決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長 兼 関連事業室長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原(ふじはら)、同社CTOの宮川(みやかわ)が出席しました。
携帯電話の新規契約から解約を差し引いた純増数が、2007年度No.1*1となり、携帯電話事業の業績が注目されていることもあって、会場には350人を超えるメディアや機関投資家、金融機関の関係者が集まりました。
株主・投資家情報(IR)
ソフトバンク株式会社は2008年5月8日、2008年3月期 決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様についてお伝えします。決算説明会の映像をビデオオンデマンドで公開していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会の翌日に開催したアナリスト説明会をあわせてご覧ください。
2008年3月期 決算説明会
2008年3月期 決算アナリスト説明会
決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長 兼 関連事業室長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原(ふじはら)、同社CTOの宮川(みやかわ)が出席しました。
携帯電話の新規契約から解約を差し引いた純増数が、2007年度No.1*1となり、携帯電話事業の業績が注目されていることもあって、会場には350人を超えるメディアや機関投資家、金融機関の関係者が集まりました。
「モバイルインターネットを制する者がインターネットを制する」
「アジアを制する者が世界を制する」
登壇した社長の孫は「これが今後10年間の継続的なキーワードとなる」と述べ、「我々がこれから打ち出していくさまざまな戦略は、この2点に集約される形で進んでいく」とし、ソフトバンクグループが手がけるあらゆる事業の、本質的な狙いであることを明らかにしました。
2008年3月期決算(2007年4月~2008年3月、以下「当期」)のハイライトとして、2007年度純増数No.1となり、「モバイルインターネットNo.1へ」着実に歩む携帯電話事業、「創業以来最高水準」となった連結業績、「拡大トレンドの営業キャッシュ・フロー」などが挙げられます。
重要な経営指標のひとつである携帯電話の契約数。前期(2006年4月~2007年3月)の契約数の純増は、70万件でした。これに対し当期は268万件となり、年度ベースで初の首位に立ちました。好調な携帯電話事業が収益拡大に寄与し、本業のいわゆる「もうけ」を示す営業利益は前期比20%増の3,242億円となりました。その他連結業績は売上高が2兆7,761億円、EBITDA*2が6,266億円、経常利益は2,586億円、当期純利益は1,086億円となり、営業利益を含めいずれも創業以来最高の水準を達成しました。なお経常利益および当期純利益のうち、572億円は中国のAlibaba.com Limited(アリババ・ドット・コム)*3が上場したことによる影響です。
2007年度、最も選ばれたケータイブランド「ソフトバンク」。最も選ばれた理由ともいえる「料金プラン」と「端末ラインアップ」、そして「ブランドイメージの向上」の3つの取り組みについて、グラフなどを用いて説明しました。ソフトバンクを代表する料金プランとなった「ホワイトプラン」は、申込件数が2008年3月に1,200万件を突破。全体の3分の2のお客様が、ホワイトプランに申し込んでいることになります。端末の割賦販売も順調に拡大し、当期末現在約6割のお客様が、「新スーパーボーナス」(「スーパーボーナス」含む)を契約されています。また「インターネットマシン SoftBank 922SH」をはじめ、端末ラインアップをますます充実させたほか、月次のCM好感度調査*4では、2007年8月度から2008年3月度にかけて(2007年12月度を除く)、会社別、作品別、銘柄別のすべてにおいて首位を獲得し、当期中に7回“三冠”を達成しました。
さらにホワイトプランの魅力を高めるべく、ソフトバンクテレコムの直収型固定電話サービス「おとくライン」との通話料が相互に無料になる「ホワイトライン24」と、ソフトバンクBBが提供するIP電話サービス「BBフォン」との通話料が相互に無料になる「ホワイトコール24」の導入について、同日発表しました。
