株主・投資家情報(IR)

事業等のリスク

2026年6月22日(有価証券報告書の提出日)現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下の通りです。これらのリスクが顕在化した場合には、

  • NAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出※1
  • LTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出※1。保有資産に対する負債の割合)
  • 財政状態および経営成績
  • ソフトバンクグループ(株)の分配可能額

に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクは、当社における全てのリスクを網羅しているものではなく、加えて、その対応策が十分に奏功する保証もありません。なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、2026年6月22日現在において判断したものです。

(1)グループ全体

当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ(株)が、子会社・関連会社および投資先(以下「投資先」)を統括するマネジメント体制の下、ASIの実現に不可欠な分野で積極的に投資・事業活動を行っています。当社の事業遂行における主要なリスクは、以下a~eに記載する通りです。
加えて、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業、ソフトバンク事業、AIコンピューティング事業における主要なリスクについては、それぞれ「(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」と「(3)ソフトバンク事業」「(4)AIコンピューティング事業」をご参照ください。

a.投資活動全般

(a)市場環境

当社は、AIに関連した情報・テクノロジー企業を中心に投資していますが、これらの企業に対する評価は技術進歩や市場規模の成長見通しによって大きく変動することがあります。したがって、当社の保有株式価値も、マクロ経済や金融政策、株式市場の動向などに加え、こうしたセクター特有の要因によっても影響を受ける可能性があります。また、非上場の投資先は、ベンチャー・キャピタル市場や新規株式公開市場の動向にも影響を受けます。
特に、Arm株式は当社の保有株式価値に占める割合が高いため、株価の変動は当社の保有株式価値へ大きな影響を与えます。なお、Armは連結子会社であるため、株価の変動は当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼすことはありません。
また、当社は外貨建て資産・負債の保有に伴い、為替変動の影響を受ける可能性があります。
なお、当社は、市場変動の影響に備えるべく、安定的な財務運営を目指しています。詳細は、経営方針・対処すべき課題における「(4)経営環境および優先的に対処すべき課題 2 財務方針の堅持」をご参照ください。

(b)国際情勢や規制の動向

当社は、日本だけでなく、米国、中国、インド、欧州・中南米諸国などの海外の国・地域に展開する企業等に投資しているため、これらの国・地域における政治・軍事・社会情勢の変化および法令・規制・制度など(以下「法令等」)の新設・強化(解釈や運用の変更を含みます。)により、当社の投資活動や投資先の事業活動が期待通りに展開できない可能性があります。法令等には、投資に関するもの以外に、AI、半導体、データセンター、エネルギー、通信サービス、インターネット広告、イーコマース、金融・決済、自動運転、ロボット、ロジスティクスなどの事業やその他の企業活動に関するもの(事業許認可、国家安全保障、輸出入、個人情報・プライバシー保護、環境、製造物責任、公正な競争、消費者保護、贈賄禁止、労務、知的財産権、マネー・ロンダリング防止、租税、為替に関するものを含みますが、これらに限りません。)が含まれ、当社の投資活動や投資先の事業活動は、これらの法令等の影響を直接または間接的に受けます。昨今、中東情勢、米中対立の激化、ロシア・ウクライナ情勢などを背景に、世界各国において国家安全保障の観点からの規制強化の動きも見られます。例えば、特定の国・企業に対する投資を制限する法令等の導入により、当社の投資活動が制約される可能性があるほか、投資回収の遅滞、投資回収における条件の悪化などが起こる可能性があります。また、各国において、特定の先端技術やその関連製品に対する輸出管理の強化や関税政策の変更に向けた動きも見られます。こうした地政学リスクの高まりにより、さらなるサプライチェーンの分断や、特定の製品・技術に関する輸出入の制限、貿易コストの上昇が生じた場合、投資先の事業や業績が悪影響を受ける可能性があります。
加えて、当社の投資活動に関係各国の規制当局からの承認等が必要となる場合や、投資先への関与に制約が加えられる場合があります。必要な承認等が得られないなど制約を回避できない場合には、当社の期待通りに投資や売却を実行できない可能性があります。
なお、当社は、外部のアドバイザーからの助言を受けながら、これらの外部環境の変化に関する情報収集を行い投資活動に及ぼす影響を検討するとともに、それぞれの規制に対応するよう努めています。また、投資ポートフォリオにおける特定の国・地域、業種への集中度を継続的に監視することなどにより、リスクを把握し経営判断に反映しています。

(c)投資先の事業展開

当社は、AIに関連した情報・テクノロジー企業を中心に投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指していますが、投資先のテクノロジーやビジネスモデルの陳腐化、競争環境の激化などにより、投資決定時に想定した通りに投資先が事業を展開できず、業績が大幅に悪化したり、事業計画の大幅な見直しを迫られたりする可能性があります。また、投資先が想定通りに事業を展開できない場合、当社は、投資先の株式価値の向上に必要と判断すれば、投資先に対し融資や債務保証、追加出資などを行うことがあり、その場合には、当該投資先に対するエクスポージャーが増加することになります。ただし、当社は救済のみを目的とした投資等は行わないことを基本方針としています。
なお、当社は、投資実行後も、投資先の財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異、コーポレート・ガバナンスの状況など、主なリスク要因を継続的に監視し、必要に応じて投資先の経営改善のための助言や、役員の派遣などを行っています。

(d)投資判断

当社は、投資の意思決定において、対象企業のテクノロジー、ビジネスモデル、競争環境、財務内容、法令遵守、ガバナンスまたは重要な影響力を持つ創業者や経営者の資質などに関するリスクを見誤ったまま投資判断を下す可能性があります。特に非上場企業においては、当社が投資判断の基礎とした情報の透明性、正確性、完全性が十分ではない可能性が相対的に高くなります。
なお、当社は、投資判断プロセスにおいて、社内関係部門による調査・検討に加え、必要に応じて外部の財務・法務・税務アドバイザーなどの協力を得ながら、対象企業の重要項目についてデュー・デリジェンスを実施し、投資に係るリスクを把握するよう努めています。それらの検討結果を踏まえて、ソフトバンクグループ(株)の取締役会、取締役会から権限を委譲された投融資委員会(「コーポレート・ガバナンス体制」を参照)、またはファンド運営子会社の投資委員会で投資判断を下しています。

