株主・投資家情報(IR)

経営方針・対処すべき課題

2025年6月26日現在

(1)会社の経営の基本方針

当社は、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするテクノロジーやサービスを提供する企業グループとなることを目指すとともに、企業価値の最大化を図っています。

(2)重視する経営指標

当社は、戦略的投資持株会社であるソフトバンクグループ(株)が、子会社・関連会社および投資先を投資ポートフォリオとして統括するマネジメント体制の下、保有株式価値の増大を通じてNAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出※1)を中長期的に最大化することを目指しています。また、これを支えるための財務方針として、財務の安定性を確保するという観点から、ソフトバンクグループ(株)のLTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出※1。保有資産に対する負債の割合)を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、今後2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保しています。

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、情報技術の発展によって社会やライフスタイルが変革する「情報革命」を主要な成長機会として確実に捉え、長きにわたり人々の幸せに貢献していきたいと考えています。そのためには、社会ニーズの変化をいち早く捉え、今後の牽引役となるテクノロジーやビジネスモデルに合わせてグループの構成を最適化しながら自己変革を繰り返していくことが不可欠です。

パソコン、インターネット、ブロードバンド、スマートフォンと変遷してきた「情報革命」の中心は、現在、AI(人工知能)へと移行しています。とりわけ近年の生成AIの進化は、自然言語処理や創造的コンテンツの生成において飛躍的な技術革新をもたらし、各産業に急速な変革を促しています。当社は、この生成AIのさらなる進化が、今後数年のうちに人間と同等の知的能力を備えるAGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)の実現へとつながり、さらに今後10年以内に人類の叡智を大きく超えるASI(Artificial Super Intelligence:人工超知能)の実現に至ると予測しています。

このような時代の転換期において、当社は人類の進化のためにASIを実現することを使命に掲げて新たな自己変革のさなかにあります。具体的には、グループの総力を挙げて、その実現に不可欠な①AIチップ、②AIロボット、③AIデータセンターおよび④それを支える電力の4つの分野で積極的に投資・事業活動を行うとともに、生成AI分野をリードする企業への投資や連携を進めています。こうした取り組みによって成長機会を確実に捉えるとともに、「群戦略」という独自の組織戦略の下、各グループ会社・投資先が刺激を与え合いながらそれぞれの事業の拡大やビジネスモデルの進化を実現することで、当社の保有株式価値の増大、ひいてはNAVの中長期的な最大化を目指しています。

「群戦略」とは

「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。ソフトバンクグループ(株)は、戦略的投資持株会社として、群を構成する各企業の意思決定に影響を与えつつも、自律性を重んじ、出資比率は過半にこだわらず、ブランドの統一を志向しません。こうした多種多様な企業でグループを構成することにより、柔軟に業容を変化・拡大させ、長期にわたり成長を続けることを目指しています。

(4)経営環境および優先的に対処すべき課題

2024年4月から12月にかけて、世界の株式市場は米国・欧州中央銀行による利下げ開始や底堅く推移する米国経済を背景に、総じて上昇基調を維持しました。特にナスダック総合指数やS&P500指数は、ハイテク企業の好業績や半導体関連企業の株価上昇を受けて高いパフォーマンスを示し、生成AI関連の需要拡大が市場全体の上昇を牽引しました。その後2025年1月には米国でトランプ政権が発足し、減税や規制緩和に対する期待から米国株式市場では一時的に株価が上昇する場面も見られたものの、同月に中国の新興AI企業DeepSeekが低コストで高度なAIモデルを発表すると、米国の巨大テクノロジー企業の優位性が脅かされるとともに最先端のAI半導体の需要が伸び悩むとの懸念が広がり、巨大テクノロジー・半導体関連企業の株価は一時急落しました。一方で、DeepSeekの台頭をきっかけに、中国テクノロジー産業への期待が高まり、関連銘柄の株価が上昇しました。その後2025年3月末にかけて、関税を含む通商政策の不透明感や米国におけるインフレ率の高止まりに対する警戒感から、米国の株式市場は下落傾向が続きました。一方で、ドイツ、英国、香港などの株式市場は2025年1月から3月にかけても引き続き堅調に推移するなど、世界の株式市場は地域ごとに異なる動きを見せました。

