2009年3月期 第2四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社は2008年10月29日に、2009年3月期 第2四半期 決算を発表しました。同日都内で開催した決算説明会の模様を、ビデオオンデマンドで公開していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、11月6日に開催したアナリスト説明会の模様をあわせてご覧ください。

決算説明会の模様

[イメージ]2009年3月期 第2四半期 決算説明会

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長 兼 関連事業室長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原(ふじはら)、同社CTOの宮川(みやかわ)が出席しました。

ソフトバンクは2009年3月期 第2四半期決算を当初2008年11月5日に発表する予定でしたが、ここ最近の世界的な金融不安と日本株式市場の状況などを考慮し、急きょ1週間早めて10月29日に発表することになりました。急な日程変更があったにもかかわらず、決算発表当日、会場には多くのメディアや機関投資家、金融機関の関係者が集まりました。

登壇した孫はまず、最近の世界経済の混乱の中で、ソフトバンクの借入金の多さ、先行きの不透明さなどが、投資家の皆さまを不安にさせていると語り、今回決算発表を早めた経緯、そして連結業績見通しを公表するに至った理由を説明しました。

創業以来過去最高益を更新

続いて詳細な説明に移ると、孫はまず2009年3月期 第2四半期決算(2008年4月~2008年9月、以下「当期」)のハイライトが、連結業績でのEBITDA*1・営業利益が「創業以来最高」、フリー・キャッシュ・フロー*2大幅改善、そして携帯事業17ヵ月連続純増No.1*3の3つであると説明しました。

当期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が1兆3,289億円(前年同期比2.6%減少)、EBITDAが3,355億円、営業利益が1,800億円(同7.3%増加)、経常利益が1,173億円(同5.5%増加)、そして当期純利益が411億円(同11.5%減少)となりました。EBITDA、営業利益ともに創業以来最高と、減収ながらも確実に利益を拡大することができました。

連結売上高の過半を占める移動体通信事業の売り上げが、前年同期比で減少しましたが、これは主に携帯電話の割賦契約数が増加したことなどにより、携帯電話端末の売り上げが減少したことによるものです。一方、毎月の純増数は引き続き好調に推移しており、9月末の累計契約数は1,963万件と、ソフトバンク携帯電話ユーザの増加が増益に寄与しています。

[注]
  • *1営業損益+営業費用に含まれる減価償却費および固定資産除却損。
  • *2フリー・キャッシュ・フロー(FCF)=営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー。
  • *32008年10月7日現在。電気通信事業者協会(TCA)調べ。

業績見通しを公表

続いて孫は、業績見通しの具体的な数値を説明しました。これまでソフトバンクは、2006年に国内通信業界では前例のない携帯電話販売方式・料金施策を導入したことなどから、ユーザ動向などの予測が難しく、業績見通しを公表することが困難な状況でした。

孫は2008年度通期の見通しを営業利益3,400億円、フリー・キャッシュ・フローを前年同期比3,000億円改善の1,400億円と発表しました。続いて、2009年度通期の営業利益見通しを4,200億円、営業キャッシュ・フローを5,000億円、投資キャッシュ・フローを2,500億円、そしてフリー・キャッシュ・フローを前年同期から1,100億円改善して2,500億円と発表しました。

フリー・キャッシュ・フローの改善

ソフトバンクグループでは、当期のフリー・キャッシュ・フローが前年同期と比較して2,389億円改善しました。さらに孫は、フリー・キャッシュ・フロー拡大の傾向は今後も持続していくとの考えを示し、投影資料のグラフを使って、移動体通信事業買収時に発生した借入金の返済が今後も順調に進むと説明しました。

金融環境悪化の影響

説明会中盤に、孫より旧ボーダフォン日本法人の公募社債の実質的期限前償還(実質的ディフィーザンス)について説明しました。詳しくは今回のプレゼンテーション資料32ページから35ページをご覧ください。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

割賦契約期間が終了するユーザに対する、解約防止の施策などは考えているか。

A.