b.資金調達

当社は、金融機関からの借入や社債のほか、保有資産を活用した資金調達(アセットバック・ファイナンス)、保有資産の売却などの多様な調達手段を活用しています。
金融機関からの借入や社債については、金利変動や信用格付けの変更などにより調達環境が悪化した場合、資金調達を予定した時期・規模・条件で行えない可能性があります。また、これらの債務には、各種コベナンツが付されていることがあり、抵触した場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。
Arm株式などをはじめとした上場および非上場株式を活用したアセットバック・ファイナンス(株式先渡売買契約を除きます。)については、対象となる保有株式の価値が下落した場合に、追加で現金担保の差し入れが必要となる可能性や期限前の返済義務が発生する可能性があることに加えて、新たな資金調達やリファイナンスに支障が生じる可能性があります。
保有資産の売却による資金調達については、市場流動性の低迷、市場ボラティリティ、契約上の売却制限、予定していた新規株式公開の遅延などにより、必要な時期に想定した価格で売却できない可能性があります。
なお、当社は、資金調達に係るリスクをコントロールするため、市場環境を注視した上で適切と考える時期、手法で資金調達を実施しています。特に金融機関からの借入、社債の発行やアセットバック・ファイナンスの実施にあたっては、様々なシナリオを想定した事前の検討・対応を行うことで各資金調達の安定性を高めています。こうした対応により、財務方針に基づき十分な手元流動性を維持することに努めています。

c.経営陣

当社の主要な子会社はそれぞれのCEOなどの下で、投資ファンドは後述のファンド運営子会社のCEOの下で、いずれも自律的に運営を行っていますが、当社の経営において中心的な役割を担っている代表取締役 会長兼社長執行役員 孫 正義に不測の事態が生じた場合には、当社の活動全般に支障が生じる可能性があります。
このような不測の事態が発生した場合における意思決定プロセスへの影響を最小限に留めるため、コンティンジェンシープランを策定しています。また、指名報酬委員会において、サクセッションプランについても定期的に議論しています。

d.OpenAIへの投資

2026年3月末現在、当社はSVF2を通じてOpenAIに対し累計346億米ドルの投資を行いました。加えて、2026年2月にOpenAIへの300億米ドルの追加出資を決定し、本追加出資に必要な資金の調達を主な目的として同年3月に総借入限度額400億米ドルのブリッジファシリティ契約を締結しました。2027年3月期は、本ブリッジファシリティの長期資金への借り換えや返済に優先的に取り組んでいく方針ですが、市場環境などさまざまな影響により、想定通りに行えない可能性があります。
AI分野では技術革新が急速に進展し、競争環境も激化しているほか、OpenAIの事業にはさまざまなリスクが存在します。例えば、優秀な技術人材の確保・定着や利用者数の拡大が十分に図れない、想定通りの時期や水準で収益を確保できない、大規模な計算能力および半導体の確保に関する長期契約に伴う負担が増大する、係争中の訴訟の結果による金銭的負担やレピュテーションへの影響が生じる、などのリスクを伴います。これらのリスクが顕在化した場合には、同社の事業展開や競争優位性、企業価値に影響を及ぼす可能性があり、当社の保有株式価値に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はOpenAIの少数株主であるため、同社の事業戦略や意思決定に対する影響力は限定的であり、当社が最も有益であると考える戦略がOpenAIの経営陣によって採用される保証はなく、さらに、戦略的または業務上の意思決定において、OpenAIが掲げる公共の利益というミッションが株主価値の最大化に優先されるおそれがあり、その結果、当社の投資家としての利益と相反する可能性があります。
さらに、将来的に同社が株式公開を行おうとする場合には、市場環境や規制動向などにより、当社または同社の想定通りの時期または条件で実現しない可能性や株式公開自体が実現しない可能性があります。この場合、同社の資金調達に影響を及ぼし、資金繰りが悪化する可能性があるほか、当社の保有株式価値や資金化の時期に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、投資実行後も、財務・経営情報や重要な経営指標、投資決定時の事業計画と実際の進捗の差異など、同社の主なリスク要因を継続的に監視しています。

e.AIインフラ

当社は、2025年1月、OpenAIのために米国内で新たなAIインフラを構築する「Stargate Project」をOpenAIなどと共同で発表しました。その一環として、2026年1月には当社子会社のEnergy GlobalがOpenAIと戦略的パートナーシップを締結し、テキサス州ミラム郡における1.2GW規模のAIデータセンター計画において、電力・通信接続設備などを備えたデータセンター用の建屋(パワードシェル)の建設を進めています。
また、2026年3月、米国エネルギー省(DOE)および米国商務省(DOC)は、当社、Energy GlobalおよびAEP Ohio(米電力大手American Electric Power Company, Inc.傘下の地域電力会社)とともに、オハイオ州パイクトンの「PORTS Technology Campus」において10GW規模の発電設備と10GW規模のAIデータセンターを開発する官民連携プロジェクトを発表しました。このうち9.2GW規模の発電設備の整備計画は、日米政府間の合意に基づく総額5,500億ドル規模の「戦略的投資イニシアティブ」の対象の一つです。
さらに、2026年5月、当社はフランスにおいて5GW規模のAIデータセンターを開発・運営することを発表しました。フランスにおける高性能な計算資源へのアクセスを拡大することで、急速に成長するAI分野をサポートすることを目的としたもので、当社は、Energy Globalおよびその他の戦略的パートナーとともに本プロジェクトを推進していきます。
当社は、これらのプロジェクトに多額の資金を要することを踏まえ、外部資金を活用することで自己資金負担を抑制しつつ、AIの活用拡大を支えるインフラの構築を推進する方針です。しかしながら、外部資金を予定した時期・規模・条件で確保できない場合や、その他さまざまな要因により、当社の想定通りに進まない可能性があります。

