2010年3月期 第3四半期 決算説明会

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は2010年2月2日に、2010年3月期 第3四半期 決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はビデオオンデマンドで公開していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催したアナリスト説明会も併せてご覧ください。

決算説明会の模様

決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原が出席しました。

4期連続で最高益を更新し、iPhone™の売れ行きも好調で携帯電話の新規契約数から解約数を差し引いた純増契約数が2年連続No.1*1を達成するなど、ますます注目が集まる中での決算説明会。前日に降った雪が解けずに残る足元の悪い日だったにもかかわらず、会場は多くのメディアや機関投資家、金融機関の関係者でほぼ満席となりました。

「うれしくて仕方がない」

演壇に立った孫はまず、今回の決算説明会をツイッター(Twitter)やユーストリーム(Ustream)でもライブ中継していることに触れ、「おそらく日本初となるこれらの取り組みを来場者や視聴者と共に体験できるのは非常にうれしい」と喜びを語りました。会場ではユーストリームの視聴画面が投影され、視聴者からの“つぶやき(コメント)”が途切れることなく寄せられていました。

決算概要

続いて決算内容の詳細な説明に移ると、孫は2010年3月期 第3四半期 決算(2009年4~12月期)について、「非常に良い内容」と自信を見せました。

2009年4~12月期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が2兆453億円(前年同期比3%増加)、EBITDA*2が6,012億円(同18%増加)、営業利益が3,663億円(同33%増加)、経常利益が2,811億円(同61%増加)、そして当期純利益が948億円(同63%増加)でした。

移動体通信事業で携帯電話契約数が増加したほか、顧客のデータ通信の利用拡大が進んだことで収益が拡大し、連結ベースでの増収増益をけん引しました。

また、2010年3月末の2G携帯電話サービス終了と3G携帯電話設備の一部のメーカー集約に伴い固定資産除却損468億円を、特別損失として計上しました。なお当期純利益は、この特別損失があっても前年同期比で63%の増加を達成しています。

次世代ネット企業への戦略的投資

次に孫は、インターネットの進化とともに浸透しつつある「Web 2.0」の概念について、「人々が持っている情報や知識を共有し合う次世代のインターネットの形」と説明し、ソフトバンクはその関連事業やサービスを運営する次の3つの企業へ戦略的に投資を行っていくと発表しました。1つ目は中国最大級のSNSサイト「人人(レンレン)」を運営するOPI*3(2008年4月に出資)。2つ目は世界最大のソーシャルアプリケーションプロバイダーである米国のロックユー(2008年10月に出資)。そして3つ目は、2010年1月下旬に払い込みが完了したばかりの、ライブ動画配信サービスを運営する米国のユーストリームです。

また孫はiPhoneを使ってライブ中継できるユーストリームのデモンストレーションを行いました。そしてカメラを登壇者席に座る取締役の笠井に向け、「今年のソフトバンクホークスはどうなりますか」と尋ねると、会場は笑いに包まれました。

中国展開

プレゼンテーションの後半は、ソフトバンクグループの中国展開について説明しました。現在、ソフトバンクは中国のアリババグループホールディングとOPIという2つのインターネット企業に出資しています。特にアリババグループホールディングは、中国最大のオンラインマーケットサービスである「タオバオ」を傘下に持ち、今世界で最も急成長している企業の1つです。プレゼンテーションの中で孫は、「日本だけを視野に入れてビジネスをするのではなく、経済が著しく成長している中国も視野に入れてビジネスをすることが大切」と説明しました。

「アジアを制する者が世界を制する」

1990年代世界のインターネット市場の中心はアメリカでした。しかし、現在世界のインターネット人口の約50%がアジア地域に集中し、アジアにおけるインターネット市場は急速に拡大しています。ソフトバンクでは、今後もアジア地域、特に中国での展開を強化し、中国と日本双方のインターネットビジネスのシナジーを追求していきます。

[注]
  • *1(社)電気通信事業者協会の統計資料(2008年、2009年)をもとに当社算出。
  • *2EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額+営業費用に含まれる固定資産除却損。
  • *3Oak Pacific Interactive(オーク・パシフィック・インタラクティブ)の略。

質疑応答

主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。

Q.