2024年のベンチャー・キャピタル(VC)市場においては、世界の投資総額は依然としてピークとなった2021年の水準を大幅に下回ったものの、AI企業への資金流入は顕著で、投資額全体の37%を占め過去最高水準となりました※2。2024年の新規株式公開(IPO)市場においては、中国の不振が続いたものの、米国は回復基調にありインドも好調が続くなど、国ごとで温度差が浮き彫りになりました。米国のテクノロジー分野では、2024年にいくつかの大型案件があり今後のIPO市場への期待感が高まっていましたが、2025年4月にトランプ政権が「相互関税」を発表して以降、米国経済の先行きへの警戒感が高まり、企業がIPOのタイミングを慎重に見極める動きも見られます。

かかる経営環境において、当社は中長期的にNAVを最大化させるために以下1~3に注力しています。また、当社保有株式価値に占める割合が大きく、最重要資産と位置付けられるアーム、SVFおよびソフトバンク(株)はそれぞれの株式価値の拡大を図るため以下4~6に挙げた取り組みを行っています。

1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行

当期、当社のNAVは2024年6月末に過去最高を記録したものの、期末にかけて主に米国株式市場全体の下落を背景にアームの株価が下落したことにより前期末から減少しました。短期的には株式市場の変動による影響を避けられないものの、アームを中核とした現在のポートフォリオは、主にAIの進化を支えるハードウエアレイヤーからAIを活用したアプリケーションレイヤーまで幅広い投資先で構成されており、AI主導の新たな産業構造の変革を捉える基盤が整っています。当社は、こうしたポートフォリオの強みを活かしながら、既存投資先の価値最大化に向けた取り組みを加速させるとともに、成長性の高いAI関連企業への新規投資を引き続き推進しています。

既存投資先のうちアームおよびソフトバンク(株)については、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下でそれぞれが後述の成長戦略を着実に遂行することで、当社保有株式価値の拡大につながると期待しています。SVFについては、今後、IPO市場の本格的な再開に伴い投資先の株式公開とその後のエグジットが順次進んでいくと期待しています。また、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却の機会も引き続き探っていきます。

新規投資については、エグジットによる回収資金も活用しつつ、AIという投資テーマに基づき投資案件を厳選し、経営に深く関わることで付加価値を提供できるような投資についてはソフトバンクグループ(株)または100%子会社から行い、それ以外はSVFを通じた投資を行うことを想定しています。

なお、AIに関する新たな取り組みとして、米国のAI研究開発企業であるOpenAI Inc.およびその関係会社(以下総称して「OpenAI」)のためにAIインフラストラクチャーを米国内で構築する「Stargate Project」を2025年1月に、企業用最先端AI「クリスタル・インテリジェンス※3」の開発・販売に関するOpenAIとのパートナーシップを2025年2月に、それぞれ発表しました。また、OpenAI Inc.の営利子会社であるOpenAI Global, LLCに最大400億米ドル(外部投資家へのシンジケーション予定額100億米ドルを差し引いた当社の実質的な出資額は最大300億米ドル)の追加出資を行うことについて、OpenAIと2025年3月に合意しました。このほか、Armコンピュートプラットフォームに基づいた高性能・省エネルギー・持続可能なAIコンピューティングに特化した半導体設計企業である米国のAmpere Computing Holdings LLCの全持分を取得することについて、同社および同社の特定の持分保有者と2025年3月に合意しました。

2 財務方針の堅持

当社は、「(2)重視する経営指標」の通り、ソフトバンクグループ(株)のLTVを金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保することを財務方針として掲げています。当期において主にAI関連企業への投資を積極的に行った結果、当期末のLTVは前期末から上昇し、手元流動性は前期末から減少しましたが、いずれも財務方針の範囲内に収まっています。

来期においては、「(4)経営環境および優先的に対処すべき課題 1 既存投資先の価値拡大と新規投資の実行」に挙げたAIに関する新たな取り組みを実行に移すために、その必要資金の一部を銀行借入や社債発行などで調達することにより調整後純有利子負債が増加するものと見込んでいます。また、保有株式価値は、その中核をなすアーム株式の価値が米国株式市場の動向の影響を受けやすいことから、市況によっては大きく変動する可能性があります。しかしながら、こうした状況下においても上記の財務方針は不変であり、投資機会や資本市場の動向を注視しつつ、アセットバック・ファイナンスの活用も含めて適切に調整後純有利子負債をコントロールすることで適切に財務運営を行っていきます。