割賦販売制度を導入する前に小規模なテストを実施しましたが、割賦契約期間が終了しても解約するお客様は少ないという結果が出ました。家族や友人を誘い合って加入しているお客様が多いので、割賦契約期間が終了しても解約しようと思わないのではないでしょうか。
2年の割賦契約期間が終了すると、私どもとしては月々の特別割引をしなくてすむようになるので、来年の収益を押し上げる大きな要因の一つとなります。

実際に、当期の営業キャッシュ・フローが前年同期から2,300億円改善しているうちの1,280億円は、割賦の影響でプラスとなっています。下期もさらに1,000億円くらいプラスになる見込みです。

営業キャッシュ・フローの改善は、一時的なものではなく、来期以降も続いていきます。

Q.

ARPU*1は底打ちになったと考えてよいか。

A.

割賦契約者向けの特別割引が不要になるので、会計上のARPUは下げ止まります。さらに、データARPUも増加していく傾向にあるので、将来的に上がっていくと考えています。

Q.

設備投資についてはどのように考えているか。

A.

ボーダフォン日本法人買収当時は約2万局だった基地局が、今は5万4300局まで増え、人口カバー率も99%を超えています。大きな設備投資はほぼ終わっており、今後新たに膨大な設備投資が必要になることはないでしょう。今後3.9Gや4Gなど新たな技術が出てきますが、鉄塔の設置はほぼ完了しているので、今後は通信の容量を増やすなど、あまりコストのかからない工事が中心となります。

また、今後はIPベースのネットワークやフェムトセル*2などの技術にも期待しています。

Q.

「iPhone™ 3G」のARPUは高いのか。

A.

iPhone 3GのARPUは、他端末に比べて倍近く高く、販売台数は予定通りのペースです。パソコン同様、慣れれば非常に便利で愛着のわく機種なので、中長期的に見てユーザは増えると期待しています。

Q.

オープンOSの携帯電話機についてはどう考えているか。

A.

オープンOSの携帯電話機は今後世界的に広がるでしょう。この動きは、ソフトバンクがインターネットマシン化を進める上で大きなプラスになると思います。また、創業以来多くのアプリケーションソフトのクリエイターと30年間にわたって築いてきた関係が、いい方向に影響するのではないでしょうか。

具体的な方向性などについては、10月30日の新商品記者発表会でお話しします。

Q.

パケット通信料の定額サービスを利用しているユーザ数は、今後増えていかないのでは。

A.

第3世代(3G)携帯電話ユーザ全体の約50%がデータ定額を利用しています。3Gのユーザ自体が80%の比率を超えており、今後も3Gユーザの比率が増えていけば、データ定額ユーザも増えていくでしょう。また、新規・機種変更によるお客様は、約70%がデータ定額に加入しており、今後もこの流れは続くと思います。

これまで、メールのやりとりぐらいであればデータ定額を利用しなくても済みましたが、今後iPhone 3Gのような端末が増えてくると、データ定額ユーザも増えるでしょう。

データARPUも、1年前の1,400円台から1,700円台まで増えています。

Q.

加入者の買い替えサイクルは。

A.

割賦販売制度の導入前は二十数ヵ月でしたが、現在は三十数ヵ月まで伸びています。

Q.

割賦販売を導入したことにより、端末の販売数が落ち着いている状況が続いた場合、どのような影響があるか。

A.

割賦販売制度の導入により、短期の買い替えが減り、買い替えサイクルが健全化しました。買い替えサイクルが長くなると、見かけ上の売上高は減りますが、収益には良い影響を与えます。

Q.

3年後に有利子負債はどこまで下がっていると思うか。

A.