携帯電話の純増契約数が2年連続でNo.1とのことだが、首都圏での増加は著しいものの、それ以外の地域では減少している地域もある。首都圏以外の地域での顧客獲得についてはどう思うか。

A.

首都圏以外の地域での顧客獲得も大切です。しかし、テレビ、車、インターネットなどの普及がそうであったように、新しい時代の流れは首都圏から始まります。それは、新しい物やサービスに敏感な多くの若者が首都圏に集中しているという理由もあると思います。

iPhoneに関しては、発売当初は若い男性ユーザが中心でした。しかし、最近では女性ユーザや法人ユーザも増えており、大きなトレンドが生まれてきました。このように、次第に首都圏以外の地域にも最先端のものが広がっていくはずです。「革新のブランド=ソフトバンク」といわれるよう努めていきます。

Q.

iPhone以外に戦略はあるか。例えばアンドロイドなど、iPhone以外の世界観をどのように広げていくのか。

A.

私は全方位で同時に手を打つのは「戦略」とはいえないと考えています。1カ所に狙いを定めてまずはそこに重点配備し、さらに横展開していくのが「戦略」です。我々にとって、iPhoneはモバイルインターネットを広めるための最大の主役です。ただ、他の携帯電話もいずれすべてがスマートフォン化し、より大きな成功を収めると思います。我々は、他の携帯電話も扱っていますが、それはiPhoneの価値を弱めることにはならないと思います。

Q.

2006年時点で、アリババグループにとってのタオバオの価値は、既にグループ全体の価値の半分以上とのことだったが、今後その価値はさらに上がるのか。

A.

現在のインターネットの世界において時価総額が大きい企業は、1番目にグーグル、2番目がアマゾンです。それくらいイーコマースは重要なビジネス領域です。個人的な意見としては、タオバオはこれら企業を超えるほどの企業になっていくと思います。しかし、タオバオは未上場の会社であるうえに、あくまでも個人的な意見ですので具体的なコメントは差し控えさせていただきます。

Q.

早ければ来年の初頭にも700MHzから900MHzの電波が割り当てられると思うが、1.5GHzへの設備投資は新800MHz帯の設備投資と同時に開始するのか。または1.5GHzの設備投資を終了し、その後に新800MHz帯の設備投資をするのか。

A.

800MHz帯の電波を持っていないのは我々ソフトバンクグループだけです。他社は800MHz帯の電波が割り当てられており、このままでは対等ではないので、優先的に我々に割り与えられることを期待しています。そして割り当てられたら、もちろん有効活用するつもりです。しかし、現時点でただ待っているというわけにもいかないので、当初の予算を増額してでも、積極的にカバレッジの強化、キャパシティーの増大を進めていく予定です。

Q.

iPadがSIMフリーで販売された場合の、ソフトバンクモバイル株式会社(以下、ソフトバンクモバイル)のビジネスへの影響は。また、iPadに対する感想は。

A.

iPadの取り扱いについて、我々はコメントをする立場にありません。ただ、iPadは素晴らしい製品だと心から思っています。

Q.

インドという市場についてどう考えるか。

A.

インドは中国の次に大切な、大きな市場です。既に小さな投資はしていますが、今後も関心を持って、タイミングを図りながら準備を進めていきます。

Q.

中国の出資先の企業とは具体的にどのように関わっていくのか。 また、インド企業への出資についてはどう考えるか。

A.

中国の出資先企業の経営や業務を遂行しているのは 、各社のCEOです。彼らとは直接顔を合わせて密接に打ち合わせを重ねています。アリババグループホールディングのジャック・マー氏とも密接に意見交換をしていますし、OPIのCEOとも連絡を取り合っています。 ソフトバンクグループは今後も中国での事業範囲を拡大していきますが、経営そのものは彼らを中心に行ったほうが大きく成長します。インドについては、中国と同じように大株主として資本を入れるような関係を築きたいです。これは、資本関係のない業務提携より、資本関係のある業務提携のほうがお互いの関係を強くするという考えからで、今後も継続していきます。

Q.

ウィルコムに出資するという報道について、今後の見込みなどについて教えていただきたい。

A.

ノーコメントです。

Q.

来期営業利益予想が5,000億円で、今期と比較し800億円増加しているが、どのセグメントが大きく貢献すると考えるか。

A.

