株主・投資家情報(IR)
2013年3月期 第3四半期 決算説明会
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」または「当社」)は2013年1月31日に、2013年3月期 第3四半期決算を発表しました。同日都内のホテルで開催した決算説明会の模様をお伝えします。決算説明会の模様はビデオオンデマンド配信していますので、ぜひご覧ください。また、より詳細な主要経営指標については、決算データシートなどをご確認ください。
2013年3月期 第3四半期 決算説明会
決算説明会の模様
決算説明会には代表取締役社長の孫、取締役の笠井、財務部長の後藤、経理部長 兼 内部統制室長の君和田、ソフトバンクモバイル株式会社(以下「ソフトバンクモバイル」)CFOの藤原、モバイル・ソリューション本部 情報企画統括部長の柴山が出席しました。今回の決算説明会の模様は、当社企業サイトやユーストリーム(Ustream)、ツイッター(Twitter)、ニコニコ生放送でも同時中継されました。
登壇した孫は説明会の冒頭で、「思いを持つことの大切さ」について語りました。2006年、ボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)を買収した際に、「いずれは株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「NTTドコモ」)を追い抜く」とコメントしたことを振り返り、「当時は果てしない道のりのように感じたが、強い思いと決意を持って取り組んで来た結果、着実に連結営業利益で同社に迫る水準になってきた」と胸を張りました。
決算概要
2013年3月期 第3四半期のソフトバンクグループ連結決算は、売上高3期連続過去最高の2兆5,097億円(前年同期比5%増)、営業利益(償却前)[EBITDA]※1は9期連続最高益の8,905億円(同15%増)となりました。営業利益は8期連続最高益の6,001億円(同13%増)で、NTTドコモの営業利益に迫る水準となっています。さらに、営業利益率は24%となり、NTTドコモ、KDDI株式会社(以下「KDDI」)との3社比較、また米国大手移動体通信事業者のAT&T Inc.(以下「AT&T」)、Verizon Communications Inc.(以下「ベライゾン」)との比較においてもNo.1※2を達成しました。続いて孫は、移動体通信事業におけるモバイル営業利益率(償却前)[モバイルEBITDAマージン]※3が52%となり、日米の大手移動体通信事業者と比べて大きく伸びている※4と説明しました。経常利益は4期連続最高益の5,294億円(同19%増)となり、過去最高を達成しています。
営業キャッシュフローは5,953億円で順調に推移しました。純有利子負債※5も、Sprint Nextel Corporation(以下「スプリント」)転換社債取得に伴う支出によって増加したものの、適正水準を維持しています。貸借対照表の健全性を示す指標である純有利子負債/EBITDA倍率※6はボーダフォン日本法人買収当時(2006年12月末)の4.4倍から0.7倍まで減少しました。また、孫はスプリント買収資金(201億ドル)について、「為替の円安傾向が進む中、買収資金の全額を1ドル82.2円※7で調達することができた。これにより、本日(2013年1月31日現在)の為替で調達した場合よりも2,000億円程度安く資金調達を完了することができた」と説明しました。さらに、スプリント買収に伴う国内外の投資家からの当社に対する関心の高まりを受け、国際的な会計基準で報告をすることがこれからのグローバル展開に適していると判断し、2014年3月期 第1四半期より国際会計基準(IFRS)を適用すると発表しました。
移動体通信事業およびその他事業で好調を維持
続いて国内事業についての説明に移ると、孫は2010年10月に発表した「国内4,000万回線(累計契約数)目標」を、2年強で達成したことを発表しました。年間純増数も過去5年間No.1※8を継続しており、「大変うれしい」と喜びを語りました。また、iPhone 5の累計総販売実績でKDDIを圧倒していることや、ARPU※9および通信料売上※10がNTTドコモ、KDDIと比較して唯一の増加傾向にあることなどに触れ、「われわれは契約数だけではなく、ARPUも伸ばしている。従って、総合的に通信料売上を増加させることができている」と胸を張りました。その結果、移動体通信事業の営業利益は3,899億円となり、ボーダフォン日本法人買収時から約7倍になりました。
ウィルコム株式会社(以下「ウィルコム」)も過去最高の契約数※11を達成するなど、好調を維持しています。
