決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長 兼 関連事業室長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原 、同社CTOの宮川が出席しました。
登壇した孫はまず、世界経済が混乱する中、「携帯電話の事業を開始して良かったと感じている」と語り、移動体通信事業の業績が想定していた以上のペースで順調に推移していると説明しました。
株主・投資家情報(IR)
ソフトバンク株式会社は2009年2月5日に、2009年3月期 第3四半期 決算を発表しました。同日都内で開催した決算説明会の模様をお伝えします。また、決算説明会の映像をビデオオンデマンドで公開していますので、ぜひご覧ください。より詳細な主要経営指標については、2月6日に開催したアナリスト説明会をあわせてご覧ください。
2009年3月期 第3四半期 決算説明会
2009年3月期 第3四半期 決算アナリスト説明会
決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長 兼 関連事業室長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイルCFOの藤原 、同社CTOの宮川が出席しました。
登壇した孫はまず、世界経済が混乱する中、「携帯電話の事業を開始して良かったと感じている」と語り、移動体通信事業の業績が想定していた以上のペースで順調に推移していると説明しました。
続いて詳細な説明に移ると、孫はまず2009年3月期第3四半期決算(2008年4月~2008年12月、以下「当期」)のハイライトが、連結業績での営業利益が過去最高を更新したこと、そして2008年度フリー・キャッシュ・フロー*1見通しを上方修正したことの2つであると説明しました。
当期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が1兆9,822億円(前年同期比3.7%減少)、EBITDAが5,084億円(同5.1%増加)、営業利益が2,746億円(同5.6%増加)、経常利益が1,744億円(同24.8%減少)、そして当期純利益が581億円(同37.6%減少)となりました。EBITDA、営業利益がそれぞれ創業来の最高を更新し、減収ながらも確実に利益を拡大することができました。また、経常利益と当期純利益は減益となりましたが、これは一昨年の11月にAlibaba.com Limitedが香港証券取引所に新規上場したことにより、昨年度は一時的な利益の計上があったためです。
連結売上高の過半を占める移動体通信事業の売上が、前年同期比で減少しましたが、これは主に携帯電話端末の販売台数が減少したことによるものです。一方孫は、移動体通信事業の利益の源泉である通信収入が、月月割*2の影響などがあるにも関わらず増加し始めたことにふれ、移動体通信事業が利益の転換点を迎えたと説明しました。
続いて孫は、ソフトバンクグループの財務指標の説明に移り、2009年3月期第2四半期決算説明会(2008年10月28日開催)で発表した、旧ボーダフォン日本法人の公募社債の実質的期限前償還(実質的ディフィーザンス)について、前回から変化はないと説明しました。
説明会中盤に、孫より2009年度業績見通しの営業利益増加要因について説明しました。
孫は2008年度通期の営業利益見込み3,400億円から2009年度見込み4,200億円への、800億円の改善要因が、移動体通信事業の通信収益増加およびコスト削減、移動体通信事業以外の収益増加であると説明しました。移動体通信事業の通信収益増加は、主に一般携帯契約数(ポストペイド契約数)の増加と月月割の影響が減少することによるものです。また、コスト削減要因は、主に端末関連コストの減少と貸倒関連の改善によるものです。
説明会最後に孫より2009年のテーマであるモバイルインターネットコンテンツについて説明しました。
ソフトバンクでは2008年を「インターネットマシン元年」と位置づけ、iPhone™ 3Gの発売をはじめ、1年を通してさまざまな取り組みを行ってきました。そして、2009年はモバイルコンテンツをテーマに携帯電話のインターネットマシン化をさらに加速させ、モバイルインターネットをもっと楽しくするために、新しい2つのキーワードを掲げ、取り組んでいきます。それが「モバイルウィジェット」と「S-1バトル*3」です。
孫はモバイルウィジェットを、携帯電話の待ち受け画面に置いて、好みの情報へワンタッチでアクセスできるアプリケーションであると解説し、現在ウィジェット数でソフトバンクが他社を圧倒しているとグラフを使って説明しました。また、「S-1バトル」について、現在人気のお笑いを携帯電話から鮮明な動画で視聴できる世界初のコンテンツであると紹介し、これら新サービスが今後のデータARPU増加に寄与すると説明しました。
主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。
イー・モバイルとの高速データ通信サービスの協業や、「Yahoo! BB 光 with フレッツ」の販売などの報道がでているが、自前のインフラ設備を作るつもりはないのか。またライバルである他事業者との協業をどう考えるか。
他社とは事業なので競争はしますが、目指す方向は情報革命。他社も「志」を同じくする競争相手です。互いにwin-winの関係を築けるのならば、協調はあって然るべきです。
イー・モバイルはゼロからインフラを作り、ネットワークのキャパシティはありますが、ユーザ数がまだ少ないのが現状です。一方われわれは、以前からデータカードサービスを提供したかったのですが、大きなデータトラフィックが発生するためできないという状況でした。イー・モバイルと協力し、お互いにwin-winの関係が構築できると思い合意しました。光サービスについては、自ら光ファイバーを引くため努力しましたが、手続きが煩雑なうえ、コスト的にも見合いませんでした。そのため物理層はNTTの光ファイバーを使い、インターネットアクセスはYahoo! BBを使うという結論に至りました。現在、一部テストを開始している状況です。
KDDIとMVNO*4でWiMAXをやる予定は。