(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業

SVFは、主にAIを活用した成長可能性が大きいと考えるテクノロジー企業への投資を目的としたファンドであり、ファンドの存続期間の中でリターンを最大化することを目指しています。ソフトバンクグループ(株)は、各投資ファンドにリミテッド・パートナーとして出資を行っており、また、各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmを運営するSBGA、以下「ファンド運営子会社」)は、各投資ファンドの事業活動に応じて管理報酬、業績連動型管理報酬および成功報酬を受け取ります。
SVFを通じた投資やその運営における主要なリスクは、以下のa~dに記載する通りです。なお、本(2)において、「投資先」はSVFの投資先を意味します。

a.投資先の事業展開

多くの投資先は、AIや大規模で複雑なデータセットなどの新技術を活用し、従来にはない新たなビジネスモデルの実現を目指しています。このような企業が、計画通りに事業を展開し、利益の獲得や強固な事業基盤の確立を果たすには様々なリスクを伴います。例えば、技術の開発やビジネスモデルの実現を想定通りに進められず顧客や市場に合致する商品・サービスを継続的に提供できない、採算性がないため事業基盤の維持や技術開発に必要な費用を十分に確保できない、最新の技術を持つ他の新規参入企業や経営基盤の強固な既存企業との競争に敗れる、事業のスケーラビリティを確保できない、事業・地域の多角化への対応や経済・事業環境の変化への対応ができない、広告宣伝活動や営業人員の確保などの顧客獲得費用が計画を大幅に上回り利益を確保できない、複雑化する各国・地域のデータ保護やAI規制に対応できないまたは対応コストが増加する、などのリスクがあります。
また、国家安全保障における先端技術の戦略的重要性は近年高まっており、米中関係の悪化などを背景として、各国における規制が強化される可能性があり、その結果投資先の事業展開や期待する投資リターンに悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、事業展開に必要な資金を確保するに当たり、資金調達環境が悪化した場合には、想定していた条件で資金調達ができず、事業成長を損なう大幅なコスト削減や、当社持ち分の希薄化を伴う資金調達を余儀なくされる可能性があります。
なお、ファンド運営子会社では、投資承認プロセスや投資後の継続的なモニタリングを通じて、独立した投資リスク部門が中心となり、これらのリスクの早期の把握と軽減に努めています。

b.投資におけるエグジット機会の不足

SVFの保有株式等は、その投資規模や流動性の低さに加え、経済、法律・規制、政治などの要因による影響も受けるため、当初の計画通りに資金化できない可能性があります。さらに、契約またはその他の制約により、SVFは特定の株式等の売却を一定期間禁止される場合があり、想定通りの時期または有利な市場価格で売却できない可能性があります。
なお、エグジット戦略はファンド運営子会社の投資委員会において重要な検討事項となっており、慎重な議論を重ねた上で承認されます。エグジット戦略は、投資部門が継続的に見直し、更新するとともに、投資リスク部門がそれに対し様々な市場環境を想定したストレステストを実施しています。景気後退の可能性や、エグジットに時間を要する投資がありうることを想定し、SVFは存続期間が長期に設定されています。

c.保有する上場株式等

SVFの投資ポートフォリオには上場株式等が含まれています。これらの資産の保有には、投資先に関する情報の開示義務の増加、当該株式等の処分におけるSVFの裁量に対する制限、投資先の役員および取締役(ファンド運営子会社の従業員である場合を含みます。)に対する投資先株主からの訴訟提起およびインサイダー取引や利益相反の告発の可能性の増加、などのリスクを伴います。また、これらのリスクに対応する費用が増加する可能性があります。
なお、ファンド運営子会社は、計画的に上場株式等を売却する仕組みを構築しており、市場への影響を最小限に抑えつつ、売却額の最大化に努めています。また、米ドルに対する為替レートが不安定な通貨建ての株式等の為替リスクをヘッジする必要性について検証しています。
さらに、SVFが上場株式等を管理する上で発生する業務運営上のリスクやコンプライアンスリスクは、ファンド運営子会社のオペレーション、コンプライアンス、リスク管理の各部門が関与するコントロール・フレームワークを通じて管理されており、これにはポリシー、社員研修、社内通報制度、取引相手の確認などの取引承認プロセス、および取引後のモニタリングが含まれます。

d.人材の確保・維持

ファンド運営子会社は、受託者責任に基づき投資ファンドの保有株式価値の最大化を目的として、投資先を慎重に選定することに加え、投資後の成長を促す様々な支援を行います。このような取り組みの成功には、投資事業、テクノロジーおよび金融市場に関する幅広い専門的知見を有する有能な人材の確保・維持が不可欠です。ファンド運営子会社が柔軟な業務遂行を可能にする体制を維持できない、または有能な人材を十分に確保・維持することができない場合には、運営する投資ファンドの投資規模の維持・拡大や将来の投資成果に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、ファンド運営子会社は、投資・運用に求められる多様なノウハウを維持すべく、定期的な人事評価や組織の見直しに加え、研修や能力開発、スタッフが潜在能力を最大限に発揮できるよう行われる社内異動に至るまで、様々な人材サポートプログラムを提供しています。

(3)ソフトバンク事業

ソフトバンク(株)およびその子会社(以下「ソフトバンク(株)グループ」)は、コアビジネスである通信事業に加え、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」、「PayPay」などのサービスを提供しており、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野でビジネスを展開しています。ソフトバンク(株)グループにおける主要なリスクは、以下のa~fに記載する通りです。

a.市場環境の変化、他社との競合

通信関連市場において、ソフトバンク(株)グループは消費者の志向に合った商品・サービス・販売方法を導入していますが、料金プランや通話・データ通信の品質等の面で消費者の期待に沿えない場合やソフトバンク(株)グループが提供する商品・サービスに重大な瑕疵が存在した場合、ソフトバンク(株)グループの競争力が低下する可能性があります。また、法令・規制・制度などの制定、改正または解釈・適用の変更等により、ソフトバンク(株)グループが顧客に提供できる商品・サービス・販売方法および料金プラン等が実質的な制約を受け、収入の減少や金銭的負担の発生・増加が起きる可能性があります。
ソフトバンク(株)グループの競合他社は、資本力、商品・サービス、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、ブランド、知名度およびこれらの総合力などにおいて、ソフトバンク(株)グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用して商品やサービスの販売を強化した場合、ソフトバンク(株)グループが価格競争を含む販売競争で劣勢に立たされ、顧客を維持・獲得できない、またはARPU(1契約当たりの月間平均収入)が低下すること等により、収益性が低下する可能性があります。また、新興企業や新規参入者の商品・サービスがソフトバンク(株)グループの商品・サービスに対する競合となる可能性があるほか、ソフトバンク(株)グループが競争優位性を維持・確保するために、新規商品・サービスの開発や販売促進等に係る費用が増加する可能性があります。
ソフトバンク(株)グループは、重複する経営資源の効率化、意思決定の迅速化や事業間におけるより大きなシナジーの創出などを目的として、ソフトバンク(株)グループ内部において再編を行う場合があります。しかし、期待した再編の効果を十分に発揮できない場合や少数の経営陣に権限が集中する場合、展開するサービスの連携の不調・遅れ、戦略やシナジーへの悪影響、再編に伴う混乱、ガバナンスの不全などの問題が発生する可能性があります。