また、固定通信事業とブロードバンド・インフラ事業を合わせた営業利益は過去最高の811億円となり、増減率は前年同期比14%と世界No.1※12になりました。Google Apps™ for Business獲得企業ID数も累計40万IDを超え、2012年の獲得ID数で世界No.1※13を達成しました。さらに孫は、ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)も最高益を更新し続けていることや、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社が提供するゲーム「パズル&ドラゴンズ」が、Google Playのトップセールス世界ランキングで1位※14になったことなど、グループ企業の好調ぶりについても解説しました。
つながるソフトバンクへ
「ソフトバンクグループは、これまで数々の課題を克服し競争力を強化してきたが、最後に残された課題が『ネットワークの強化』だった」と続けた孫は、改めて「つながるソフトバンク」に向けた取り組みを継続していくことを強調しました。
ネットワーク満足度を大きく左右するのが「速度」と「接続率(音声・データ)」です。まず「速度」については、第三者機関による全国速度調査の結果を紹介しました。全国を5キロメートル四方のブロックに分け、国内大手移動体通信事業者3社の最速地点数を集計したRBB TODAYの調査において、ソフトバンクモバイルがNo.1※15となりました。LTE※16の平均速度(iOS)においても、KDDIの約2倍になりました※15。
次に「接続率(音声・データ)」について説明しました。継続した基地局の増設に取り組む一方、2012年7月よりプラチナバンドのサービス提供を開始し、2013年3月に1万6千局立ち上げるという当初の計画を2カ月前倒しで達成するなど、提供エリアは急速に拡大しています。その結果、ソフトバンクモバイルの「音声接続率」が大幅に改善し、国内大手移動体通信事業者3社比較でNo.1※17になりました。また、「データ接続率」において、ヤフーが提供しているスマートフォン向けアプリケーションのデータ通信ログ 月間3,000万件をソフトバンクモバイルが解析した結果、全国6地域でNo.1※17を達成したことを報告しました。
孫は、2010年9月に「必ず電波改善を成し遂げる」と自身のツイッターで宣言したことを振り返り、「あの日以来今日まで、ひとときも『電波改善』について忘れたことはない。その強い思いが、本日発表した、速度と接続率の調査結果に表れていると思う」と語りました。さらに、「われわれはまだ満足していない」と述べ、「今後もプラチナバンド基地局を、当初計画よりも前倒しで増強していく」と決意を語りました。
営業利益見通しを発表
次に孫は、今後の見通しとして、「2012年度は国内連結営業利益で7,000億円を確実に上回る」と宣言した上で、「2013年度は、海外事業を含まない国内連結営業利益で8,000億円(従来の会計基準)、海外事業を含む連結営業利益では7,000億円前後(国際会計基準)」に達するとの見解を示しました。さらに、2014年度の見通しとして、「海外事業を含む連結営業利益(国際会計基準)で最高益を更新する」と宣言しました。
海外事業でさらなる飛躍を目指す
決算説明会後半、会場のスクリーンに「次なる挑戦は米国市場」と書かれたスライドが投影されると、孫は、「スプリントとのシナジー創出によって、競争力の強化を目指す」と述べ、「ソフトバンクグループとスプリントの3つのシナジー」の説明を始めました。一つ目のシナジーは、「スマートフォン販売台数で日米3位※19」というスケールメリットです。これにより、端末購買交渉力が高まることが期待されます。二つ目のシナジーは「モバイル設備投資で世界2位※20」というスケールメリットです。孫は、「これにより、ネットワーク機器メーカーに対して、われわれが望む機能を優先的に搭載してもらうなどの交渉ができるようになる」と期待を寄せました。そして三つ目のシナジーとして、「ソフトバンクグループ V字回復のノウハウ」を挙げ、「目には見えない資産だが、『ソフトバンクグループのV字回復ノウハウ』をスプリントに共有し、同社にしっかり根付かせたい」と語りました。さらに、スプリントの経営陣と毎週テレビ会議で意見交換を行っていることや、2週間に1度の周期で、日米を行き来していることを紹介しました。孫は、「スプリント経営陣との会議を重ねて来た結果、『必ずスプリント買収を成功させ、同社とシナジーを創出することができる』と確信を持つことができた」と力強く語り、決算説明会を締めくくりました。
営業利益(償却前)[EBITDA]=営業損益+減価償却費+のれん償却額
各社の開示資料を基に当社作成
日本企業:4月~12月期(9カ月累計)、米国企業:1月~9月期(9カ月累計)モバイル営業利益率(償却前)[モバイルEBITDAマージン]=モバイルEBITDA/モバイル通信料売上
各社の開示資料を基に当社作成
日本企業:4月~3月期、米国企業:1月~12月期
KDDIはセグメント変更に伴い除くリース債務除く
ファイナンスリース除く
各年末の純有利子負債÷各年度EBITDA
2012年度は第1~3四半期累計のEBITDAを3分の4倍し算出スプリント買収完了の時期に応じて微動する可能性あり
各社の開示資料を基に当社作成