3 サステナビリティの推進

当社は、社会の持続的な発展と当社の中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを推進することが重要だと考えています。こうした考えの下、サステナビリティに関するリスクおよび機会を認識した上で、それぞれのリスクの軽減と機会の追求に取り組んでいます。
詳細は「サステナビリティ」をご参照ください。

4 アーム:AI革命を捉えた成長戦略の遂行

アームは、半導体技術が世界で最も重要な資源の一つとなった現在、半導体技術開発のグローバル・リーダーとしてこれからのコンピューティングの在り方を左右する存在になりつつあると当社では認識しています。アームのプロセッサー・テクノロジーは、高機能プロセッサーとしては世界で最も広くライセンス供与・採用されており、スマートフォンではほぼ全て、タブレットとデジタルテレビのほとんどで使用されているほか、組込プロセッサー用チップでも高い割合で搭載されています。

世界中の3,100億台以上のデジタル機器に採用されているアームのアーキテクチャーは、高性能と高エネルギー効率を両立しており、クラウドからエッジ、エンドポイントに至るまで、現在そして未来のAIワークロードを実行するために一貫性がありセキュアな基盤を提供しています。当社は、アームはAIが築く未来の根幹を支えていくと考えています。

現在、生成AIや大規模言語モデルをはじめとするAI技術の進展・普及が、アームの技術に対する需要を加速度的に後押ししています。多くのAIアルゴリズムは非常に計算量が多く、質問に対する答えを迅速に提供するために高性能な中央演算処理装置(CPU)を必要とします。現在AI処理の多くはクラウド上で行われていますが、スマートフォンや自動車等の端末側でリアルタイムにデータを処理するエッジAI※4へのシフトが着実に進んでいます。アームが提供する高性能かつエネルギー効率に優れたCPUは、エッジAIにおける推論を実行するために最適なソリューションであり、エッジ・コンピューティング※4の進化とともに、AI時代におけるアームの存在感は高まっていると認識しています。

アームは持続的な成長のため、以下に挙げた市場シェアの維持・拡大、ロイヤルティー単価の増加、およびエコシステムの強化に継続的に取り組んでいます。

a. 市場シェアの維持・拡大

アームは、99%以上のシェアを持つモバイル・アプリケーション分野に加えて、自動車やクラウド・サーバー、PC分野を中心に市場シェアを拡大しています。アームの顧客は、未来のAIアルゴリズムを実行するために欠かせない高性能かつ高エネルギー効率のチップを開発するための投資を加速しており、アームのテクノロジーに対する需要が増加しています。アームは、各エンドマーケットに特化した幅広いコンピュート・テクノロジー・ポートフォリオの提供に加えて、顧客がより高いライセンス料を支払うことでより広範なアームのテクノロジーにアクセス可能となるサブスクリプション型のライセンス契約を導入するなど、市場シェアの拡大に向けた柔軟な取り組みを行っています。アームは今後も、技術革新の最前線で、次世代のコンピューティング・デバイスのために必要な半導体IP(回路の設計情報などの知的財産)を提供していくことを企図しています。

b. ロイヤルティー単価の増加

AIが急速に進化を遂げる中、高性能かつ高エネルギー効率のチップへの需要が高まり、チップ設計はますます複雑化しています。近年、アームの最新世代テクノロジーである「Armv9」や、アームの複数のIPを組み合わせたコンピュート・サブシステム(CSS)の採用が、ハイエンドのスマートフォン向けチップやサーバー向けチップを中心に進んでいます。CSSはアームのCPUと他のオンチップ・テクノロジーを組み合わせたもので、事前に統合・検証され、主要なファウンドリー(半導体受託生産事業者)の製造プロセスのために最適化されています。CSSの採用により、顧客はより短い期間でより簡単にチップを設計し、市場投入までの時間を短縮することが可能になります。アームは、「Armv9」やCSSといったより高度な技術のチップ当たりのロイヤルティー単価を高く設定しており、ロイヤルティー収入を牽引役とした中長期的な売上高の拡大を実現するため、これらの技術の普及・拡大を推し進めています。

c. エコシステムの強化

アームの成長は、アームベースの製品向けにソフトウエアを開発する2,000万人を超えるエンジニアから成るエコシステムにより下支えされています。プログラムやアプリケーションは特定のCPUアーキテクチャー上で最適に動作するように作られるため、より多くのソフトウエアと互換性があることがCPUの成功を左右します。アームは過去30年以上にわたり、ソフトウエアエンジニアがアームベースのチップ向けにプログラムやアプリケーションを効率的に開発するために必要なツールやライブラリーを提供するなど、エコシステムの構築・醸成に注力してきました。今後も、あらゆる場所でAIがアームの基盤上で動作するために必要なエコシステムへの投資を継続していきます。

