2008年3月期 第3四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社は2008年2月7日、2008年3月期 第3四半期 決算を発表しました。同日開催した決算説明会の模様についてお伝えします。なお決算説明会の模様は、ビデオオンデマンドでもご覧いただけます。また、より詳細な決算概要については、決算説明会の翌日に開催したアナリスト説明会をあわせてご覧ください。

決算説明会の模様

2008年3月期 第3四半期 決算説明会概要 表紙

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長 兼 関連事業室長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原(ふじはら)、同社CTOの宮川(みやかわ)が出席しました。

米マイクロソフトが米ヤフーに買収を提案してから、社長の孫が初めて公の場に登場するということもあり、中間決算説明会と同様、会場には300人を超える報道関係者や機関投資家、金融機関の関係者が集まりました。

登壇した孫はまず、「今年は携帯電話がインターネットマシン化する元年であるととらえている」と述べ、2008年を“インターネットマシン元年”と位置付け、それに向けてさまざまな施策を打ち出していく考えを明らかにしました。

決算ハイライト

2008年3月期第3四半期決算(2007年4月~12月、以下「当期」)のハイライトとして、「営業利益32%増(前年同期比)」「当期純利益4.2倍(同)」の連結業績と、新サービス・新プランを続々と投入して「9ヵ月連続純増数No.1」となった好調な携帯電話事業が挙げられます。

重要な経営指標のひとつである携帯電話の契約数。前年同期(2006年4月~12月)の新規契約から解約を差し引いた純増数は、わずか29万件でした。これに対し当期は170万件と、飛躍的に伸びて競合他社を引き離しています。好調な携帯電話事業を背景に、当期の連結業績は売上高が2兆円を突破して2兆587億円(前年同期比13%増)、EBITDA*1が4,837億円(同26%増)、営業利益が2,601億円となりました。また経常利益は2,319億円、当期純利益は931億円となり、そのうち572億円は中国のAlibaba.com Limited(アリババ・ドット・コム)*2が上場したことによる影響です。

[注]
  • *1営業損益+営業費用に含まれる減価償却費および固定資産除却損。
  • *2当社の持分法適用関連会社Alibaba Group Holding Limited(アリババグループ)の子会社。

携帯電話事業は着実に成長

決算ハイライトを説明した後、携帯電話事業の進捗について「継続利用意向」や「携帯乗り換え満足度」、「3G解約率」といった指標を交えながら説明しました。携帯電話事業は2007年5月から9ヵ月連続で純増数No.1を継続し、着実に成長しています。その背景には、2007年8月から2008年1月にかけて(2007年12月を除く)CM好感度の“三冠王*3”となり、ブランド力向上に成功していることや、3G解約率が1%を下回る低い水準まで下がってきたことなどがあります。また2008年2月以降に発売する「春モデル」では、機種数、ワンセグ対応端末数、世界対応端末数*4、有機ELディスプレー搭載端末数、そして色数のいずれにおいても他社を上回っていることを、棒グラフで比較して説明しました。

[注]
  • *3会社別、作品別、銘柄別。出典:CMデータバンク/CM総合研究所。
  • *4GSM対応端末数を比較。

インターネットマシン元年

2008年インターネットマシン元年

今回のキーメッセージは、「インターネットマシン元年」。社長の孫がプレゼンテーションの冒頭に宣言したものです。ソフトバンクグループは、インターネットへの接続の中心がパソコンから携帯電話へ移行し、2008年は携帯電話が“ボイスマシン”から“インターネットマシン”へ進化する元年になるととらえています。そして携帯電話がインターネットマシンへ進化するにつれ、通信業界のキープレーヤーは電話会社からインターネットをビジネスの場とする会社に変化していくと考えています。「インフラ」と「ポータル/検索」、そして豊富な「コンテンツ」をあわせ持つのは、ソフトバンクグループだけです。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。
米マイクロソフトによる米ヤフーの買収提案についての質問から始まり、携帯電話のフィルタリングサービスに至るまで、多岐にわたる質問に社長の孫がお答えしました。

米マイクロソフトによる米ヤフーの買収提案、グーグル関連

Q.

米マイクロソフトが米ヤフーに買収を提案した。孫社長自身はこの動きをどう見ているか。

A.

最終的に米ヤフーの株主構成がどうなるか分かりませんし、今のところ結論は出ていません。さまざまな提案があり、今後米ヤフーの取締役会が検討していくと思われます。ただ米ヤフーとソフトバンクはそれぞれ、日本のヤフーの株式と中国のアリババグループの株式という、大きな二つの資産を保有していることで共通しており、この資産を今後どうするかが、意思決定の重要な要素となるでしょう。米ヤフーとさまざまなコミュニケーションを取っていきますが、現時点では何も決まっておらず、何が望ましいかなどそれ以上はノーコメントです。いずれにせよ、グーグルがキープレーヤーの1社であるということは変わらないと思います。

Q.

ソフトバンクが保有する、米ヤフーの株式についても、まだ決まっていないという認識でよいか。

A.

その通りです。

Q.