ソフトバンクグループは、「アジアNo.1インターネットカンパニー」を目指しています。それを実現する上で重要な戦略的パートナーである、Oak Pacific Interactive(OPI)が運営する中国最大のSNS「Xiaonei」(シャオネイ)や、「Alibaba」の事業概況について説明しました。インターネット関連戦略投資先は、約10年前はアメリカが中心でしたが、約5年間から日本に移り、そして現在は中国に軸足を移しています。これまでのソフトバンクグループが行ってきた約3,000億円の累計投資額に対し、評価・売却額は9.4倍の2.8兆円に上っています。
最後に「No.1モバイルインターネットカンパニーを目指す」取り組みとして、英ボーダフォン、チャイナモバイルと設立した「Joint Innovation Lab」(JIL)の概要について、世界最大の携帯電話事業者連合によるスケールメリットなどを説明しました。
主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。
3社それぞれの収益はどう分けるのか。
すでに3社で共同開発を始めており、新しいプラットホームおよびビジネスモデルを作り、プロフィットセンターとして収益を上げていきます。具体的には来年早々またはその前後に発表します。これまでインターネットではマイクロペイメントのような課金方法が難しかったのですが、この3社であれば、ユーザへの月額課金とともに、マイクロペイメントでも課金できる仕組みを構築できます。このような新たなビジネスモデルによって、収益を得ることができるだろうと考えています。
また、これまで当社の世界展開の方法について質問を受けることが多かったのですが、他国で免許を取得したりインフラ設備を作ったりするのではなく、世界的企業であるチャイナモバイルや英ボーダフォンと組むことで、5年後には10億人規模となる巨大な顧客基盤に対し、サービスを提供していきます。
出資金、人員体制、場所は。
ノーコメントです。(出資金は)基本的にそれほど大きな額ではありません。我々が行うのはプラットホームのルールを定義することで、その上でコンテンツやサービスを流していくことです。実際に作るのはメーカーやコンテンツ事業者側です。
携帯電話のOS(Operating System)を開発するということか。
いいえ。あらゆるOSの上に乗せられるプラットホームを提供します。その上に流れるコンテンツやアプリケーションは共通となります。
ボーダフォン日本法人を買収したとき、それまでの苦戦の理由として、端末が海外市場向けだったことを挙げていたが、今回のJV(ジョイントベンチャー)によって、端末が日本のユーザにとって使いづらいものになることはないか。
日本市場向けの端末を作る方向性はさらに強化していきますが、海外向けのためだけに作ることはありません。提供するプラットホームの上に流すコンテンツやアプリケーションは、世界共通でもよいと思っています。
モバイルインターネット・プラットホームのデファクトスタンダードを作るという理解でよいか。
まずはこれまで端末ごとにバラバラだったソフトウエアやアプリケーションを、あらゆる端末で対応できるような状況にしていきたいと考えています。3社以外のユーザの対応については、その先のステージとなります。
ノキアもパソコンとインターネットを融合することに、積極的に取り組んでいるようだが、それについてはどう考えているか。
ノキアさんは素晴らしいメーカーですが、課金を行うわけではありません。我々通信事業者は自らのネットワークを使って、よりお客様に近いサービスを提供できます。パソコンとインターネットの連携も行っていきます。
今後、有料コンテンツが主流になっていくビジョンを持っているように見えるが。
課金にはいろいろな方法があります。例えばパソコンのオンラインゲームは、これまで月額課金が主流だったのが、最近は月額料金を無料にしてアイテム課金をしている場合も多いです。携帯電話はもともと月額課金をしていますが、あわせてアイテム課金もしやすいです。ビジネスモデルが多様化します。
グーグルの「アンドロイド」は世界共通のプラットホームを目指しているようだが、今回のJVでは、OSでの世界共通化は難しく、ミドルウエアでなければ実現できないと判断をしたという理解でよいか。
はい。「アンドロイド」がいくら成功しても、「ウィンドウズモバイル」や「シンビアン」「リナックス」はなくならないでしょう。OS提供者と異なり、我々は毎月課金を行うことができます。もうひとつ上の次元での展開が可能になります。
「POP-i」とJILはどのような関係になるのか。
JILが提供するのは課金モデルやコンテンツなど、より広く、高い次元のものです。POP-iの開発も継続して行っていきます。
(今回の定款変更には)投資案件が大きくなっていることが背景にあるのか。