b.技術・ビジネスモデルへの対応

ソフトバンク(株)グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが早い情報産業を主な事業領域としています。特に生成AIやAIエージェントに関する技術の分野の発展は目覚ましく、既存のビジネスモデルに大きな影響を与えています。ソフトバンク(株)グループは、常に、最新の技術動向や市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験、および他社とのアライアンスの検討などの施策を講じていますが、新たな技術への対応が想定通りの時間軸に沿って進むこと、想定通りの効果を上げること、共通の基準や仕様が確立すること、および商用性を持つようになることについての保証はなく、また、これらの施策を行ったとしても、新たな技術やビジネスモデルの出現を含む市場環境の変化にソフトバンク(株)グループが適時かつ適切に対応できず、または迅速かつ効率的に設備を配備できないことにより、市場変化に適した優れたサービス、技術やビジネスモデルを創出または導入できない可能性があります。その場合、ソフトバンク(株)グループのサービスが市場での競争力を失い、ソフトバンク(株)グループが維持・獲得できる契約数が抑制される、またはARPUが低下する可能性があります。

c.情報の流出や不適切な取扱いおよびソフトバンク(株)グループの提供する商品やサービスの不適切な利用

ソフトバンク(株)グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っています。ソフトバンク(株)グループは、情報セキュリティ管理責任者の設置や役職員へのセキュリティ教育・訓練をはじめ、適切に情報資産を保護・管理するための体制構築を図っていますが、ソフトバンク(株)グループ(役職員や委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。
また、ソフトバンク(株)グループの提供する商品やサービスが詐欺等の犯罪に不正に利用された場合、ソフトバンク(株)グループの信用および信頼の低下を招く可能性があります。
こうした事態が生じた場合、ソフトバンク(株)グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力の低下や、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。
なお、特に主要な関係会社であるLINEヤフー(株)においては、同社が2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案に関し、総務省および個人情報保護委員会への報告を行い、行政指導および勧告を踏まえて推進していた再発防止策は、2026年3月末をもって、システム基盤を共有していた関係会社等とのシステム・ネットワークの分離、LINEヤフー(株)の環境における全体的な多要素認証の導入、業務委託先の管理高度化等の主要な技術的・組織的対策の実装を完了し、定常的・継続的な運用フェーズへと移行しています。また、2024年11月に同社が提供するサービスである「LINEアルバム」においてアルバムのサムネイル画像に他の利用者の画像データが紛れ込むという不具合が発生し、2025年3月28日に総務省より行政指導を受けました。同社は、再発防止策を講じるとともに、総務省への報告を完了しています。さらに、LINEヤフー(株)としての組織再編以降、同社およびそのグループ会社においては、グループ全体のデータガバナンスが円滑かつ適切に機能するよう体制を整備し、継続的にその強化に取り組んでいます。一方、昨今のサイバー脅威動向においては、ランサムウェア等による被害が深刻化しており、2025年10月にLINEヤフー(株)の連結子会社であるアスクル(株)において、ランサムウェア攻撃に起因するシステム障害により一部事業活動に影響が生じました。LINEヤフー(株)およびグループ会社では、こうした新たな脅威環境とグループ会社において発生した事案を重く受け止め、従来のセキュリティの取り組み全般に加え、ランサムウェア等の攻撃によるシステム停止を想定したデータの保全や、実効性のある復旧手順の検証をはじめとする対策を重点的に推進しています。しかし、LINEヤフー(株)およびそのグループ会社におけるこれらの取り組みならびにソフトバンク(株)によるグループガバナンス上の対応が適切ではない、または十分ではないと判断された場合、ソフトバンク(株)グループの信用の毀損、ソフトバンク(株)グループのサービスへの需要の減少等により、ソフトバンク(株)グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

d.業務の委託

ソフトバンク(株)グループは、提供する各種サービス・商品に係る販売、顧客の維持・獲得、通信ネットワークの構築およびメンテナンス、ならびにそれらに付随する業務の全部または一部について、他社に委託しているほか、情報検索サービスにおいて他社の検索エンジンおよび検索連動型広告配信システムを利用しています。ソフトバンク(株)グループは、サプライチェーン上のリスクの低減に努めていますが、業務委託先(役職員や関係者を含みます。)がソフトバンク(株)グループの期待通りに業務を行うことができない場合や、顧客に関する情報の不正取得や人権侵害等に関連する問題を起こした場合、ソフトバンク(株)グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
また、上述のような事象により当該業務委託先の信頼性や企業イメージが低下した場合には、ソフトバンク(株)グループの信頼性や企業イメージも低下し、事業展開や顧客の維持・獲得に影響を及ぼす可能性があります。このほか、当該業務委託先において法令などに違反する行為があった場合、ソフトバンク(株)グループが監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があるほか、ソフトバンク(株)グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。

e.関連システムの障害などによるサービスの中断・品質低下

ソフトバンク(株)グループでは、通信ネットワークや顧客向けのシステム、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」、「PayPay」をはじめとする各種サービスを提供しています。これらサービスにおいて、人為的なミスや設備・システム上の問題(自然災害など予測困難な事情に起因するものも含みます。)、第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどに起因して各種サービスを継続的に提供できなくなること、または各種サービスの品質が低下することなどの重大なトラブルが発生する可能性があります。ソフトバンク(株)グループは、ネットワークを冗長化するとともに、障害やその他事故が発生した場合に備え、復旧手順を明確にしています。また、障害やその他事故が発生した場合、規模に応じて事故対策本部を設置するなど、適切な体制を構築して復旧に当たっています。これらの対策にもかかわらず、サービスの中断や品質低下を回避できず、サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。

f.経済安全保障

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下「経済安全保障推進法」)に基づき、2023年11月16日にソフトバンク(株)およびLINEヤフー(株)は電気通信事業における特定社会基盤事業者(基幹インフラ事業者)に指定されました。2024年5月17日から本制度の規律が適用されていますが、ソフトバンク(株)またはLINEヤフー(株)が経済安全保障推進法が定める国による審査に適切に対応できなかった場合、当局からのソフトバンク(株)またはLINEヤフー(株)に対する事業の是正や中止の勧告、命令等の行政措置、それに伴う事業の一時停止、遅延、追加の設備投資ならびに追加の対策やコスト、ソフトバンク(株)グループの信用の毀損が生じる可能性があります。

