため、携帯電話にもっとも適した周波数帯と言われています。NTTドコモとKDDIは、すでに800MHz帯でサービスを提供していますが、国内大手移動体通信事業者3社の中で、ソフトバンクモバイルだけがこの有利な周波数帯を割り当てられておらず、より多くの基地局を建設しなければならないという状況が続いています。孫は、「もし900MHz帯が割り当てられなければ、ソフトバンクモバイルの利用者に対して不公平。ソフトバンクモバイルに割り当てられると信じているが、不退転の覚悟で取り組みたい」と、新周波数帯獲得に強い決意を示しました。その他にも、ソフトバンクモバイルは2年間で1兆円の設備投資を行うことを表明しており、今後もさらなるネットワークの改善に努めます。

さらなるインターネットカンパニーへ

孫は、今後の成長のための戦略についても解説しました。
まず、インターネットのモバイル化を推進してきた過去数年間を振り返り、ハード面・ソフト面のいずれもが、大きな発展を遂げたこと、特にiPhone、iPadの登場は、国内携帯電話業界の様相を一変させるインパクトがあったことに触れました。そして2020年には携帯電話出荷台数の90%がスマートフォンになり、パソコン端末出荷台数の70%がスマートパッド(タブレット端末)になるという予測を提示し、「これからはインターネットマシンの時代」になると説明しました。「端末メーカーには、3年前に『スマートフォン以外は持ってこないでほしい』と依頼した」という孫は、現在のスマートフォンの普及は、決して偶然に起こったものではなく、ソフトバンクグループが未来を予測し、戦略的に進めてきた結果であると強調しました。今後もスマートフォンは、ソフトバンクグループのモバイルインターネット戦略の重要な柱になります。

 

また、アジア戦略についてふれた後、2つの新たな投資案件についても説明しました。
ひとつは、世界規模でモバイル広告ネットワーク事業を展開するInMobiグループのInMobi Pte. Ltd.(以下「インモビ」)への投資です。モバイル広告は成長著しい分野ですが、インモビは世界で3.4億人への広告リーチ数を持ち、その数は急速に増加しています。ソフトバンクはインモビに対して1億ドルの出資をしており、来年4月までに追加で1億ドル出資する権利を行使することで、同社の筆頭株主になります。

もうひとつは、インド有数の企業グループであり、インド最大*6の移動体通信事業者であるBharti Airtel Limited(以下「バーティ エアテル」)を擁するBhartiグループとの合弁会社「Bharti SoftBank Holdings Pte. Ltd.(バーティ ソフトバンク ホールディングス、以下「BSB」)」の設立です。BSBはSNS、ゲーム、電子商取引など、インド国内において、さまざまなモバイルインターネット事業を展開します。孫は、「中国の次はインドと決めていた。その時が来た」と語り、バーティグループの持つ1.7億人の顧客基盤と、ソフトバンクグループが持つモバイルインターネットのノウハウが融合することで、インドで事業を展開するための基盤を作る考えです。

孫は、「ソフトバンクグループは筋金入りのインターネットカンパニーであり、インターネット原理主義者。モバイルは、やっと音声中心からインターネット中心へと姿を変えようとしている。いよいよモバイルインターネットの全盛期が始まる。ソフトバンクグループがもっとも生き生きと活躍する時代がやってきた」と語りました。そして、「201X年の間に4,000万回線、連結営業利益1兆円、さらに2014年度までに純有利子負債をゼロにするというコミットメントに変更はない」ということを改めて確認し、決算説明会を締めくくりました。

  1. 純有利子負債=有利子負債-手元流動性
    有利子負債:短期借入金+コマーシャルペーパー+1年内償還予定の社債+社債+長期借入金。リース債務を含まず。ボーダフォン日本法人の買収に伴う事業証券化スキームにおいて発行された社債(銘柄:WBS Class B2 Funding Notes、発行体:J-WBSファンディング(株))のうち、当社が2009年度に取得した額面270億円を除く。手元流動性:現金及び預金+流動資産に含まれる有価証券(当社米国子会社が保有していたYahoo! Inc.株式を除く)。

  2. フリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)=営業活動によるキャッシュフロー+投資活動によるキャッシュフロー

  3. EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額+営業費用に含まれる固定資産除却損

  4. 当社は、株式会社ウィルコムの発行済み株式を100%保有していますが、同社は会社更生法上の更生会社であり、当社と同社の間では有効な支配従属関係が存在しないと認められることから、子会社としていません。

  5. ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの平均収入。収入および契約数にはプリペイド式携帯電話および通信モジュールを含む。

  6. 契約者ベース

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」)が横浜ベイスターズを買収する動きがある。ソフトバンクは参入に賛成か反対か。