いいえ。あくまで既存株主に対し、1対1を上限とした無償分割を行う手段を得るということです。また増配の要望を持つ投資家に対し、選択肢を増やす目的もあります。ただし株価の下落を引き起こさないため、日経インデックスに採用されない場合は発行しません。戦略的買収の際に、現金以外で買収する方法も選択肢として持っていきます。
具体的な発行予定はあるのか。
具体的な予定はありません。4月に東京証券取引所の制度の変更があり、定款を変更できるのは、年1回だけなので、このタイミングで定款変更を行うものです。
割賦請求分を含んだARPU*5は上昇しているが、返済期間が終了する2008年度の見通しは。
返済期間が終了すると、スーパーボーナス特別割引をする必要がなくなり、ARPUが下がることはないと考えています。データARPUが右肩上がりであり、実態はむしろ上がってきています。2008年度にARPUが激減することはないと考えています。
MOU*6が増えているとのことだが、どの程度か。
全体で約2割伸びています。自網内はより大きく伸びており、他網はほぼ横ばいです。
フェムトセル*7の進捗は。
(ソフトバンクモバイルCTO・宮川より回答)現在社内でトライアルを行っています。規制緩和を待って、商用サービスを開始します。
英ボーダフォンがヨーロッパで「iPhone」を出すが、ソフトバンクはどうか。端末についてどのような考えを持っているか。
ノーコメントです。
報道によると、今後ソフトバンクがOPIの筆頭株主になる可能性もあるということだが、実際に(ソフトバンクが)現地で経営をコントロールできるわけではない。現地の経営陣や経営体制への評価は。また出資比率は。
非常に優れた経営陣だと評価しています。また当社のあり方として(OPIを)支配下に置くつもりはなく、戦略的パートナーとして成長を支援していきたいと考えています。
ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム3社のシナジーによる、コスト削減効果の進捗は。
管理部門の共通化や営業の効率化などによって、グループシナジーが出ています。ソフトバンクモバイルは顧客基盤拡大のため営業コストが高くなっていますが、他の2社は削減効果が出ており、2008年度はさらに効果が出るでしょう。全体で見ると、顧客基盤の拡大に対して、コストは横ばいとなっています。
設備投資はどの程度減らせるのか。
今期の設備投資額は、通信3社合計で2千億円台の後半となる見通しです。
今後携帯電話のデータトラフィックが激増すると思われるが、この設備投資で問題はないのか。
確かにデータトラフィックの増大傾向は加速するでしょう。例えばJILが提供するプラットホームで、ネットワークトラフィックをコントロールする運用ルールを定めるほか、HSDPA*8やLTE*9、バックボーン回線のIP化などの技術革新で対応していくことになります。
前期比で見ると、営業利益とEBITDAが減速しているが。
我々としては計画通りです。むしろ計画より利益が出ています。昨年は3月の商戦期の重要性を認識していませんでしたが、今年度は前もって準備し、成功しました。
NTTドコモがブランドを変更したが、どう見ているか。
ブランドにはそれぞれの考えや思想があります。これから(ドコモの事業展開次第で)高い評価が生まれるでしょう。我々の現在のロゴタイプについて言えば、これを変えるつもりはありません。
孫社長の身に何かあった場合の、経営リスクの対応はどのようになっているのか。
ソフトバンクグループの体制として、ソフトバンクが持ち株会社として多くの事業会社を持ち、それぞれの事業会社が権限を持って事業を行っています。ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムの3社は、社長である私をはじめ経営陣は共通ですが、これらは基本的にインフラ会社ですので、私の身に何かあってもすぐに問題が生じることはないと考えています。
電気通信事業者協会(TCA)調べ。
営業損益+営業費用に含まれる減価償却費および固定資産除却損。
当社の持分法適用関連会社Alibaba Group Holding Limited(アリババグループ)の子会社。
CM総合研究所/CM DATABANK調べ。
ARPU(Average Revenue Per User):契約者1人当たりの平均収入。
MOU(Monthly minutes Of Use):月額利用時間。
家庭やオフィスなどの屋内に設置して、限られた範囲の電波状況を向上させる携帯電話の超小型基地局。
HSDPA(High Speed Downlink Packet Access):第3世代移動体通信システムの標準化団体3GPPの「Release 5」で標準化された高速データ通信規格。
LTE(Long Term Evolution):「HSDPA」をさらに進化させた高速データ通信規格。