WiMAXについても、MVNOで利用したいとKDDIに要請しています。今年の7月から始めるかもしれないということで、一部テストを開始しています。われわれがWiMAXの免許申請をした際は、「他社にリーズナブルに卸す」としていましたので、想定より高い値段で卸売りをされた場合は、不当と主張するかもしれません。
高速データ通信サービスはいつ頃の導入を考えているか。
出来れば3月くらいには開始したいです。
キャリア同士でMVNOをするのは不当という意見もあるが、それについてはどう考えるか。今後も、NTTドコモなど大手キャリアにMVNOを働きかけていくのか。
電波は国民の共有資産であり、可能な限り有効利用するのがわれわれの義務だと考えています。われわれはWiMAXの免許を申請した際、他のキャリアにも提供するとコミットしていました。キャリアがキャリアにMVNOをしてはならないという決まりが出来るとしたら、限られた電波の有効利用に関する国民の権利が阻害されるということです。
データトラフィックが増えているにも関わらず、なぜ設備投資額が減っているのか。
長期計画に基づき粛々と適正な設備投資を行っています。効率的に投資が行われるように工夫を重ねています。工夫のひとつとして、イー・モバイルやNTTとの協業があり、柔軟に発想しています。意地で経営をしているわけではないので、高い志で経営している相手なら誰とでも組む可能性はあります。
ユーザの端末使用期間が長くなっているということは、古い端末を使用しているユーザはデータARPUに貢献しないのでは。
お客様にもさまざまな層があります。高機能端末を好むお客様もいらっしゃるので、新規技術開発は、これまで通り積極的にやっていきます。また、古い端末でも動画やコンテンツを楽しめる技術開発を行いました。今後も幅広いサービスを提供していく予定です。
メーカーにとって買換えサイクルの長期化は魅力的に映らないのでは。
買換えサイクルの長期化は、当社だけではなく他社も同様です。また、業界全体の収益構造の改善がなされたといっても良いでしょう。メーカーからすると確かに魅力的ではないかもしれませんが、サムソンは海外もターゲットとすることで、売り上げを伸ばしています。日本のメーカーも世界に通じる力を持っていますので、方向の転換期なのではないかと思います。
「スマート一括」は、販売奨励金モデルに逆戻りするのでは。
あくまでも販売キャンペーンの一つとして、テスト的に行っています。従来の割賦方式を好むお客様も多いので、利用するとしてもお客様全体の2~3%程度ではないでしょうか。(販売方法などの)ビジネスモデルについて、総務省が強制するのは好ましくありません。ソフトバンクでは100年間天下りはないと宣言しています。ソフトバンクテレコム、ボーダフォンを買収して以降、それまでいた方々にも帰っていただきました。これは法律の問題ではなく、モラルの問題です。
顧客獲得コストが3万8,000円を超え、昨年に比べ増加しているが、背景は。今期がピークだと考えてよいか。
高機能端末の開発にも慣れてきたのでハード面でのコストは削減されます。また、安い端末を志向するお客様も多いので、顧客獲得コストは改善されていくはずです。
春商戦の説明会では、サービス・コンテンツに注力し、データARPU向上を狙っていくように見えたが、今後は、経営の軸をコンテンツにしていくのか。
2009年はコンテンツ元年です。まず第1弾として、「Y!ボタン」を付けましたが、今回、「ウィジェット」を搭載した機種をたくさん出す予定です。今後も、新規の携帯電話端末には、続々と「ウィジェット」が搭載されていきます。
「S-1バトル」のようなコンテンツが、今後も大よそ四半期毎のペースで出てくると考えてよいのか。
現在、色々と企画を検討中です。
「月月割」の適用がなくなるユーザが増えれば転換的になるとのことだが、今後、基本料+音声ARPUはどの程度下げ止まると予想しているか。
音声ARPUは底を打ちつつあり、データARPUが音声ARPUを逆転する時期が来ます。
ヤフーのフリー・キャッシュ・フローが800~900億あるが、連結キャッシュ・フローが改善したらどのように活用するのか?
まず借入金の返済にあてます。ヤフーは上場企業なので、自らの経営判断で意思決定をしていくはずです。しかし、win-winになるようなことがあれば、お互いに積極的に話をしていきます。
営業利益800億改善のうち、「携帯事業以外」で200億改善とあるが、これはヤフーの影響か。
ヤフーは上場企業なので、我々から業績予想については軽々しくコメントできません。ただし、ヤフーの業績は健全であり、ヤフー、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB(Yahoo! BB事業)の3つが大きいです。それ以外の関連事業もおおむね順調です。また、アリババの子会社であるタオバオの業績も非常に良いです。現在、タオバオはオークションのお客様に対して課金していませんが、将来有料化すれば、大きな収益源になります。
来期以降の有利子負債の返済ペースは。
永続的で良質なキャッシュ・フローがあるので、10年かからずに全額返済する見込みです。
フリー・キャッシュ・フローを上方修正した狙いは。
営業キャッシュ・フローが改善し、設備投資も想定より少なくなるので、両面で改善します。今後も、実態に合わせて上方修正します。
他社との接続料の値下げについてはどう思うか。
固定通信から携帯へ電話したときの接続料の値下げが話題に上がっていますが、これが実現した場合、NTTに1番メリットが出ることになります。今年度、国内で一番利益が出る会社といわれているNTTに、なぜさらに利益が出るようにするのか、理解できません。NTTとNTTドコモが完全分離されるなら理解できますが、今のままではNo.1の会社にさらに利益を与えるようなものです。
携帯電話から携帯電話への接続料の値下げについても、最も投資効率が良い800MHzを持っている2社が新規参入組にルールを見直すように要請するのはおかしいと思います。お互いがイコールな立場でない限り、フェアではありません。
フリー・キャッシュ・フロー(FCF)=営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー。
平成20年11月1日より、「新スーパーボーナス特別割引」が「月月割」に名称変更されました。
「S-1バトル」の詳しい説明はWEBサイトでご覧ください。
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