通信モジュール除く。各社の開示資料を基に当社作成
NTTドコモは音声ARPUとパケットARPUの合計(スマートARPUを含まず)
KDDIはauのパーソナルセグメントの通信ARPU4月~12月期(9カ月累計)
各社の開示資料を基に当社作成
KDDIはauのパーソナルセグメントの通信料収入(モバイル)PHS+3G
当社はBBインフラ事業を含む
各社の開示資料を基に当社作成
AT&TとBCE Inc.はWirelineセグメント。NTTは地域通信セグメント
2012年度 直近累計の前年比2012年1月~12月までのGoogle Apps for Business販売実績
AppAnnie調べ。2012年12月売上
RBB TODAY調べ(2013年1月23日)
測定期間:2012年10月1日~12月31日
比較対象の携帯電話事業者の測定データがそろった5キロメートルメッシュ内の平均速度(下り)で判定Long Term Evolution:次世代高速データ通信サービス
イプソス株式会社による全国調査。承諾を得たユーザーに対し発信し接続率を判定
ソフトバンクモバイル:iPhone 4SおよびiPhone 5ユーザー:64,000件/月
NTTドコモ:Android™ 搭載端末ユーザー:44,000件/月
KDDI:iPhone 4SおよびiPhone 5ユーザー:24,000件/月ヤフーがスマートフォン向けに提供している防災速報アプリケーション等において、利用者の承諾を得た上で、個人情報を除いたデータ通信ログを集計
各社開示資料を基に当社算出
ベライゾン、AT&Tは2012年度実績、その他は2011年度実績各社開示資料を基に当社算出
ソフトバンク+スプリントは2012年度予想。ベライゾン、AT&Tは2012年度実績。その他は2011年度実績
質疑応答
主な質疑応答は、次の通りです。主に社長の孫がお答えしました。
国際会計基準(IFRS)が適用される2013年度連結営業利益の見通しは、スプリントとClearwire Corporation(以下「クリアワイヤ」)を含むのか。
はい、含みます。
2013年度の連結営業利益の見通しについて、国内連結営業利益が8,000億円(従来の会計基準)の見通しなのに対して、海外事業を含む連結営業利益が7,000億円(国際会計基準(IFRS))とのことだが、この場合1,000億円の赤字が出ることになる。来年度、スプリントの営業黒字とクリアワイヤの営業赤字を合算したとしても、営業利益ベースで数百億円程度の赤字だと思われる。ここまで差が開く理由を具体的に教えてほしい。
まだスプリントの買収が完了したわけではないので、同社の詳細な財務データを把握しているわけではありません。そのため、これらはある程度保守的に見た場合の見通しになっています。これが理由の一点目です。二点目として、クリアワイヤの赤字分も合算しています。三点目は、一時的な費用についてもそれなりに余裕を持って見積もっていますし、M&A会計で顧客資産の償却などについても保守的に計算しないといけないと思っています。ただし、それらは現金を伴う経費ではないこと、またスプリントの業績自体が完全に増益基調にあり、クリアワイヤの赤字もそれほど大きなものではないと思っているので、7,000億円を底とみて、その後は海外事業も急激に好転していくと考えています。1年後は、国内事業は継続して収益を上げることができると思いますし、2014年度は最高益を更新し、大幅に増益できると考えています。
「2014年度は海外事業を含む連結営業利益で最高益を更新する」とのことだが、それは従来の会計基準に基づくものか、それとも国際会計基準(IFRS)に基づくものか。また、資金調達で金利も増えるため、IFRSに基づく税引前利益で金利の負担がどういった水準になるのか教えてほしい。
従来の会計基準でも、国際会計基準(IFRS)でも、2014年度は8,000億円を超える見通しです。税引前利益に関しては、金利等含めて計算しても大きく好転すると予想しています。
データ接続率の算出方法を詳しく教えていただきたい。
携帯電話端末がサーバーに接続したにもかかわらず、10秒以上応答がなかった場合を「接続NG」と認識しています。また、圏外等のNGステータスが表示された場合についても「接続NG」と見なして算出しています。
データ接続率調査の対象となった、月間3,000万件のデータ通信ログにおける、キャリア別の内訳は。
NTTドコモ約15,000端末、ソフトバンクモバイル約8,000端末、KDDI(au)約5,000端末で、計約28,000端末です。
再生可能エネルギーの買い取り価格について、茂木経済産業大臣が30円台後半になると発言していたがそれについてどう考えているか。
茂木大臣の発言を支持します。新技術が登場し、資材の調達コストも下がってきています。それに合わせて買い取り価格が下がっていくのは、正しいあるべき姿だと思います。
再生可能エネルギーの買い取り価格が下がった場合にも事業を継続するのか。