先週DeNAの経営陣から参入への意志と理由を伺いました。反対意見を持つ側からも、近々話を聞く予定です。両方の意見を聞き、最終的な考え方を決めたいと思います。現時点では中立の立場です。

反対側からは、DeNAの事業内容が野球に不適切という意見もあるが。

現時点ではコメントを控えさせていただきます。

福岡ダイエーホークス(現 福岡ソフトバンクホークス)を買収したことは、ソフトバンクグループの事業にメリットはあったか。

はい。しかも今年は記録的なリーグ優勝を成し遂げ、球団を買収して良かったと確信しています。まだクライマックスシリーズ、日本シリーズを控えているので、「短期決戦に弱いソフトバンクホークス」と言われないように頑張らないといけませんが、福岡ソフトバンクホークスが当社のグループで良かったと、心の底から思っています。

日本ではiPad 2が米国ほどは売れていなかった。今回の「アレ コレ ソレ キャンペーン」のおかげで、これまでより販売数が伸びていると思うが、何倍くらい売れているかなど、手応えを聞きたい。

iPhone 4Sの初動は大変好調でした。iPad 2も品切れの状態です。iPhone 4Sと同様に、iPad 2も数十%どころか、数百%伸びています。国内のスマートパッド(タブレット端末)の販売シェアは、iPad 2が約8割を占めていますが、キャンペーンを開始したことでさらに売れ行きが加速し、現在アップル社に緊急の入荷を依頼している状況です。また、iPhone 4S からiOS 5を標準装備していますが、これによりiCloudを使えるということが非常に重要な機能となっています。iPhone 4Sで撮影した写真や動画は、iCloudを通じて自動的にiPad 2へ同期することができ、iPadとiPhoneを両方使用する「二刀流」が正しい武士の作法という時代がついにやってきたと言えるでしょう。

Alibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」)について、今後は出資や株主同士のガバナンスの問題などが良くなり関係が強固になるのか、その点についての考えを聞かせてほしい。また、インドでの展開について、インモビに出資するに至った背景や、これからのBhartiグループとの取り組みについて教えてほしい。

アリババについては、一時期Alipay.com Co., Ltd(以下「アリペイ」)問題で、特に米国ヤフーとぎくしゃくしていたことがありましたが、少なくともアリペイ問題の明確な決着がついたことで、以前にも増して親しくなっており、同じビジョンを完全に共有した同士と感じています。従って、ガバナンス問題は全く懸念がなく、一枚岩であることを確信しています。
中国には7~8年前から本格的に参入しましたが、アメリカから日本、そして中国の次はインドと順番を決めていました。当社の社外取締役でもある、インドのバーティ エアテル CEOのスニル・バーティ・ミタル氏も、モバイルインターネットで世界一の先駆者であるソフトバンクグループからノウハウを聞き、全面的に提携したいということで、密に連絡を取り合いながら、半年以上かけて準備をしてきました。これから本格的に進めていきます。

「iPhone 4S発売前には100万台レベルの解約を予想していたが、発売後には思ったほど動きがなかった」と説明があったが、この要因をどう分析しているのか聞かせてほしい。

当社は、特にネットワークの増強を経営課題の最優先事項に据えて、1年以上前から改善に取り組んできました。ツイッターを通じて「電波が悪い」などの率直なご意見をたくさんいただき、2010年3月に、全力でお客様のご要望にお応えするため「ソフトバンク電波改善宣言」を発表しました。
それ以来、毎週さまざまなアンケート調査を実施していますが、ネットワークへの不満に関する項目の中で、解約に至る一番の要因が「自宅の電波状況」であることが分かりました。日本では、夜の9~11時に自宅で通話や通信をする利用者が多く、この時間帯に自宅が圏外だと、利用者にとってとても不便であることが分かりました。自宅圏外を改善するため、率先して住宅地の電波状況を改善していきました。その結果、自宅の圏外率は他社とほぼ同水準にまで改善しました。iPhoneの解約が当初想定していたよりも少なかったのは、おそらく、自宅でのソフトバンクモバイルの電波状況が世間で言われているほど悪くないと感じる利用者が増えてきたためではないでしょうか。
また、ソフトバンク版iPhone 4SとKDDI版iPhone 4Sは機能面で異なるということが口コミで広がりつつあるのも理由のひとつかもしれません。さらに、既存のiPhone 3G、3GSのお客様が無償でiPhone 4Sに買い替えできるキャンペーンも評価されたのだと思います。

900MHz周波数帯の許認可を受けた場合、2012年夏にサービス開始とあったが、どの程度900MHz帯を使えるようになるのか。現段階で行っている準備の状況について教えてほしい。