2~3年後の数字の予想は具体的には開示しません。ただ、固定通信事業も黒字化し、Yahoo! BB事業も黒字を続けている上に、移動体通信事業もユーザを順調に増やしており、設備投資も落ち着いているので、今後2、3年で急激にフリー・キャッシュ・フローが下落する要因はありません。

借入金のほとんどがボーダフォン日本法人の買収に伴うものですが、買収した事業自体も成長し、投資金額を順調に回収しています。10年も経たないうちにゼロになるのではないかと思います。

Q.

社債のスプレッドがかなり広がっているが、債権の投資家をサポートするための対策は検討しているか。

A.

債券市場において、借入金の返済能力がどれだけあるか、というのがスプレッドの本質です。ソフトバンクモバイルはユーザ数も増加トレンドにあり、継続的に質のよいキャッシュ・フローを生み出していける体質になりました。このことに対する市場の理解が進めば、スプレッドも改善するでしょう。満期まで保有していただければ、十分に高い利回りで利益を得られると思います。

また、この1年でマーケットから当社の発行済み社債を150億円買い戻した実績もあり、今後も検討していきます。

Q.

借入残高の推移などについて、バンクミーティングで開示しているような詳細な情報を一般にも開示してもらえないか。

A.

開示については、銀行などと相談の上検討します。ソフトバンクとしては、隠すものではないと考えており、喜んで開示したいと思っています。

Q.

ディフィーザンスで750億円の損失が発生した場合、計上する先は。

A.

もし損失が発生した場合には、ソフトバンクモバイルで計上します。償還資金はみずほコーポレート銀行により信用補完されているので、旧ボーダフォンの社債を持っている人には安心して保持していただけます。

また、この750億円はすでに2年前に支払い済みなので、すぐにキャッシュ・フローに影響するということはありません。

Q.

フリー・キャッシュ・フローを今後どのようにマネジメントしていくか。

A.

(私の)「人生50ヵ年計画」で、40代は勝負をかける時期、50代は事業を完成させる時期としています。40代で投資したものを50代ですべて回収し、後継者にバトンタッチするまでに、無借金かつ永続的なキャッシュ・フローが出続けるように事業を完成させたいです。そのために逆算して、フリー・キャッシュ・フローをマネジメントしていきます。まずは無借金の状態にした上で、余ったキャッシュの中から自社株買いや投資についても検討します。

Q.

最近の景気状況はソフトバンクテレコムの法人向け事業にどのような影響を与えるか。

A.

われわれは企業に対して、コストを下げて通信速度を上げるためのサービスを提供しています。景気が悪くなれば、コストダウンを速めたい企業が増えるので、当社としては営業がやりやすくなると考えています。

Q.

Googleのクラウドコンピューティングについてどう思うか。

A.

ソフトバンクもグループを挙げて取り組んでいきます。すでにアリババが、アリソフトという形で、ビジネスのソフトをネットワークで提供するということを実現しています。データセンターという意味では、ソフトバンクIDCが日本最大級のデータセンターを持ち、数十億円規模の利益をあげています。

Q.

業績予想の開示は今後も継続していくのか。

A.

かねてより、我々の経営がある程度安定的にやっていけるというステージが来れば、公表するということについては否定しないと言ってきましたので、公約通りにしました。また、現在株式投資に対して、世界的にマーケット全体が疑心暗鬼になっています。先が読めないから疑心暗鬼になるので、我々は今まで公開してこなかった数字を積極的に公開することで、投資家の皆様にもより透明性を出していこうということで開示することにしました。この動きは少なくとも何年かは続いていくと思います。

ただし、売上高については、例えば割賦販売制度を一部変更するなどした場合、見かけの売上高が変わる可能性があるので、経営上の自由度を残すため予想を開示しないことにしました。

我々はフリー・キャッシュ・フローに軸足を置いているので、売上高についてはその次だと考えています。

[注]
  • *1ARPU(Average Revenue Per User):契約者1人当たりの平均収入。
  • *2家庭やオフィスなどの屋内に設置して、限られた範囲の電波状況を向上させる携帯電話の超小型基地局。
  • *Apple、Appleのロゴは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。iPhoneはApple Inc.の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。