継続します。ただし、当社1社で大きなことを成せるとは思っていません。あくまでも、事例を作っていくことが目的ですし、この考えは当初から変わっていません。最近では、全国各地でさまざまな業種の事業者が再生可能エネルギーに進出し始めていて、喜ばしく思っています。また、当社は原子力発電に頼らない世の中を実現するために、今後も太陽光エネルギーだけではなく、風力発電など他のクリーンエネルギーについても取り組みを続け、積極的な事例作りをしていきたいと考えています。
ソフトバンクグループとスプリントのシナジーの一つである、「スマートフォン販売台数によるスケールメリット」だが、ソフトバンクモバイルユーザーへはどのように還元されるのか。
世界最先端の携帯電話端末をいち早く取りそろえるとともに、お客さまに喜んでいただける機能やコンテンツを盛り込んでいきたいと思っています。携帯電話端末を調達する際、調達規模が大きいと、より安く優先的に調達することができます。価格面でもお客さまに還元できるよう頑張っていきたいです。
近い将来還元されるようになるのか。
携帯電話端末は通常発売まで1年半位の準備期間がかかります。しかし、1日も早くお客さまに還元できるよう今後も頑張っていきます。
今後のLTEに関する計画について教えてほしい。
将来の戦略についてはコメントしないというのが従来からの方針です。LTEについても、ソフトバンクモバイルはほとんど直前までコメントしませんでした。その時には、「ソフトバンクモバイルはLTEに対して消極的だ」などとご批判も受けましたが、実際LTE全盛期になるとソフトバンクモバイルのLTEが一番速く、一番エリアが広い上に、LTEに対する姿勢もわれわれが一番積極的でした。LTEのさらなる高速化のために、現在もさまざまな施策を準備していますが、事前にはお話ししません。しかし、実際にサービスが始まれば、われわれは他社に負けません。その点については、過去の実績から理解していただきたいと思います。
イー・アクセス株式会社(以下「イー・アクセス」)の議決権譲渡の経緯についてコメントしてほしい。
イー・アクセスを買収することにより、当社が700MHzを含む複数にまたがった周波数帯を一度に取得することや、イー・アクセスの議決権を3分の1以上持つということは、同社の独立性を確保するという観点からさまざまな問題がありました。従って、当社の議決権を3分の1未満とし、同社における当社役員構成比率を過半数未満に収めました。
今回、株式全体の約1%である議決権ありの株式の3分の2を、ネットワーク機器の取引先メーカーやリース会社11社に譲渡する形でご協力いただきましたが、当社は議決権のない無議決権株を100%保有したままです。「3分の2以上の議決権を売り抜けた」というご批判がありましたが、議決権比率が下がっても出資比率は約99%のままであり、経営的・資金的リスクは当社が背負ったままです。このため、経済的メリットも当社が99%得ることになります。
決して「売り抜けた」とか「無責任体質」になったというわけではないことをご理解いただきたいと思います。
子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ
電波オークションの導入が見送られる見通しとなったが、どう評価するか。
電波オークションでどんどん値が上がっていくよりは、従来のやり方の方が良いと思いますが、あくまでも許認可を与える側の思いで決まるものなので、それ以上のコメントは控えさせていただきます。
昨年11月に発表された2.5GHz帯の周波数の参入意向調査において、Wireless City Planning株式会社は、なぜ10MHz帯しか希望しなかったのか。
10MHz帯よりは20MHz帯の方がありがたいと思っていますが、われわれはそもそも1.7GHz帯の割り当てを得ていたが、1.7GHz帯は新規事業者への割当だったということで、ボーダフォン日本法人を買収した後、自らこの周波数帯を返上したという経緯があります。
NTTドコモ、KDDIは800MHz帯の周波数をすでに持っているにもかかわらず、新たに700MHz帯を申請しました。われわれはすでに900MHz帯の許認可をいただいたという経緯があるので、700MHz帯については申請しませんでした。得るべきものについては正面から主張しますが、きちんと順番を待つべきものについては無茶な要望はしません。
今回の2.5GHz帯については、少なくとも隣接する10MHz帯を得ることで電波の有効活用に役に立てることができ、お客さまに良いものを提供するためにも申請をしましたが、それ以上の要望はしません。
Google、Google Apps、Android はGoogle Inc.の登録商標または商標です。
Apple、Appleのロゴは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
iPhoneはApple Inc.の商標です。
iPhone商標はアイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。