5 SVF:投資リターンの最大化

SVF1、SVF2およびLatAmファンドは、主にAIを活用した成長可能性の大きなテクノロジー企業への投資を目的としたファンドです。各投資ファンドを運営する当社100%子会社(SVF1を運営するSBIAおよびSVF2とLatAmファンドを運営するSBGA、以下総称して「ファンド運営子会社」)は、以下の取り組みを通じてそれぞれの存続期間の中で各投資ファンドのリターンの最大化を目指しています。

a. 大型資金の中長期的運用

SVF1、SVF2およびLatAmファンドはいずれも、多額の出資コミットメントを有し、設立から10年以上にわたり運用される私募投資ファンドです。すでに投資期間を終え、回収期間に入っているSVF1は2029年11月※5の存続期間終了に向けて資産の最適な回収を通じたリターンの最大化に取り組んでいます。一方、引き続き投資期間中であるSVF2およびLatAmファンドは、AIという投資テーマの下、重点領域への機動的な投資を組み合わせつつ、さまざまな地域やセクター、テクノロジーに投資を行うことで、株式市場の変動を乗り越えながら、2032年10月※5までの存続期間にわたり中長期的なリターンの創出に取り組んでいます。

b. 投資先価値向上の追求

ファンド運営子会社は、既存投資先の中で株式価値の大きい会社またはその向上の余地の大きい会社を選定し、さまざまな戦略的支援やネットワークを通じて投資先の持続的な成長を促すことにより、SVFの保有株式価値の最大化を追求しています。具体的には、当社およびその投資先、取引先までを含めたエコシステムを通じてパートナーシップや協力関係を築くことにより、収益性と成長性を高める機会を捉え、実行することを目指しています。また、投資先の経営陣が成長を模索する中、クロスボーダーでの事業拡大や収益性改善のための助言を提供するとともにガバナンス体制のモニタリングを行い、投資先の健全な成長を支援しています。

c. 最適な出口戦略による投資回収

ファンドのリターン、ひいてはソフトバンクグループ(株)を含むリミテッド・パートナーへの分配を最大化するために、ファンド運営子会社は規律あるアプローチの下で適時・適切な保有資産のエグジットを実施する方針です。エグジットは、ストラテジックバイヤーや他のアセットマネージャーへの売却、または投資先の上場を通じて行われます。投資先の上場後は、投資時の計画に対するパフォーマンスや市場環境、株価の動向を慎重に評価しつつ、計画的に売却する仕組みを設定しています。また、株式を担保とした資金調達を行いリミテッド・パートナーへの分配を行う一方、リターンを最大化するために実際の売却は最適と考えるタイミングで行うこともあります。

当期においては、SVFの投資先5社が上場を果たし、活動開始以来累計の上場社数は55社となりました。SVFは長期投資ファンドであり、ファンド運営子会社は最適なエグジットの手段・時期を見極め、短期的な市場の変動による影響を抑えながら、中長期的な視点でリターンの最大化を目指しています。

d. 適切な運用体制の構築

投資の成功の再現性を高め、持続的にリターンを生み出すためには、それを可能にする組織体制を構築すること、特に優秀な人材の確保および維持が不可欠です。ファンド運営子会社では、投資銀行やベンチャー・キャピタルなどで豊富な経験を積んだシニア・リーダーたちが運営に当たっています。これまでに、グローバル展開およびポートフォリオ管理のためのニーズと規模を満たす投資・運用・資金調達・管理の各機能およびマネジメント陣を備えた組織を築き、継続的にその改善を行っています。こうした専門家集団によるチームアプローチを取ることにより、組織的に知見の蓄積・共有を図り各投資ファンドの持続的な成長を目指しています。

6 ソフトバンク(株):「Beyond Carrier」戦略の遂行

コロナ禍をきっかけとした人々の生活様式の変化や深刻化する人手不足に対応するため、テレワークやオンラインショッピング、非接触型決済の利用拡大など、企業や行政のデジタル化は必要不可欠なものとなりました。デジタル化は、生産性向上やイノベーションの創発を促すことで今後の日本の社会を変革していく原動力となり、さらに、文章・画像・プログラムコードなどさまざまなコンテンツを生成することができる生成AIの出現により、変革のスピードは加速しています。