移動体通信事業を中心に増加すると考えます。例えば、昨年半ばに新規契約をしたお客様は当四半期の営業利益に半分貢献しましたが、来年はフルに貢献することになります。また、移動体通信事業に加え、さまざまなセグメントでの加価値サービスを充実させており、グループ企業も全体として黒字を出しています。

Q.

ソフトバンクの固定通信に対する姿勢は他社と異なるように見えるが、ソフトバンクにとって固定ネットワークとモバイルネットワークのアクセス回線を持っていないことはリスクになりえるか。

A.

色々なやり方がありますが、我々は我々のやり方で、固定通信についても無理をしない範囲で着実に増益し続けることができると考えています。モバイルインターネットとの融合についても、現時点では具体的にお話しすることはできませんが、しっかりと戦略があります。

Q.

ソフトバンクからiPadのマイクロSIMカードを販売する予定は。

A.

ノーコメントです。

Q.

2010年は、アンドロイドが家電にも連携するなど、拡大していくことが考えられる。 ソフトバンクモバイルも今春にアンドロイド携帯を発売予定とのことだが、アンドロイド携帯の広がりについてどう思うか。

A.

アンドロイドは優れたOSで、今後もプラットフォームとして着実に勢力が拡大していくと思っており、高く評価しています。むしろ、スマートフォンとしての性能や特長を持ち得ない一般の携帯電話端末が、より一層ガラパゴス化していくことを危惧しています。

Q.

冬商戦端末の販売状況を見ると、シンプルな端末とiPhone以外の一般的な端末がそれほど売れていないように見える。今後の携帯電話市場での端末開発投資において、iPhoneのような高機能携帯のスマートフォンやシンプルな携帯電話と、一般的な端末の比率をどのように考えるか。抜本的に投資計画を変更する予定はあるか。

A.

iPhoneは時代の大きなトレンドの中枢として成長していると思います。しかし、高機能の携帯電話を好むユーザと、シンプルで簡単な携帯電話を好むユーザで市場は両極端化しており、中間層である携帯電話機種がガラパゴス化し、多品種少量化しています。我々はさまざまなニーズに応えられるよう積極的に努力しますが、最終的に決めるのはお客様です。

Q.

従来設備投資については慎重なコメントが多かった。今回の3千数百億円規模の設備投資は、将来に向けての投資の前倒しと現在のネットワーク強化のためか。

A.

その通りです。将来に向けての投資の前倒しと現在のネットワーク強化の両方を進めていきます。

Q.

公衆無線LANサービスに関する戦略は。

A.

公衆無線LANサービスに力を入れていきますが、3Gにも並行して力を入れるつもりです。

Q.

他社ではフェムトセルの準備を進めているようだが、ソフトバンクモバイルではどうか。

A.

順調に、粛々と準備を進めており、今年中にはサービスを提供できるようにしたいです。

Q.

ユーストリームの収益化、また他の会社とのシナジーなど、現時点で話せる範囲で教えていただきたい。

A.

ユーストリームはスポーツやコンサートなどの動画をリアルタイムで中継できる、優れたコンテンツです。1ユーザの平均視聴時間はとても長く、広告効果が高いため、テレビのように広告中心に収益化していきます。詳細にお話しすることはできませんが、いろいろと準備を進めており、今後はツイッターなどと組み合わせることで、一方的ではない、さまざまな双方向性のコミュニケーションが行われるはずです。

Q.

移動体通信事業以外のセグメントでも成長を期待できるか。

A.

主要セグメントはすべて成長すると信じています。その中でも、移動体通信事業は一番成長します。

Q.

ユーストリームに対する出資比率が30%超になるオプションを保持したのは何故か。 なぜ一度にすべて出資しなかったのか。最終的に出資比率が3分の1に満たないという考え方でよいか。

A.

一度に出資せず、少しずつ時間をかけて出資したほうがリスクも少なく、お互いに健全な緊張感を保つことができます。フリーキャッシュフロー*4を大切にし、かつリスク管理もしながら出資するというのが、最近学んだソフトバンクの出資手法です。3分の1という出資比率にはこだわっていません。戦略的なパートナーシップを結ぶということに関心を持っています。

[注]
  • *4フリーキャッシュフロー(純現金収支)=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー。
  • *iPhoneはApple Inc. の商標です。
  • *iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。