2020年11月にグループ全体のリスク管理を統括するリスク管理室が新設されるとともに、私はその責任者としてチーフ・リスク・オフィサー(CRO)に就任しました。この組織改正は、ソフトバンクグループが投資会社としての性格を強める中で、業務執行部門から独立したリスク管理機能の重要性を反映したものです。

ソフトバンクグループは、SVF1および2、SB Northstar、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドなどを通じた上場および未上場のハイテク企業への株式投資などにより大きな投資リスクを抱えています。他方、LTVを低水準に保つとともに、2年分の社債償還資金を確保するなど、柔軟な財務運営がなされており、ソフトバンクグループのビジネスモデルの推進を支える基盤となっています。特に、2020年3月公表の「4.5兆円プログラム」の下で実行された保有資産の資金化には、危機対応に向けた迅速な意思決定と健全な財務基盤の確保を最優先課題とする当社の経営方針が反映されています。

リスク管理室では「グループの持続的成長の阻害要因の排除・低減」を主要なテーマとして掲げ、リスク管理の強化に取り組んでいます。積極的な株式投資とともに、保有資産を活用した資金調達を行う当社の財務基盤を脅かす要因としては、いわゆるリーマンショックなどの市場危機や、大口投資先の急激な経営悪化などが想定されます。過去の大規模な市場変動などを想定したストレステストや大口投融資先などへの集中リスクの把握を行うことで、危機への備えに向けた議論の支援に努めています。また、ソフトバンクグループでは、主要事業であるSVF1および2などにおける未上場株式への投資事業については、新規投資や投資後のモニタリングの状況を把握・分析するための体制強化を図る方針です。

上記のほか、非財務的なリスクについても、ソフトバンクグループの各部門や主要なグループ会社と定期的に連携することで、グループ全体の持続的成長を脅かす恐れのあるリスクとその対応状況の把握に注力しています。ガバナンス、利益相反、レピュテーション、情報漏洩、気候変動や人権をはじめとするESG対応など多様なリスクについて関係者と議論をし、それぞれのリスクの重要性の評価を行うとともに、グループ全体の観点から対応策の検討を行います。これらの財務・非財務に関する主要なリスクを取締役会やGRCCに定期的に報告し、経営判断に寄与します。

投資対象が多岐にわたり、また環境変化のスピードが速い中で迅速な意思決定が日常的になされる当社においては、継続的なリスク管理体制の強化が不可欠です。グループ全体の持続的な成長を長期にわたり確保すべく、リスクの早期把握と損失の回避または低減に向け、当社にふさわしいリスク管理体制の構築を進めていく方針です。