Riiid
Stephanie Sohn
プロダクト・オーナー
韓国のEdTechのパイオニアであるRiiidは、教育における非効率性、非一貫性、不平等をなくすことを目指し、2014年に設立されました。
Riiidの主力製品は、英語能力テストの準備をサポートする、AIを搭載した「Santa」というアプリです。Riiidは、アメリカ、日本、南米、中東をはじめ世界中で事業を展開しており、学生に、AIを活用したパーソナライズされた教育を提供しています。
プロダクトオーナーのStephanie Sohn氏が、Riiidがどのようにビジョンを実現しているかについて語ります。
教育において取り除きたい3つの “I” について教えてください。
3つの“I”とは、非効率性(Inefficiency)、非一貫性(Inconsistency)、そして不平等(Inequality)です。教育の非効率性は、すべての学生に同じ問題を解かせる場合に最も顕著に表れます。一部の学生に対して、既によく理解している内容を繰り返し学ぶことを強いて、改善が必要な分野に集中させることができなくなっているのです。
非一貫性に関して私たちは、教育の質の格差について議論しています。教育の質は、地域や学校によって、あるいは同じ学校でも教師によって変わり得ます。
最後に不平等とは、成績や合格率、さらには将来の職業といった教育の成果の差が、個々の学生の能力ではなく富によって決まることを意味します。教育とは実力主義であり、経済力ではなく、個人の能力によって決まるべきです。
会社のビジョンを実現するためにAIをどのように活用していますか?
TOEICは、非英語ネイティブスピーカー向けに標準化された英語能力テストで、国際的な環境で働く人々の日常的な英語力を評価するために設計されています。そのスコアは、一流企業に就職できる可能性に大きな影響を与えます。
私たちの主力製品である「Santa」は、TOEICの受検準備を支援することに特化して設計されたAI搭載アプリです。
「Santa」は非常に効率的で、個々のユーザーデータに基づいて質問や学習経路を設計します。学習者が難なく解ける不必要な問題を取り除くことで、無意味な繰り返しに費やす時間をなくし、課題のある分野にフォーカスすることで、学習者の進捗を妨げる障害も迅速に解決していきます。
このテクノロジーは、個々の学生に合わせて問題を調整、提供することで、手頃な価格で一貫した質の高い教育サポートを維持します。
どのぐらいの学生がRiiidのプラットフォームを利用していますか?また、その学生たちにどのような改善が見られますか?
過去10年間で、世界中のあらゆる年齢層の学習者500万人超が英語力を磨くために「Santa」を利用してきました。私たちのプラットフォームは、学習者が学習経路における自分の現在位置を把握し、より効率的に学習できるようにしています。これにより、学習者はスコアを伸ばすだけでなく、やりたいことに時間を割けるようにもなります。「Santa」のユーザーは、TOEICスコアを平均150点アップさせており、75%のユーザーが、専門的な能力の基準とされる700点(990点満点)を超えるスコアを取得しています。注目すべきは、3カ月足らずの間、1日平均わずか30分プラットフォームを利用しただけでこのようなスコアアップを達成したことです。
Riiidの次の展開は何ですか?他にどの分野にAIを適用しようとしていますか?
私たちは、「R.Eddy」という学習者の読み書きのスキルをサポートするためのアプリケーションを開発中です。このアプリは、学習状況をそっと見守りながら、さりげなく観察し、学習者とやりとりします。
私が特に興味深いと感じるのは、R.Eddyが課題の途中で学習者が立ち止まるたびに質問やガイダンスを提供することで、積極的に学習者を支援する仕方です。まるで家庭教師がいるかのようです。私たちの目標は、このAIによる教育支援を公教育の広範なカリキュラムに提供することです。
AIを使うことに不安を持つ人たちにどのように対応しますか?
ほとんどの不安は、偏ったデータや実際の人間同士の交流から遠ざかることなどから生じているようですが、私は非常に楽観的です。
私たちのアプローチは、学習プロセスにおける人の重要性を認識し、AIによって生成されたデータだけに頼るのではなく、人とのインタラクションからデータを収集します。
ソフトバンクグループの経営理念は、情報革命で人々を幸せにすることです。これはあなたにとってどのような意味がありますか?
私は教育に携わる仕事を始めた後、EdTech業界に移りました。最初に教育に惹かれたのは、その課題の多様性と複雑さでした。教育分野は、AIによって固有の複雑さを単純化し、パーソナライズすることで、迅速かつ手頃な価格で大きな変化を生み出せます。
Riiidの目標は、すべての人に平等に、成功するチャンスを与えることです。障壁を取り除き、誰もが学習できるようにすることで、人々が人生を前に進められるよう支援します。真の幸福は、誰一人取り残されることのないようにすることから生まれると信じています。
そのため、ソフトバンクグループの考え方には私個人も共感しており、Riiidの目標とも合致しています。
教育の未来とAIの役割についてどのように考えていますか?
将来、AIは、あらゆるバックグラウンドを持つ学習者に対して、それぞれの状況にかかわらず、高品質でパーソナライズされた教育を提供するのに役立つでしょう。人々は家庭にAIを導入するようになり、どのような環境においても学習をサポートし、教師や教育アシスタントの役割を担うようになるでしょう。
学校が劇的な変化を遂げる一方、人々は学習において対人関係を重視するため、教室は依然として教育現場の一部であり続けると私は考えます。学生が知識を広げるためには、協調学習の経験が重要であることに変わりありません。
ドリームメーカーたちとの出会い
教育と学習の将来を形作る、ソフトバンクグループのポートフォリオ企業を率いるビジョナリーに話を聞いてみましょう。