こうした中、当社で国内事業を担うソフトバンク(株)は、成長戦略「Beyond Carrier」の下、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指しています。具体的には、①通信事業のさらなる成長、②エンタープライズ事業におけるDX/ソリューションビジネスの拡大、③メディア・EC事業の成長、④ファイナンス事業の成長、および⑤新規事業の創出・拡大に加え、⑥コスト効率化に取り組んでいます。

財務戦略としては、ソフトバンク(株)は、プライマリー・フリー・キャッシュ・フロー※6を重要な経営指標と考えており、高い株主還元を維持しながら、成長への投資を実施していくため、今後も安定的なプライマリー・フリー・キャッシュ・フローの創出を目指しています。また、健全な財務体質を維持しつつ、適切な財務レバレッジを伴った資本効率の高い経営を行っていきます。

なお、メディア・EC事業の中心的な企業であるLINEヤフー(株)は、2023年11月に公表した不正アクセスによる情報漏洩に関して、2024年3月および4月に総務省から行政指導を、同年3月に個人情報保護委員会から勧告および指導を受けました。これに対し同社は、2024年4月以降総務省および個人情報保護委員会へ定期的に報告書を提出しています。同社は、多数のユーザーを抱えるプラットフォーム事業者としての信頼を損なう重大な事態であると重く受け止め、再発防止策を推進しています。ソフトバンク㈱は、同社の親会社として、定期的なリスク状況の評価や緊急事態発生時の連絡体制強化などの実効的なセキュリティガバナンス確保の取り組みを進めています。

  1. 保有株式価値および調整後純有利子負債は、いずれもアセットバック・ファイナンスにおける満期決済金額または借入金を除く。また、調整後純有利子負債の算出からは、当社のうち、上場子会社であるソフトバンク(株)(同社子会社を含む)およびアーム、ならびにSVF1、SVF2、LatAmファンドなど独立採算で運営される事業体に帰属する有利子負債および現預金等(債券投資を含む)を除く。

  2. CBインサイツ『State of Venture 2024 Report』による。

  3. 「クリスタル・インテリジェンス」は正式名称ではなく仮称。

  4. スマートフォンや防犯カメラ等の利用者側の端末(エンドポイント)やその近くに設置するサーバーなどのネットワーク周縁(エッジ)部分でデータを処理するコンピューティング手法をエッジ・コンピューティングといい、データをクラウドに集約しクラウド上の高性能サーバーで処理を行うクラウド・コンピューティングに対し、不要な通信を避けることで通信遅延やネットワーク負荷の低減などを実現する。この仕組みをAI処理に応用・発展させたものをエッジAIという。

  5. 各ファンド運営子会社に最大2回の1年延長オプションあり。

  6. プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは、調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフー(株)グループ、PayPay(株)等除く)に長期性の成長投資として支出した金額を足し戻した指標。調整後フリー・キャッシュ・フロー(LINEヤフー(株)グループ、PayPay(株)等除く)=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額-同返済額)-LINEヤフー(株)グループ、PayPay(株)等のフリー・キャッシュ・フロー+Aホールディングス(株)からの受取配当、PayPay証券(株)への出資など。LINEヤフー(株)グループ、PayPay(株)等にはAホールディングス(株)、LINEヤフー(株)および子会社(LINEヤフー(株)グループ)、Bホールディングス(株)、PayPay(株)、PayPayカード(株)、PayPay証券(株)などを含む。なお、長期性の成長投資はAI計算基盤・AIデータセンター関連投資、Cubic Telecom Ltd.への出資を含む。

  • 原則として、株式会社や有限会社、社団法人などを省略して社名・団体名を表記しています。
    文脈上別異に解される場合または別段の記載がある場合を除き、以下の社名または略称は以下の意味を有します。

社名または略称意味
ソフトバンクグループ(株)ソフトバンクグループ(株)(単体)
当社ソフトバンクグループ(株)および子会社
※以下の略称の意味は、それぞれの会社の傘下に子会社がある場合、それらを含みます。
SVF1SoftBank Vision Fund L.P.および代替の投資ビークル
SVF2SoftBank Vision Fund II-2 L.P.
LatAmファンドSBLA Latin America Fund LLC
SVFSVF1、SVF2およびLatAmファンド
アームArm Holdings plc
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