アリババ株式先渡売買契約の現物決済及び本現物決済に関連するアリババ株式の資金調達子会社への譲渡に関するお知らせ
当社は複数の100%子会社(以下総称して「資金調達子会社」、個別に「各資金調達子会社」)を通じて、保有するAlibaba Group Holding Limited(以下「アリババ」、当社の持分法適用関連会社)株式を利用した先渡売買契約を複数の金融機関との間で締結し、資金調達を行っています。当社は、本日、当該先渡売買契約のうち最大で約242百万ADR(American Depository Receipts、米国預託証券)を対象とした契約を早期現物決済すること(以下「本現物決済」、※1)、及び本現物決済に関連してアリババ株式を資金調達子会社へ譲渡することを取締役会で決議しましたので、下記の通りお知らせいたします。本現物決済は2022年8月中旬から各資金調達子会社ごとに順次実行され、同年9月末までに完了する見込みです※2。当該先渡売買契約の対象となるアリババ株式については、各金融機関において資金化取引実施時点ですでに市場でヘッジ済みであるため、本現物決済に際して各金融機関においてアリババ株式を新たに市場で売却する必要はないと当社は考えています。
なお、アリババの発行済株式総数に対する当社の実質保有割合は、2022年6月末の23.7%※3から本現物決済後に14.6%※4(資金調達に活用している株式を含む)に減少することとなり、持分法適用関連会社の要件である議決権保有比率20%を下回る見込みです。
記
1. 本現物決済の目的
現在の株式市場環境は厳しく、長期化することも想定されます。資金調達子会社は、当該先渡売買契約を現金決済または現物決済(その組み合わせを含む)することができますが、上記の市場環境に鑑みると、現時点では現物決済を行うことが最善の選択と判断しました。また、これを早期に決済することにより、将来の現金流出の懸念を排除することができ、さらに当該先渡売買契約に係るコストを削減することもできます。これは厳しい市場環境に対する「守り」を一層固めることにもなります。
「3. 連結決算及び個別決算に与える影響」で詳述しているように、当該先渡売買契約の早期現物決済及びアリババ株式の資金調達子会社への譲渡によって連結損益計算書及び個別損益計算書で税引前利益へのプラス影響を予想していますが、これらの利益はアリババが当社の持分法適用関連会社であるためにこれまで顕在化していなかった含み益が会計上実現・顕在化するものです。
当社は2000年にアリババに対して初めて投資を行い、以来、長年にわたり同社と緊密な関係を築いてきました。本現物決済後、アリババは当社の持分法適用関連会社から除外される見込みですが、当社は引き続き同社との良好な関係を維持していきます。
2. 本現物決済及び資金調達子会社へのアリババ株式の譲渡の概要
(1) 当社は、最大で約242百万ADRに相当するアリババ普通株式(最大で合計約1,936百万株)を各資金調達子会社に公正価値で譲渡します。
(2) 各資金調達子会社は、当該先渡売買契約について、2022年8月中旬以降、順次現物決済を行っていきます。本現物決済に必要なアリババ株式の合計数は、最大で約242百万ADRです。当該先渡売買契約の対象となるアリババ株式については、各金融機関において資金化取引実施時点ですでに市場でヘッジ済みであるため、本現物決済に際して各金融機関においてアリババ株式を新たに市場で売却する必要はないと当社は考えています。
3. 連結決算及び個別決算に与える影響
(1)連結決算
前第4四半期と当第1四半期決算で合計5.3兆円の純損失を計上しましたが、このたびの本現物決済の結果、以下の通り従前からの含み益が顕在化されます。
① 連結損益計算書
- 2023年3月期第2四半期(2022年9月30日に終了する3カ月間)において、(a)「アリババ株式先渡売買契約決済利益」、(b)「アリババ株式再評価利益」、(c)「デリバティブ関連利益(投資損益を除く)」が計上されます。これらの利益はアリババが当社の持分法適用関連会社であるためにこれまで顕在化していなかった含み益が会計上実現・顕在化するものです。
連結決算に与える影響は確定後に改めてお知らせしますが、以下の前提条件に基づくと、次の利益が計上されると試算されます※5。
税引前利益試算額 | |
---|---|
(a)アリババ株式先渡売買契約決済利益 | 約1.5兆円 |
(b)アリババ株式再評価利益 | 約2.4兆円 |
(c)デリバティブ関連利益(投資損益を除く) (本現物決済の対象となる先渡売買契約に係る利益) | 約0.7兆円 |
合計(税引前利益への影響) | 約4.6兆円 |