(4)AIコンピューティング事業

AIコンピューティング事業では、ArmやAmpereをはじめとする半導体関連子会社が、ASIの実現に向けて、グループの半導体ビジネスの強化に取り組んでいます。Armは主に、CPU製品、コンピュート・サブシステムおよびその他の関連製品など、高性能かつ省エネルギーなArmコンピュートプラットフォームの開発とライセンス事業を行っています。Armは、CPU製品やその他の関連製品を、自社チップの設計を行う半導体企業やOEMなどにライセンスし、そこで設計されたチップは、デバイスメーカーによってスマートフォン、タブレット、PC、自動車などの最終製品に組み込まれます。Armの収益は、主に、Armのテクノロジーのライセンス収入およびライセンス先の企業がArmの製品を含むチップを販売することにより生じるロイヤルティー収入からなります。また、Armは、より包括的で最終市場に最適化された設計への投資、個別IPを超えたサブシステム設計の提供などを通じて、提供製品の範囲を継続的に拡大しています。2026年3月には、「Arm AGI CPU」を通じて、同社のコンピュートプラットフォームを自社設計シリコンチップの領域へと拡張しました。Ampereは、Armのコンピュートプラットフォームを活用し、AIコンピューティング向けの高性能かつ省エネルギーなCPUの設計に特化することで、Armの設計力を補完しています。当事業においては、Armが占める資産価値および売上高の割合が高いことから、Armに係る主要なリスクを、以下のa~kに記載しています。

a.業界動向の変化

Armのテクノロジーやサービスに対する需要は、半導体およびエレクトロニクス産業の動向に大きく依存しています。これらの産業は、変化と競争が激しい上、各世代のチップの平均販売価格がそのライフサイクルを通じて下落するという特徴があります。また、Armのライセンス収入も、半導体企業およびデバイスメーカーがArmの新しい製品を採用する頻度に大きく依存しているため、これらの企業の製品に対する需要の影響を受けます。デバイスメーカーによる、Armベースのチップへの需要の減少は、Armの収入に悪影響を及ぼします。
Armの成功は、その製品およびサービスが、半導体企業やデバイスメーカーに受け入れられるかどうかに大きく依存しています。市場には競合するアーキテクチャーがあり、Armの製品が市場で引き続き受け入れられる保証はありません。
また、半導体およびエレクトロニクス産業はますます複雑化し、設計および製造コストは増加の傾向にあります。そのため、Armの顧客の多くは、設計自動化ツール(EDA)や設計した半導体の製造にサードパーティを利用しています。Armはこれらのサードパーティと緊密に連携し、自社の技術とサードパーティのEDAや製造プロセスの互換性を確保しています。しかしながら、互換性の確保が適切に行われなかった場合や、EDAや半導体設計に関する情報へのアクセスが妨げられた場合、Armの製品に対する需要が減少する可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するために、Armの経営陣は定期的に戦略と長期の製品開発計画を見直し、将来のニーズを満たす製品の開発に努めています。また、半導体やエレクトロニクス業界の多くの顧客や企業と連携することで、状況の変化を察知し、適切な対応を図る体制を整えています。

b.競合

Armは、他社との競争に加え、設計および製造技術の進歩、ソフトウエア開発の効率性、エンドユーザーのニーズや業界標準の変化、頻繁な新製品の導入やアップグレードなど、変化の激しい事業環境に晒されています。x86のような確立された技術や、RISC-Vのような無償のオープンソースの技術など、既存および新規の市場参加者との競合が今後も継続すると予想されます。加えて、「Arm AGI CPU」のような自社設計シリコンチップへ参入し、提供する製品を拡大したことにより、Armの重要な顧客などとの間で対立が生じる可能性があります。さらに、ArmがIPライセンスを提供してきた顧客の多くは、特定の市場においてArmと直接競合する可能性があります。
Armの競合他社が、開発・広告宣伝・販売により多くの経営資源を投入することで、価格、顧客対応、性能、品質の面でより優れた製品・サービスを提供した場合、Armは競争上の優位性を確保するため、相当規模の経営資源の投資が必要となる可能性があります。
なお、Armは、主要な半導体企業と密接に連携し、リスクの軽減に努めています。Armは、Armベースのチップの構築や適合するソフトウエア開発の知識を持つ多くのエンジニアからなるエコシステムを確立しており、それに投資することで、様々なArmベースのチップの開発・維持コストのさらなる削減に努めています。

