Berkshire Grey

Tom Wagner
CEO

Berkshire Greyは、世界中の人々や店舗に商品を仕分けし、移送する方法を変革しています。AIとロボティクスを組み合わせることで、フルフィルメント、サプライチェーン、物流業務を自動化しています。

創業者であり、筋金入りの技術者と自負しているTom Wagner氏が、Berkshire Greyのビジョン、小売業者、製造業者、物流会社に競争優位性を提供する方法、そして彼が見据えるAIの未来について語ります。

Berkshire Greyを設立したきっかけは何でしたか?

私が上場テクノロジー企業の最高技術責任者(CTO)を辞めたときには、まだ具体的なプランはありませんでした。ただ、最先端の技術を影響力のある形で活用したいという思いがありました。

そこで、発明を始めました。数カ月間、多くのアイデアに取り組み、世界中で多数の特許を申請しましたが、やり方を間違えていたことに気づきました。私に必要だったのは、解決すべき実際の商業的な問題を見つけることでした。そこで、医療アプリケーションや高齢者ケアを検討しました。デトロイトで製造業を見て回り、アイオワの農地で農家の方と話をしました。

その過程で、eコマースのフルフィルメント業務に出会いました。それはすべて手作業で、最終的に商品が私たちの玄関先に届いたり、店頭に並ぶまでには膨大な数の人間が関わっていました。当時、商品のピックアップや梱包といった作業は技術的な課題を抱えており、AIやロボティクスで解決できるぎりぎりの領域でした。調べれば調べるほど興味が深まり、非常に特別なチャンスに出会ったと感じました。

この分野に注目したのはなぜですか?

eコマースの爆発的な成長と現代の消費者の高まるニーズがあることです。今日の消費者は、より多くの商品の選択肢と、かつてない配達スピードを期待しています。そのため、小売・商品取引・物流業界には、商品の移動、箱詰め、迅速な配送方法といった変革への大きなプレッシャーがかかっています。

同時に、配送会社や倉庫業は、ピッキングや仕分け、梱包などの身体的な負担が大きく、報酬が低い傾向にある作業を行う労働力の不足に直面しており、深刻な問題になっています。何千ものポジションが空いているのです。複雑に積まれたトレーラーからの荷降ろしを体験してみてください。自動化の必要性をすぐに実感するでしょう。

私たちは、インテリジェントな自動化によってこのギャップを埋め、効率性と品質を高め、低価格で、商品をスムーズかつ迅速に必要な場所に届ける役割を果たしています。

Berkshire Greyのロボットは何をするのですか?そしてそれはどのように機能していますか?

Berkshire Greyのロボットは倉庫で、さまざまな形状・サイズ・材質の箱の仕分けなど、人間の作業をサポートします。たとえそれらがすべて同じ“ビン”に入っていても対応可能です。

ロボットを使用することで測定可能なインパクトはありますか?

自動化は、製品の製造と移動のプロセスから摩擦を取り除きます。短期的には、顧客のコストが下がり、業務を大幅に効率化します。長期的には、総体的にコストが下がります。商品がより入手しやすくなることで生活水準が上昇します。

私たちのケーススタディから見られたメリットには例えば、運用コストを30%削減したことや、半分のスペースで収容量を50%向上したことがあります。重要なのは、従業員のネット・プロモーター・スコア(NPS)が上昇する傾向にあることです。これらの仕事は負荷が大きく、自動化によって従業員がより満足して働けるようになるからです。従業員のために業務を改善することは、実際に大きなインパクトをもたらします。

将来、物流分野におけるAI活用の可能性にはどのようなものがあると考えますか?

自動化は物流分野に円滑さをもたらすと考えています。原材料が部品から完成品となり、倉庫に運ばれ、最終的に世界中の店舗や家庭に届くまで、すべてが完全に自動化されるでしょう。オンラインで注文した携帯電話が、まるで魔法のように、一度も人の手に触れることなく自宅に届くのです。

さらに、あなたが注文する前にデバイスやシステムが必要なものを予測するような未来も考えられます。たとえば、冷蔵庫にあるアイスコーヒーの量が少なくなっていることを検知し、注文するようになるかもしれません。

このシステムでは、モノが「ちょうど必要な時に」必要な数量を完璧な精度で手配することができます。この考え方を製造から消費に至るまでのサプライチェーン全体に適用すると、在庫、配送、燃料、包装の無駄と資源を大幅に削減し、アウトプットを最大化できます。

実際、私たちのシステムはすでにパーツを監視し、修理や交換が必要なときにフラグを立てています。小売業では、ガム1箱のような単品を人が扱うにはコストがかかるため、このようなことは不可能でした。しかし、ロボットならうまくいく。これらのことはすべて実現可能であり、私たちが生きている間に商業的に利用され始めると思います。

Berkshire Greyの技術を幅広く活用できますか?

Berkshire Greyの技術は、初めて扱うモノをピックアップし、取り扱うことに長けていて、それをどう扱うかを考えるのが得意です。この技術は、確実に関連分野にも波及していくでしょう。

たとえば、100年以内に、自宅で暮らす病人や高齢者の生活の質を向上させるためにAIドリブンのロボティクスが使われるようになり、入浴や食事、日常生活をサポートするようになるでしょう。さらにはロボット執事も登場するでしょう。現時点でそれが実現していない理由は、家庭環境での設定が製造工場や倉庫よりもはるかに難しいからです。各家庭では室内の配置が異なっています。食洗機もそれぞれ異なります。生活様式や家具などの物の置き場所もそれぞれです。家庭用ロボットは幅広い変化に対応しなければなりません。

さらに俯瞰して見れば、人間とAIとロボットの共生が新しい段階に進むと考えています。人間、AIシステム、ロボットが連携して問題を解決し、タスクを実行する全体的なネットワークが構築され、それぞれがお互いのスキルや能力にシームレスに依存するようになるでしょう。たとえば、高層ビルの新築プロジェクトを考えてみてください。ロボットが重い荷物を運び、物理的に困難で危険を伴う作業を行っている間に、人間とAIがデザインや外観に取り組むようなシステムです。現在でも、ロボットがアシストする手術でこのような連携を見ることがあります。

300年後のような遠い未来、AIは私たちをどこに導くと考えていますか?

AIとロボティクスは一緒に進展すると考えています。たとえば、プログラム可能な事柄です。この世界では、ロボットやデバイス、さらには私たちの衣服、移動手段、住居まで、小さな要素で構成され、それらが相互にネットワーク化されて、計算処理や小さい物理的アクションを実行できるでしょう。砂粒のように微細な、顕微鏡で見ることができる物理的特徴を持つものが、他の粒子とネットワーク化され、連携して構造を作り上げる様子を想像してみてください。ネットワーク化された計算能力とAIがどこにでも存在するようになります。

未来は非常に刺激的な場所です。それらの変化を実現するには時間、エネルギー、そして投資が必要です。私は未来が素晴らしいものになると確信しています。

What dreams are made of