株主・投資家情報(IR)
2011年3月期 第2四半期 決算説明会
ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は2010年10月28日に、2011年3月期 第2四半期決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はオンデマンド配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算説明会翌日に開催したアナリスト説明会の資料などをご確認ください。
2011年3月期 第2四半期 決算説明会
2010年10月29日 2011年3月期 第2四半期 決算アナリスト説明会
決算説明会の模様
決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田のほか、ソフトバンクモバイル株式会社(以下、ソフトバンクモバイル)CFOの藤原が出席しました。
今回の決算説明会の模様は、ユーストリーム(Ustream)やツイッター(Twitter)、ニコニコ生放送でも同時中継されました。
説明会が始まり、登壇した孫は、開口一番「一言で申し上げると、順調です」と述べ、2011年3月期 第2四半期決算の内容について自信を見せました。決算内容の詳細な説明に移ると、孫は今回の決算説明会のハイライトが以下の2点であると説明しました。
- 2011年3月期 第2四半期 営業利益3,000億円超 5期連続最高益
- 移動体通信事業の好調継続 純増数が2.3倍
2011年3月期 第2四半期のソフトバンクグループの連結業績は、売上高が14,650億円(前年同期比109%)、EBITDA*1が4,593億円(同119%)、営業利益が3,155億円(同137%)、そして経常利益が2,538億円(同146%)でした。移動体通信事業で携帯電話契約数とARPU*2が大幅に増加し、収益が拡大したことで、連結ベースでの増収増益をけん引しました。
続いて財務状況の説明に移ると、孫はまず今年度の設備投資についてふれ、通期計画の4,000億円に変更はなく、順調に推移していると説明しました。また、純有利子負債*3残高については、SBMローン*4の返済が2006年の借入当初に金融機関と取り決めた支払予定よりも早いペースで進んでいると説明しました。孫は、ソフトバンクグループが掲げる純有利子負債返済目標に変更はなく、2012年3月末には2009年3月末の半分の水準に、2015年3月末にはゼロにすると改めて説明しました。
「ソフトバンクは今後も勝ち続けられますか?」
決算内容の説明の終わりに、孫は「多くの皆様が、ソフトバンクグループは現在順調だが今後も大丈夫なのか、と疑問に思っておられる」と語り、その疑問に対して「やりましょう」と力強く宣言しました。「やりましょう」は、孫がツイッター上で、お客様からの要望に応える際に“つぶやく(コメントする)”一言で、孫の強い決意を表しています。
X + X = X
事業の説明に移ると、孫は「X+X=X」という方程式を示し、これを「ソフトバンク勝利の方程式」と紹介しました。1つ目の“X”は右上に上がっていくスマートフォンと右下に下がっていく従来の携帯電話端末を示しており、今後スマートフォンの比率が高まり、従来の携帯電話端末の比率が下がって行くことを表しています。2つ目の“X”は右上に上がっていくスマートパッドと右下に下がっていくパソコンを示しており、今後スマートパッドの比率が高まり、パソコンの比率が下がっていくことを表しています。そして、3つめの“X”は右上に上がっていくソフトバンクグループと右下に下がっていく他社を示しており、スマートフォンとスマートパッドの時代を見据えて事業展開を進めるソフトバンクグループが、他社を圧倒していくだろうと説明しました。
2008年スマートフォン元年
1つ目の“X”であるスマートフォンの詳細な説明に移ると、孫はiPhone 3Gを発売した2008年を振り返り、「当時多くの専門家やメディアはiPhoneが日本で売れるわけがないと言っていた。しかし、iPhoneは飛ぶように売れるようになり、今も売れ続けている」と語りました。また、iPhoneの女性ユーザ比率が高まってきていることを紹介し、「iPhoneはもはや一部のお客様に支持されている機種ではなく、性別や世代を超えて多くのお客様に広がっており、ひとつの文化になりつつある」と説明しました。