c.新製品の開発およびビジネスモデルの変更

競争力を維持するため、Armは、顧客の要望や市場機会に対応し、既存の製品・サービスの強化や、新しい製品・サービスの創造、開発を継続することが不可欠です。そのため、Armは経営資源を投入し、新規市場の開拓や、さまざまな最終市場における既存および潜在顧客に向けて、新たな製品やソリューションを検討しています。これには、ArmのIPだけでなく、コンピュート・サブシステム、チップレット、およびエンド・チップ・ソリューションなど、IP設計を超えたソリューションも含まれます。さらに、Armは新製品の実現可能性の検討および開発に向けて、引き続き経営資源を配分するとともに、エコシステムパートナーとの連携を進めていく方針です。しかしながら、こうした新規市場への参入や新たなソリューションの提供は、さまざまな要因により成功しない可能性があります。
例えば、新規市場への参入や新たな製品やソリューションを提供する企業と同様に、Armも、すでに確立された地位を持つ企業、長年にわたる顧客関係やブランド認知度を有する企業、またはArmよりも多くの経営資源を投入している企業との競争に直面します。また、Armの顧客が従来のArmのIPを引き続き自社製品やソリューションへ組み込むことを望む場合、Armが提供する統合的なコンピュート製品は、想定した時期に採用されない、または全く採用されない可能性もあります。さらに、「Arm AGI CPU」のような自社設計シリコンチップへの参入などによる提供製品の拡大や、それ以外の製品・サービスの変更により、重要な顧客などとの間に対立またはその懸念が生じた場合、これらの顧客などは、Armとの関係を解消または大幅に縮小し、代替アーキテクチャーや競合他社の製品を使用する可能性があります。
Armによる自社設計シリコンチップへの参入は、従来のIPライセンス事業とは大きく異なり、製造・サプライチェーンおよび在庫に関する新たなリスクを伴います。これらには、サードパーティのファウンドリパートナー・受託生産会社への依存、製造欠陥や品質問題が生じる可能性、多額の初期投資や購入義務、在庫管理上の課題、サプライチェーンへの依存およびその混乱、原材料価格の変動、ならびに運転資本の増加が含まれます。
加えて、Armは、専門性を有するエンジニアなどの人材の採用、または同様の専門性を有する企業の買収を行う可能性がありますが、想定した時期に、または想定した条件で実施できない可能性があります。さらに、新たな製品やソリューションに係る研究開発プロジェクトについて、Armが必要な専門性や財務資源などを十分に有していない場合、Armは当社またはサードパーティと提携する可能性がありますが、当社またはサードパーティが必要な経営資源を投入する保証はなく、Armおよび顧客の期待を満たす保証もありません。
また、Armは、競争力を維持するために、製品やサービスの価格、顧客との取引の仕組みや条件、またはビジネスモデルを変更する可能性があります。これらの変更が顧客に受け入れられる保証はありません。そのような場合、Armは想定した金額や時期で収益を得られない、または全く収益を得られない可能性があります。
加えて、ビジネスモデルの変更後において、将来締結される契約の数や金額の増加が従来と同じようには実現しない、または全く実現しない可能性があり、その結果、Armの収入が予想を下回る可能性があります。さらに、新しいビジネスモデルの導入は、顧客にとってArmの製品の魅力を低減させてしまうなど、想定通りの結果を得られない可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するため、Armは新しいビジネスモデルに関して、主要な変更を実施する前に顧客と十分な議論を行うなど、広範な検討を実施し、リスクの特定と対応に努めています。

d.研究開発

Armは、競争力を維持するため、市場参加者による次世代技術の採用が進む中で、新製品や応用分野を継続的に創造・開発し、既存の製品やサービスを強化する必要があります。また、進化する市場のニーズに対応するには、適切な人員や開発技術など、研究開発に必要な経営資源を十分に確保・維持することが、Armの持続的な成功にとって不可欠です。しかし、Armの資源確保が不十分である可能性や、誤った将来需要の見通しに基づいて研究開発を進める可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するために、Armの経営陣は研究開発の資源配分について定期的に見直しを行っています。

e.顧客の集中

Armの収益の大部分は少数の主要顧客に依存しており、これらの主要顧客の事業の動向に影響を受ける可能性があります。
なお、Armは、毎年複数のプロセッサーを開発することで、特定の顧客がArm製品の導入を見送った場合の影響の軽減に努めています。

f.世界経済の動向

Armは、世界経済の悪化、政治情勢の不安定化、地政学的混乱、制裁や輸出管理規制など、コントロールできないリスクの影響を受ける可能性があります。こうした地政学的および経済的要因を背景に、特定の国がエンドツーエンドのアーキテクチャーの管理をより一層求め、アーキテクチャーの細分化ならびにグローバルなアーキテクチャーの役割の低下が生じることで、世界の半導体市場の細分化が起きる可能性があります。その結果、Arm製品の世界市場にも影響を及ぼす可能性があります。これにより地域ごとの多様な製品をサポートするための費用の増加や、Arm製品を使用しなくなった地域における収益の減少、新規市場における将来のライセンス収入の機会損失につながる可能性があります。
なお、Armは、規制当局に対する働きかけや、将来の顧客ニーズに即した製品開発を行うために戦略の見直しを行うことで、これらのリスクの軽減に努めています。

g.中国への依存

Armの中国関連市場での収益の大部分は、Arm China※2とのIPライセンス契約を通じて得られており、その大半は、中国の半導体企業およびOEM、ならびに中国向けに半導体や最終製品を輸出する中国以外の半導体企業およびOEMによるものです。Armは、Arm Chinaとの関係が今後も継続し、同社を通じた収益が中国関連収益の大部分を占めるとともに、全体収益においても一定の割合を占める状況が継続すると見込んでいます。Armが、Arm Chinaとの取引関係・中国関連市場の収益を維持できない場合、中国における新規および既存の市場へのアクセスが閉ざされる場合、新規事業での成長の遅れまたは中国における市場シェアが低下する場合には、Armの業績や競争力に悪影響を与える可能性があります。
中国は半導体産業の収益のうち重要な部分を占めています。しかし、貿易や国家安全保障政策、債務残高の継続的な増加などにより中国経済は不確実性が高く、中国の半導体産業および関連産業の短期的な成長見通しは、不透明な状況にあります。このような状況が長期化する場合、Armに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、米国および中国政府による貿易政策や国家安全保障政策を含む規制および法的措置により、Armの中国でのビジネスおよび中国の顧客やサプライヤーとの取引は現在すでに一定の制約を受けていますが、今後も取引が制約される、または禁止される可能性があります。
なお、これらのリスクを軽減するために、Armは、米中における政策の動向を的確かつ迅速に把握することに努めています。また、Arm Chinaにおける収益見通しやライセンス契約を定期的にレビューすることで、中国市場の動向をモニタリングするとともに、その対応に努めています。