国内大手移動体通信事業者3社の中でソフトバンクモバイルだけが「プラチナバンド」と呼ばれる800MHz周波数帯の許認可を受けていない現状では、NTTドコモとKDDIが認可を受ける可能性は低いと考えています。イー・アクセス株式会社(以下「イー・モバイル」)も申請していますが、イー・モバイルは音声の利用者が少なく大半はデータ通信の利用者です。データ通信を利用する場合、スピードやトラフィックのキャパシティーが大切で、「24時間山奥でもつながらないと気が済まない」という利用者はあまりいないと思います。一方、緊急時などに音声がつながらないのは、死活問題にもなります。当社は音声とデータを両方提供しており、スマートフォン利用者が国内大手移動体通信事業者3社の中で一番多く、データのトラフィックも一番逼迫している状況です。12月に申請を受け付け、来年早々にはどの企業が許認可を受けるか発表になるわけですが、ソフトバンクモバイルでは既にバックボーンの検証を進めており、許認可をいただければ、数カ月で立ち上げる準備が整っています。

現在のネットワークのクオリティを「100」とすると、900MHz周波数帯の許認可後、サービスを開始した際に、どの程度接続精度やネットワークのクオリティが改善すると考えているか。

全体の接続率の数値は他社に追いついています。自宅接続率では国内大手移動体通信事業者3社ともに99%台の戦いです。都心では、通勤時の地下鉄のトンネル内で圏外になってしまう方が案外多くいらっしゃいます。これもNTTドコモ、KDDI、イー・モバイル、ソフトバンクモバイルで組織している、通称「トンネル協会」に私が副理事に名乗り出て、理事長に率直な意見を申し上げながら工事に取り組んでいます。新たに40~50m級の鉄塔も建設中であり、900MHz帯が割り当てられれば、山奥やスキー場、ゴルフ場、一部の住宅(屋内)、都心のビルの谷間などを一気にカバーできます。また、今我々が進めている基地局の小セル化、さらにWi-Fiを駅の周りに急激に広めることで、引き続きトラフィックのオフロードも行っていきたいと思います。今後の数値については、既に発表しているグラフで想定がつくと思います。

増配の予定はあるか。

増配は予定通り行います。

連結営業利益、移動体通信事業の営業利益が、ともに競合他社に比べて高い。NTTドコモやNTTグループ、KDDIと比較して伸びてきているが、今後どのくらいの利益率を想定しているのか。また今後どのようなキャッシュマネジメント、利益マネジメントをしていく予定か。

利益率を上げるために経営をしているわけではありませんが、健全な経営を行っていけば、利益率は着実に伸びていくと思います。この説明会の直前まで、当社の経営幹部と次世代の新しいサービスについて話し合っていました。画期的な新サービスを準備中で、実に楽しいです。モバイルインターネットの世界、情報革命の世界にはさまざまなチャンスが広がっています。無限大の可能性があると信じています。我々は単に数字上の営業利益や営業利益率を伸ばすだけではなく、事業そのものを伸ばしていく自信があります。

iPhone 4Sの発売前と発売後では、携帯電話番号ポータビリティ(以下「MNP」)はどのように変化したのか。

MNPはあくまでも基準のひとつです。おそらく、今後何カ月間かは、KDDIのMNPの増加傾向が続くと思います。しかし、それは我々の想定の範囲内です。我々は、純増契約数が一番大切だと考えており、その絶対値は、まだまだ増やしていける余地があります。大切なのは「総利用者数×ARPU」の推移です。ARPUは前年対比で増えています。我々が生み出した新規需要マーケットであるみまもりケータイやフォトフレームなどはARPUが低いのですが、そのARPUが今期積み増しされ、それでも総回線数におけるARPUが前年対比でプラスに転じているのが、第2四半期の結果です。今後も、総回線数を着実に増やすと同時にARPUもしっかりマネジメントしていきます。少なくとも国内大手移動体事業者3社の中で、当社のARPUはもっとも良く推移していると思います。

NTTドコモがXi(クロッシィ)端末を割安にして攻勢をかけてきたが、今後他社からこのような対策が出てきた場合、値下げや価格戦略をさらに推し進めるなどの対策を講じるのか。

NTTドコモがXiの提供を開始し、KDDIも当社の料金モデルに似た料金プランを発表しました。当社が「月月割」や割賦販売などの新しい手法を編み出したとき、「詐欺じゃないか」などという辛辣なコメントをいただいたこともありましたが、両社とも、今となっては当社と全く同じビジネスモデルを始めています。XiにおけるNTTドコモの料金体系は、当社がすでに展開しているものを意識していると思いますし、おそらくデータトラフィック効率の良い方にオフロードしたいというのが一番の目的ではないでしょうか。当社は静観するつもりです。

  • iPhone、iPad、iOS 5、iCloudはApple Inc.の商標です。

  • iPhone商標はアイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。