「スマートフォン中心の時代へ」
孫は、今後スマートフォンの比率が徐々に高まり、2015年頃までにはスマートフォンと音声中心の従来の携帯電話端末比率が半々ぐらいになると説明しました。「そんな中、ソフトバンクモバイルがスマートフォンで他社よりも2年近く先行していることは、競争上の大きな強みである」と語りました。
2010年スマートパッド元年
2つ目の“X”であるスマートパッドの説明では、孫はまず発売以来iPadに多くの企業から引き合いがあると説明し、現在営業現場などで使われている紙のパンフレットや書類が、近い将来iPadに置き換わっていく可能性について語りました。
「私はもうパソコンを使っていない」
また孫は、自身がすでに毎日iPhoneとiPadのみで仕事をしていることを明かし、「それにより日々の生活がはるかに快適になった」と語りました。スマートパッドの説明の最後に、孫は「現在、国内で1,300万台ほど売れているデスクトップ・ノートパソコン、ネットブックの比率は徐々に下がっていく。そしてスマートパッドがそれらに置き換わっていく」と説明し、「このスマートパッドで、ソフトバンクモバイルがシェアNo.1をとりたい」と語りました。
また孫は、ソフトバンクグループの全社員がすでにiPhoneとiPadを両方持ち、Wi-Fiを活用し、そのうちの多くの社員がツイッターも活用していることを紹介し、「インターネットを本業としてやってきたソフトバンクの企業カルチャーは、モバイルインターネット時代に一番適している。この企業カルチャーは一朝一夕で作り上げられるものではない」と語りました。ソフトバンクグループは今後も社員一丸となって、「モバイルインターネットNo.1」に向けてまい進していきます。
ソフトバンクモバイル4,000万回線構想
説明会の最後に、孫から新たな事業構想である「ソフトバンクモバイル4,000万回線構想」について説明しました。ソフトバンクモバイルは、201X年に現在の約2,400万回線を4,000万回線まで増やします。その間、純有利子負債をゼロにする目標は変更せず、増益を維持しつつ、これを達成します。
質疑応答
主な質疑応答は、次の通りです。社長の孫がお答えしました。
1.5GHz帯の電波の活用状況や、ウィルコム更生計画後の基地局の状況を教えてほしい。
我々にはすでに1.5GHz帯の許認可はいただいており、順調に基地局の建設を行っています。携帯電話端末に関しても、現在1.5GHz帯の電波を受信できるよう準備しており、予定通り進んでいます。また、それらは、第2世代携帯電話サービスを提供していた際に使っていた1.5GHz帯の設備を活用しながら進めています。それ以外にも、ウィルコムの基地局が設置されている場所や設備も使って、2GHz帯を中心にカバーエリアを広げていく予定です。
スマートフォンとして、グーグル社の提供するOS、Android™(アンドロイド)を搭載した機種も出していくとのことだが、スマートパッドの今後の広がりはどうか。
iPhone以外にも、Android 搭載のスマートフォンを提供していきます。スマートパッドに関しても、今後、Android 搭載の機種を揃えていきます。
Android 搭載の携帯電話向けの新しいデータ定額サービスが発表されたが、今後iPhoneでもそのような料金設定を考えているのか。
様子を見ながら、Android 搭載の携帯電話以外についても検討していきたいと思います。
「ソフトバンクモバイル4,000万回線構想」についてだが、iPhoneとiPad以外でのソフトバンクモバイルの強みは何か。
現在、ソフトバンクモバイルには約2,400万回線のお客様がいます。さらに、ウィルコムには約400万回線のお客様がいます。我々は純増数で毎月No.1を獲得し続けており、その要因として、iPhoneやiPadの売れ行きが大変好調なことが挙げられます。今後、スマートフォンやスマートパッドは従来の携帯電話端末やPCに比べ伸びていきます。それぞれの分野でNo.1を獲得し続ければ、4,000万回線は充分達成できると思います。iPhoneやiPad以外の機種も続々と揃えていきますが、当分の間はiPhoneやiPadが主力になると考えています。