h.訴訟、規制対応および所有する知的財産権の保護

Armの事業の成功には、その知的財産権の保護が不可欠です。Armは、その保護に当たり、主に特許権・著作権・企業秘密・商標関連の法律や、従業員との機密保持契約、ならびに顧客などの関係者とのライセンス契約に依拠していますが、知的財産権を保護するためのArmの措置が不十分である可能性があります。加えて、Armが希望する特許権を取得できない、または特定の法域においては、Armが保持する知的財産に関する契約上の権利などが制限される可能性があります。Armがこれらに関連する法律や規制に適切に対応できない場合、および関連する法域において知的財産権や契約上の権利を行使できない場合、Armの事業、業績、財政状態および見通しに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、特許権およびその他の知的財産権を行使するために、訴訟が必要となる場合があります。そのような訴訟は巨額の費用が必要となる、または経営陣やエンジニアの通常業務に支障をきたす可能性があります。
Armは、事業に関連する各種の訴訟・行政・規制上の手続、クレーム、要求ならびに調査に随時関与しています。これらには、商取引、製造物責任、知的財産、サイバーセキュリティ、プライバシー、データ保護、競争法、契約違反、労務・雇用、内部通報、M&Aその他に関する事項が含まれます。一例として、Armは、Qualcomm, Inc. および Qualcomm Technologies, Inc.(両者を含めて 「Qualcomm」)、Nuvia, Inc.との係争中の訴訟に関与しています。このような訴訟の結果や、それによる現在主要顧客であるQualcommとの関係や収益への影響は不透明です。さらに、また、Armは複数の法域において競争法規制の適用を受け、競争当局による調査の対象となったことがあり、今後もその対象となる可能性があります。Armがこのような訴訟または競争当局による調査に関与した場合、業界、Qualcommやその他の顧客などとの関係において風評被害が生じる可能性があります。
なお、Armは、関連法域における特許権、訴訟、係争事案の動向を注意深く監視することにより、これらのリスクの軽減に努めています。

i.知的財産権の侵害

Armは、第三者から知的財産権の侵害、濫用などを主張されたことがあり、今後も同様の主張がなされる可能性があります。また、Armによる社内でのAI活用の拡大やシリコン分野への参入により、第三者の知的財産権の侵害が生じるリスクが高まる可能性があります。 Armの特許またはその他の知的財産に関する争いが生じた場合、Armのライセンス先やその顧客が訴訟の対象となる可能性があり、Armは顧客との契約に基づき、顧客に対する補償を行わなければならないことがあります。なお、Armによる補償の合意は顧客の最終顧客に対する損害については対象としていません。また、顧客に対する補償には通常上限が設けられていますが、高額な費用が生じる可能性があります。さらに、顧客の最終顧客がArmに対して法的請求を行う可能性もあります。そのような訴訟は、Armの経営陣および技術人材の負担が増加する、高額な費用が発生する、第三者とのロイヤルティーまたはライセンス契約の締結を余儀なくされる、損害賠償または製品の販売が差し止められる、特許が無効となる、顧客からのライセンス料の返還または支払いの免除を求められる、製品の設計やブランドの変更が必要となる、などのさまざまなリスクを伴います。
なお、Armは、第三者に帰属する知的財産権を使用せずに製品を設計・実装することで(ライセンス契約による恩恵があり、かつ厳密に管理された手順に沿って使用する場合を除きます)、これらのリスクを軽減しています。

j.ブランドと評判

Armのブランドと評判を維持することは、顧客、従業員、政府、サプライヤー、およびその他のステークホルダーとの関係において不可欠です。Armのブランドと評判は、非倫理的行動や不正、製品の品質、不適切利用および安全性、法令または契約違反、内部統制の失敗、コーポレート・ガバナンスの不備、セキュリティインシデント、労働災害、環境問題、違法または不適切な用途への技術の使用、営業手法、メディア報道、サプライヤーの行為などにより影響を受ける可能性があります。また、ArmによるAI(生成AIを含みますが、それに限りません)の内部利用や、AIや機械学習に関連して、Armの取組みやArmの技術が用いられた製品の使用への懸念が生じた場合にも、Armの評判が損なわれる可能性があります。これらの危機やその他のブランドと評判への脅威に迅速かつ効果的に対応できなかった場合、社会的な批判によりArmのブランドと評判が大きく棄損する可能性があります。また、Arm Chinaなどの第三者の行為の責任がArmに転嫁された場合も、Armのブランドや評判が損なわれる可能性があります。
なお、Armは、製品の検証および妥当性確認への投資を通じて、これらのリスクの低減を図っています。また、製品の欠陥やバグのリスクを低減するため、厳格な品質保証および検証・妥当性確認プロセスを設けています。加えて、顧客などからのフィードバックを定期的に収集し、Armの製品や行動に対する認識の変化を把握し、評価の低下に対して早期の対応を図る体制を維持することで、これらのリスクの軽減に努めています。

k.輸出規制と貿易障壁

Armの本社は英国にあり、現時点において、米国、欧州、中国、インド、韓国、日本、および台湾を含む世界中の国や地域で事業を展開しています。これらの国際的な事業活動は、政治・経済・金融情勢や、法律・規制環境の変化による様々なリスクに晒されています。また、Armが新たな製品やソリューションへと事業領域を拡大するに伴い、これらのリスクも変化・増大する可能性があります。
各国政府による輸出入規制により、様々な負担や製品ライセンス提供の制限が生じる可能性があります。米国商務省が、先端半導体や他国の製品に対する輸出規制の適用範囲をさらに拡大した場合、より多くのArmの製品が米国の輸出管理の対象となる可能性があります。さらに、米国政府がArmの顧客・取引先が拠点とする国・地域に対して、より広範な経済制裁を導入した場合には、Armの製品ポートフォリオに影響を及ぼす可能性があります。
Arm、またはその顧客が関与する国々の貿易における関係性は近年不安定な状況が続いています。米国政府は半導体業界、特に先端コンピューティング向けの半導体チップおよび関連サービスに影響を与える制裁や輸出規制を強化しています。これらの規制により、Armによる特定の国の組織やエンドユーザーへの製品のライセンス提供はこれまでも制約を受けており、今後も同様の制約を受ける可能性があります。Arm製品を組み込んだチップや最終製品について、特定の顧客やパートナーによる製造、出荷または受入が制限された場合には、Armとの取引関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、Armは、米国、英国、EUの輸出管理当局と強い関係を維持し、政策や規制の動向を監視するとともに、必要に応じて輸出許可や認可を取得することで、これらのリスクの軽減に努めています。