親会社の所有者に帰属する純利益への寄与は上記の金額から税金費用を控除した後の金額となります。
(試算の前提条件)
A)決済に使用されるアリババ株式数:約242百万ADRと想定
B)アリババ株式の決済時及びアリババが当社の持分法適用関連会社から除外される日の1株当たり公正価値(株価):91.19米ドル/ADR(2022年8月9日の終値)と想定
C)為替換算レート:1米ドル=134.89円(2022年8月9日のTTM)と想定
D)アリババ株式の1株当たり連結簿価:43.97米ドル/ADR(2022年6月30日時点の連結簿価)と想定
- (a)は1株当たり連結簿価と1株当たり決済時の公正価値(株価)の差額に決済に使用される株式数(ADR数)を乗じて算出されます。(b)は1株当たり連結簿価と持分法適用関連会社から除外される日の1株当たり公正価値(株価)との差額に引き続き保有する株式数(ADR数)を乗じて算出されます。(c)は2022年6月末時点から決済時点までのデリバティブ金融資産負債の公正価値の変動額であり、決済時点のデリバティブ金融資産負債は1株当たり決済価格と1株当たり決済時の公正価値(株価)の差額に決済に使用される株式数(ADR数)を乗じて算出されます。
- アリババが当社の持分法適用関連会社から除外された後、本現物決済後に当社が引き続き保有するアリババ株式の公正価値の毎四半期の変動額が連結損益計算書において「持株会社投資事業からの投資損益」として計上されることとなります。
② 連結財政状態計算書
- 2022年6月末の連結財政状態計算書に計上されていた当該先渡売買契約に係る「株式先渡契約金融負債」2兆7,982億円、「デリバティブ金融資産」3,131億円、及び「デリバティブ金融負債」2,862億円の認識を中止します。決済に使用されるアリババ株式数の前提条件は上記①(A)と同じです。
- アリババが当社の持分法適用関連会社から除外された時点で、連結財政状態計算書の「持分法で会計処理されている投資」に含まれる全てのアリババ株式(実質保有割合:23.7%※3、2022年6月末残高:4兆5,661億円)の認識を中止します。当社が引き続き保有するアリババ株式(実質保有割合:14.6%※4)については、公正価値で再評価の上、「投資有価証券」(上記前提条件に基づく試算:約4.8兆円※5)として計上します。
(2)個別決算
「2. 本現物決済及び資金調達子会社へのアリババ株式の譲渡の概要」(1)で述べた当社から資金調達子会社へのアリババ株式の譲渡に伴い、2023年3月期(2023年3月31日に終了する12カ月間)において、株式売却益(特別利益)が計上されます。株式売却益は1株当たり簿価と資金調達子会社への売却時の1株当たり公正価値(株価)の差額に譲渡株式数を乗じて算出されます。個別決算に与える影響は確定後に改めてお知らせしますが、以下の前提条件に基づくと、当該株式売却益は約2.4兆円(税金費用控除前)計上されると試算されます※5。
(試算の前提条件)
A)資金調達子会社に譲渡するアリババ株式数:普通株式約1,936百万株(約242百万ADR相当)と想定
B)当該譲渡日の1株当たり公正価値:91.19米ドル/ADR(2022年8月9日の終値)と想定
C)為替換算レート:1米ドル=134.89円(2022年8月9日のTTM)と想定
D)アリババ1株当たり簿価:306円/普通株(譲渡時の簿価)と想定
2022年8月中旬から同年9月末までの期間に決済期限を迎える一部の契約については決済期限時に現物決済を行います。
市況等を勘案し、当該現物決済の全部または一部を行わない可能性があります。
Alibaba Group Holding LimitedのForm 20-Fに記載された2022年3月31日現在の発行済普通株式総数21,357,323,112株に基づき算出しています。
Alibaba Group Holding LimitedのForm 20-Fに記載された2022年7月15日現在の発行済普通株式総数21,185,107,544株に基づき算出しています。
本書に記載した財務数値の試算値は、本書に記載した前提条件及びその他の仮定に基づき計算した参考情報であり、試算値が実現することを保証するものではなく、前提条件として想定した内容その他の仮定が実際と異なる場合には、現実の財務数値は試算値と大きく異なる可能性があります。また、本書に記載した前提条件は、当社が現時点において合理的と判断した想定に基づき設定したものであるものの、前提条件通りの内容が実現することを保証するものではなく、現実の経済状況等とは大きく異なる可能性があります。
以 上
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