iPhoneのようなグローバルモデルと、ワンセグやおサイフケータイ搭載の日本独自のスマートフォンでは今後どちらが有利になるか、その見通しは。
スマートフォンやスマートパッドが主流になる時代が来ると信じており、我々は、すでにそれらの普及に取り組んでいます。今後も他社をリードしていきます。
グローバルモデルと日本独自のスマートフォンのどちらか一方が、競争に有利であるとは言えないと思います。グローバルモデルで、最先端の技術を活かしたもの、安いもの、または先進性を活かしたものはどんどん進んでいきます。また、日本の消費者のニーズを取り入れたスマートフォンの進化も充分に需要があると思います。
ウィルコムの経営状態は厳しい。赤字を止めるにはどうすれば良いか。特に、ソフトバンクとのシナジーについて教えてほしい。
ボーダフォン株式会社を買収したとき、全ての条件において我々は不利でした。「赤字になるのは時間の問題」と言われていましたが、状況は反転しました。ウィルコムについても色々と意見があるようですが、まだ反転できる方法はあると考えています。どうなるかはまだ分かりませんが、あらゆる可能性にチャレンジしていきたいと思います。やってみなくては分かりませんが、「やる」という意思で救済に入りました。
iPhoneの累計販売台数について、具体的な数字を教えてほしい。
具体的な数字はお答えできません。
上半期の累計出荷台数について教えてほしい。
上半期の累計出荷台数は474万台で、前年同期では410万台です。
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下 NTTドコモ)ではサムソン社製のGALAXY(ギャラクシー)が発売され、KDDI株式会社(以下 KDDI)でもAndroid 搭載の機種が発売された。他社のスマートフォンの構成に対してどう思うか。
我々の新商品発表会は11月4日に予定されておりますので、機種の詳細については、その場で発表させていただきたいと思います。
NTTドコモもKDDIも、あるいは世界中の移動体通信事業者がスマートフォンに対して積極的に取り組んでいますが、当然、我々の立場としては1~2周も先に取り組んできたという自負があります。今後もそのリードを保っていきたいです。
ソフトバンクモバイルでのスマートフォンと従来の携帯電話端末の比率は。
数については公表していませんが、スマートフォンの比率は他社より高く、毎月高まっています。特に、新規にご契約のお客様については非常に高いといえます。
移動体通信事業の海外展開についてどう考えるか。
海外については、許認可の問題などがあるので、当面は日本市場に注力します。
電子書籍について、NTTドコモとKDDIの2社は、メーカーや大手出版社と提携して事業展開を図っている。ソフトバンクモバイルに関しては、「ビューン」の発表後、特に目立った動きは無いようだが、現在の状況は。
「ビューン」については、大変好調に推移しており、現在それを「強化する」という意味でさまざまな準備を進めていますが、詳細についてはお答えできません。
NTTドコモではもうすぐLTE*5を始め、イーモバイルでも42Mbpsのサービスを始める。今後、世間はまた通信速度の競争に目を向けると思うが、それについてどう思うか。
現在我々も、通信速度を上げるため色々と取り組んでおり、その一部については11月4日の当社の新商品発表会でお話します。常にいくつかのものは準備していますが、時期が来るまでコメントは控えさせていただきます。
緊急地震速報について、先般一部誤作動があり、その時にNTTドコモとKDDIはほぼ全ての機種に対応しているのに対し、ソフトバンクモバイルに関しては、すでに販売を終了している一機種しか対応していない事実が浮き彫りになった。これについてはどう思うか。
ネットワークシステムが若干他社とは異なるため、取り組みが遅れていましたが、現在準備中です。ネットワークの目処が立ったので、携帯電話端末側でも準備を進めていきます。
4,000万回線という数字の中に、ウィルコムの400万台は含んでいるのか。また、これから増えると予想している回線の中で、スマートフォンの占める割合はどの位か。