(5)その他

a.法令遵守

当社は、各国の法令等の下で投資活動を行っています。当社や投資先(役職員を含みます。)が法令等に違反する行為を行った場合、違反の認識の有無にかかわらず、行政処分や法的措置の対象となる可能性があります。その結果、当社および投資先の信頼性や企業イメージの低下、取引先による契約解除、金銭的負担が発生する可能性があります。また、当社および投資先が活動を行う国・地域において、租税法令またはその解釈・運用が新たに導入・変更された場合や、税務当局との見解の相違により追加の税負担が生じる可能性があります。
なお、当社では、法令の遵守にとどまらず、高い倫理観に基づいた企業活動を行うため、全ての役職員に適用される「ソフトバンクグループ行動規範」を定めるとともに、グループコンプライアンス体制の強化や研修など役職員の知識や意識向上を促す取り組みを行っています。また、法令等の新設・改正に関しては、法務部門が外部のアドバイザーからの助言を受けながら情報収集などを行っています。

b.知的財産権

ソフトバンクグループ(株)が保有する「ソフトバンク」ブランドが第三者により侵害された場合、ソフトバンクグループ(株)および「ソフトバンク」ブランドを使用する子会社の企業イメージや信頼性が低下する可能性があります。また、子会社および投資先が保有する知的財産権が第三者により侵害された場合、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、当社または投資先が意図せずに第三者の知的財産権を侵害した場合、権利侵害の差止めや損害賠償、ライセンス使用料の請求などを受ける可能性があります。
なお、事業の持続的成長を支えるソフトバンクグループ(株)のブランドの重要性に鑑み、商標権を国内外で戦略的に確保する取り組みを行うとともに、子会社の知的財産活動・戦略の評価や子会社との知的財産に関する連携等を行い、持株会社としてグループ全体の知的財産保護・活用も目指しています。

c.訴訟

当社は、株主、投資先、取引先、従業員(投資先の現在および過去の株主・従業員を含みます。)を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、損害賠償などの訴訟を起こされる可能性があります。その結果、当社の投資活動に支障が生じたり、企業イメージが低下したりする可能性があるほか、金銭的負担が発生する可能性があります。

d.サステナビリティ

当社はサステナビリティに対し、本質的な取り組みを率先して実行することが重要であると考えています。しかし、当社のサステナビリティに関する取り組みが、投資家をはじめとした社内外のステークホルダーの期待から大きく乖離した場合、例えば、サステナビリティの要素が当社のガバナンス体制や経営戦略に十分に組み込まれていない、またはサステナビリティに関する重要課題として特定しているもののうち、特に優先度の高い「責任あるAI」、「気候変動」および「人的資本」への取り組みが不十分な場合、投資活動および資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、投資先のサステナビリティに関するリスクおよび機会を十分に把握できない場合は、当社が想定した通りに投資先が事業を展開できない可能性があります。さらに、当社の投資活動や投資先の事業活動に対するサステナビリティ関連規制が強化された場合は、投資スピードの鈍化や対応コストの増加が生じる可能性もあります。
なお、ソフトバンクグループ(株)は、当社のサステナビリティに関するリスクおよび機会を把握し、ソフトバンクグループ(株)の取締役会で任命されたチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSusO)を委員長とするサステナビリティ委員会において、取り組むべきサステナビリティに関する課題や対応方針等を継続的に議論するとともに、サステナビリティに関わる対応および情報開示を強化しています。
また、投資活動では、各投資エンティティにおいて、投資先のサステナビリティに関するリスクおよび機会を分析し、総合的な投資評価を行っています。

e.情報セキュリティ

昨今の国際情勢を背景として、世界的にサイバー攻撃の脅威が一層高まっており、AIの悪用を含む攻撃手法の高度化・巧妙化が進んでいます。当社および投資先においてサイバー攻撃、ハッキング、コンピューターウイルス感染、その他不正アクセスや内部不正を完全に防止できなかった場合、各種サービスの停止、情報の漏えい、改ざん、消失またはその他の情報セキュリティ事故が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社および投資先の信頼性や企業イメージが低下したり、事業活動に支障が生じたりする可能性があるほか、金銭的損失やこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
なお、当社は、ソフトバンクグループ(株)の取締役会で任命された最高情報セキュリティ責任者であるチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)の下、情報セキュリティを脅かす脆弱性などのリスク要因を特定し、リスクに応じた組織的、物理的、技術的および人的な情報セキュリティ対策を実施することで、情報資産の保護に努めています。

  1. 保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除いています。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク(株)(同社子会社を含む)およびArm、ならびにSVF1、SVF2、LatAmなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除いています。

  2. Arm Chinaは、ソフトバンクグループ(株)の子会社であるAcetone Limitedと中国投資家による合弁会社です。Armはこの会社を通じて中国市場にアクセスしています。Armは、Acetone Limitedに対して議決権を有しない10%の持分を保有しており、当該持分を通じてArm Chinaの約4.8%を間接的に保有しています。

  • 原則として、株式会社や有限会社、社団法人などを省略して社名・団体名を表記しています。文脈上別異に解される場合または別段の記載がある場合を除き、以下の社名または略称は以下の意味を有します。

社名または略称意味
ソフトバンクグループ(株)ソフトバンクグループ(株)(単体)
当社ソフトバンクグループ(株)および子会社
※以下の略称の意味は、それぞれの会社の傘下に子会社がある場合、それらを含みます。
SVF1SoftBank Vision Fund L.P.および代替の投資ビークル
SVF2SoftBank Vision Fund II-2 L.P.
LatAmSBLA Latin America Fund LLC
ソフトバンク・ビジョン・ファンドまたはSVFSVF1、SVF2およびLatAm
SBIASB Investment Advisers (UK) Limited
SBGASB Global Advisers Limited
アームArm Holdings plc
AmpereAmpere Computing Holdings LLC
Energy GlobalEnergy Global, LP(注1)
OpenAIOpenAI Group PBC(注2)
スクロールできます

(注1)米国で太陽光発電所の開発・建設・運営およびデータセンターの開発・建設を手掛ける子会社です。

(注2)2025年10月28日、OpenAI Global, LLCのリキャピタライゼーション(資本再編)が完了しました。これにより、SVF2を含む投資家は、新たに設立されたデラウェア・パブリック・ベネフィット・コーポレーションであるOpenAI Group PBCの株主になりました。なお、同日以前の事象等に関する記載箇所では、OpenAIはOpenAI, Inc.ならびにOpenAI Global, LLCおよび従業員持株ビークルなどその関係会社の総称として用いています。

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