グーグルと日本のヤフーのビジネスモデルを比べると、グーグルは革新的な技術でサービスを生み出し、ヤフーは膨大なページビューを生かした広告モデルであるように見える。この違いはアメリカとアジアの違いか。今後、インターネットビジネスはどうなっていくか。

A.

必ずしもヤフーのビジネスモデルや技術が古いわけではありません。例えばYouTube(ユーチューブ)のようなサービスを我々が提供することは、技術的には可能であり、以前に検討したこともあります。ただし違法コンテンツに対する考え方から、やらなかったということです。現時点ではグーグルが先行しているように見えるかもしれませんが、長期的に見れば十分チャンスはあります。グーグルは中国や日本、韓国などの“箸を握る国”ではNo.1ではなく、アジアでは我々が先行しています。

Q.

グーグルを脅威と考えているか。対抗するアイデアはあるか。

A.

アジアではグーグルがNo.1ではなく、日本ではヤフー、中国では百度(バイドゥ)、韓国ではネイバーなどが多く利用されており、状況が異なります。アジアにおけるニーズを理解しながら強化していきたいと考えています。ただグーグルも検索だけではなく、さまざまなサービスに手を広げているので、最後は総力戦となるでしょう。

Q.

米国でのグーグル対ヤフーという構図は、世界的に見ればグーグル対ソフトバンクという認識でよいか。

A.

中長期的な視野で見れば、携帯電話がインターネットマシンになり、その上でグーグルは注視すべき企業になるでしょう。戦うためにアジアを守っていくことが、No.1のインターネットカンパニーへの道であると考えています。

携帯電話事業関連

Q.

いわゆる“2台目需要”を掘り起こしているようだが、純増数に占める比率はどのぐらいか。

A.

新規契約のうち、約25%前後が2台目として契約されているようです。他社携帯電話のユーザーが、ソフトバンクの携帯電話を試しに利用してくれるのは良いことで、2台目ユーザーは大歓迎です。その後他社携帯電話を解約して、ソフトバンクの携帯電話をメーンに切り替える方が続々と増えています。またデータ(非音声)サービスをより多くご利用いただくために、「パケットし放題」(パケット通信料定額サービス)を用意しています。ちなみに3G携帯電話ユーザーのうち、56%が「パケットし放題」に加入しています。

Q.

携帯電話事業を中国で展開する可能性は。

A.

中国ではアリババなどで手を打っており、携帯電話事業を行うことは考えていません。別の切り口での事業展開となるでしょう。

Q.

「ホワイト学割」がスタートしたが、感触はどうか。

A.

想定より良いペースで動いていますが、具体的な数字についてのコメントは控えさせていただきます。

Q.

移動体通信事業のEBITDAやキャッシュ・フローが順調だが、今後の見通しは。

A.

販売戦略などによって短期的な波はあるかもしれませんが、中長期的には着実に上がっていきます。

Q.

「インターネットマシン」を目指す中で、データサービスの利用が増加すると思われるが、今後の投資計画は。

A.

データトラフィックが着実に増えていますので、それをまかなうことにフォーカスを当てています。2007年度の設備投資の当初計画は約3,800億円でしたが、コストの効率化などによって2,500億円で済む見込みです。その分、2008年度の設備投資が、当初予定の2,000億円を下回る水準から2,000億円を上回る金額になる可能性があります。詳細については検討中です。

Q.

今後「パケットし放題」加入者のデータサービス利用が増加していった場合、どう収益を増やしていくのか。

A.

コストの効率化や新しいサービスなどを通して、ARPU*5を増やすチャンスはまだまだあると考えています。携帯電話のブロードバンド化でも、やり方次第で先駆者となる可能性はあります。

[注]
  • *5Average Revenue Per Userの略。契約者1人当たりの平均収入
Q.

フィルタリングサービスに対する考え方は。

A.

他社がホワイトリスト方式(指定されたURLのみアクセス可能)であるのに対し、ソフトバンクはブラックリスト方式(特定のURLへのアクセス不可)を採用しています。我々は自由でオープンなインターネット思想の企業です。大切なサイトまで見ることができないというのは行き過ぎではないでしょうか。

Q.

端末数は多いが、メーカー数を絞ってきているように見えるが。

A.

基本的にオープンで、やる気のあるメーカーさんであればどこでも歓迎しています。意識的に絞るようなことはしていません。

Q.

NECが「孫社長に気に入られた端末でないと採用してもらえない」と言ったそうだが。

A.

NECさんからご提案があった際に、5分でお帰りいただいたことがあります。その際にご提案いただいた端末の企画では、お互いのためにならないと判断したためです。ただ、その後再提案してもらった端末がとても良く、近い将来発表できるでしょう。

その他

Q.

2GHz帯についてはどう考えているか。

A.

2GHz帯は既存サービスで使用している電波と干渉してしまうため、使いたくても技術的に使えません。従って取りに行くつもりはありません。

Q.

米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響は。

A.

直接影響はありません。

Q.

「アジアNo.1インターネット企業」を目指す中で、ボーダフォン日本法人を買収したように、今後大きな買収を行う可能性はあるか。

A.

可能性としては何でもあり得ることですが、当面大きな買収を行うつもりはありません。