ウィルコムも含んでいます。しかし、今日現在まだウィルコムに対する正式な許認可を得たわけではないので、想定では含んでいますが、正式に含んでいるわけではありません。万が一、許認可が得られなくても、4,000万回線を実現させるための手立ては打ちたいと思います。
これから増える純増数の中では、スマートフォンあるいはスマートパッドの比率は半分を超えると思います。
ソフトバンクグループとして、携帯電話向けマルチメディア放送(mmbi)にかける期待、または意気込みは。
やります。
現時点でNTTドコモは、mmbi に対応した機種について5,000万台程度の出荷を予想しているが、そのうちソフトバンクモバイルとしてはどの程度の割合を期待しているか。
ワンセグが付いている機種には、今後、基本的に装備されていくと思います。それに対するコンテンツや配信のためのシステムについても、現在準備中です。また、これらはネットワークのパケットトラフィック増大の緩和にも役立つと考えており、積極的に取り組んでいきます。
移動体通信事業以外で、今後伸びが期待される事業は何か。
固定通信事業についても、順調に伸びています。5~10年かけて、長期的に利益を伸ばしていきます。また、インターネット事業や中国関連の事業はソフトバンクグループ全体の成長に、大いに役立つと考えています。
M&Aについて方針があれば教えていただきたい。
純有利子負債をゼロにするというコミットメントを逸脱するようなことはしない方針でいます。しかし、数十億円、数百億円程度の投資は今までも行っていますし、これからも継続して行っていきます。M&Aというよりは、投資です。
KDDIはスカイプを使用できるアプリを発表し、収益を音声からデータを中心にする考えだが、ソフトバンクモバイルとしては音声についてどう考えるか。
iPhoneではスカイプのアプリを使えるので、すでに我々は実施済みと言えます。 また、ホワイトプラン同士であれば夜の21時まで無料で通話をすることができます。現時点で、日本ではスカイプの利用者数よりホワイトプラン同士の利用者数のほうが多いと思います。また、ソフトバンクBB株式会社の提供するIP電話サービスの「BBフォン」でも、約400万人のお客様同士は、全て無料で通話できます。つまり、ソフトバンクグループではすでにこれらのサービスを提供することで、実施済みと言えます。
データARPUを見ても、他社に比べ我々は伸びています。今後も他社に先駆けて、データARPUを伸ばしていきたいです。
EBITDA=営業損益+減価償却費+のれん償却額+営業費用に含まれる固定資産除却損。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの平均収入。収入および契約数にはプリペイド式携帯電話および通信モジュールを含む。
純有利子負債=有利子負債-手元流動性
有利子負債:短期借入金+コマーシャルペーパー+1年内償還予定の社債+社債+長期借入金。リース債務を除く。ボーダフォン日本法人の買収に伴う事業証券化スキームにおいて発行された社債(銘柄:WBS Class B2 Funding Notes、 発行体:J-WBSファンディング)のうち、当社が2009年度に取得した額面270億円を除く。
手元流動性:現金及び預金+流動資産に含まれる有価証券(当社米国子会社が保有するYahoo! Inc.株式を除く)。SBM借入(SBMローン):ボーダフォン日本法人の買収のために調達した資金を、2006年11月に事業証券化(Whole Business Securitization)の手法によりリファイナンスしたもの。ボーダフォン日本法人の買収に伴う事業証券化スキームにおいて発行された社債(銘柄:WBS Class B2 Funding Notes、 発行体:J-WBSファンディング(株))のうち、当社が2009年度に取得した額面270億円を除く。
LTE(Long Term Evolution):「HSDPA」をさらに進化させた高速データ通信規格。
iPhone、iPadはApple Inc.の商標です。
iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
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