Wayve

Alex Kendall
CEO

Wayveは、AI分野のリーディングデベロッパーで、自動車業界向けのエンボディドAI(身体性を持つAI)技術のパイオニアです。Wayveの次世代アプローチにより、同社のエンボディドAIは、車載カメラやセンサーのデータやインターネット上の汎用的な情報など幅広いデータを利用して運転を学習することができます。

センサーやハードウエアに依存しないAIソフトウエアは、高価なセンサーや高精度なマップを必要とせず、初めての環境にも迅速かつ安全にドライビングインテリジェンスを適応させることができます。

共同創業者兼CEOのAlex Kendall氏が、エンボディドAIが移動手段だけでなく、現実の世界におけるあらゆるツールやタスクをどのように変革していくかについて語ります。

Wayveを設立するきっかけは何でしたか?

私は、エンボディドAIが世界に何をもたらすかを考えるとワクワクしますし、私たちの時代において最も素晴らしい変革になると考えています。それは、AIを現実世界に持ち込むことです。

人類が開発した道具や機械の歴史について考えると、エンボディドAIは、私たちが信頼できる方法で、私たちの生活をより安全で持続可能に、そして楽しく、現実世界で道具や機械が私たちとやりとりすることを可能にします。

最初に自動運転車に注目した理由は何ですか?

自動運転車は、主に2つの理由からエンボディドAIの最初の事例となるでしょう。

まず、圧倒的なニーズがあるからです。交通事故によって、世界で年間130万人の命が失われており、そのうち99.6%以上がヒューマンエラーによるものです。人為的な悲劇であることに加え、事故による経済的損失は、イギリスとアメリカにおいてそれぞれのGDPの約1.5%で、約数十億ドルという膨大な額に相当します。

そのため、これらの死亡事故を無くし、人の移動をより安全で、安価で、利用しやすく、さらに持続可能なものにするための切実なニーズがあります。

2つ目は、これはまさに「なぜ今」なのかということですが、主要な自動車メーカーが、Wayveと同じようなシステムを実行できる車載センサーと計算能力を備えた自動車を消費者向けに生産していることがあります。

Wayveのシステムはどのように機能するのでしょうか。また、他のアプローチとはどう違いますか?

自動車市場では、運転方法を指示する自動運転システムに注目しています。このシステムは固定の地図を元にどのように動くべきか、既にコーディングされたルールセットを持っています。

このシステムには、非常に高額な費用がかかり、道路上で発生するすべての異常事態に対応するために必要な汎用性がありません。現実世界の運転ではさまざまなことが起こり得ます。ルールに基づくものではありません。多くの変化する要因がリアルタイムで相互作用しているのです。

私たちはまず、より一般的な方法で世界を学び、理解できるデータドリブンのAIシステムを構築する方が良いだろうと考えました。そのため、単一のニューラルネットワークを構築し、運転を教え、交通の複雑さと多様性を理解できるようにしました。

どのようにAIをトレーニングするのですか?

私たちは、できるだけ多様なデータソースを使ってシステムを訓練しています。Wayveの自動運転車、パートナー車両の車載カメラ映像、さらには車両ではないロボットからのデータも含まれます。現在、世界中にはセンサーが搭載された数千万台の車が走り回っており、それらを使ってAIに学習させ、訓練させることができます。

また、AIはインターネットから直接学習します。WayveのAIは、英国政府が公開した道路交通法のPDF文書を読み、車両や道路、リスク、人間の価値観についてテキストを読んで学ぶだけでなく、科学、数学、文学、倫理など、より広範な情報も読み取ります。これにより、AIは学習データをはるかに超えた概念を理解し、汎用的な知能を持つことができます。

安全面での恩恵に加えて、より自動化された交通システムによって私たちの生活がどのように改善されるか、具体的に教えていただけますか?

第一に、完全な自動運転車は非常に快適な移動を提供します。まるで実際に専属の運転手が存在するような体験です。車内では素晴らしいインフォテインメントを体験できます。眠ったり、本を読んだり、子供たちと遊んだりすることができます。また、これまで運転手の存在が前提となっていた車のデザインや内装のレイアウトなども考えてみてください。

さらに、駐車についても考えてみてください。車が実際に使用されるのは約3%の時間に限られており、残りの97%は停車しています。道路上や家の外、駐車場に停車しているのです。

ロンドンでは現在、駐車場がハイドパークの10倍の面積を占めています。これらのスペースは使用されていない車両で占有されていますが、自動運転によってスペースを解放することができます。自動運転車は自動で駐車し、土地が安価なエリアで充電することができます。必要なときには、自動運転システムを利用して車を呼び出すことができます。

公共交通機関についても同様です。公共交通機関はコストが高いため、利用者が希望するほど頻繁に運行できません。しかし、交通の自動化によって、頻繁、効率的かつ個別対応可能なシステムを実現できます。

徒歩、自転車、超小型自動車、鉄道、自動車など、さまざまな移動手段を組み合わせた多様な交通システムを持つことが重要だと思います。AIはこれらすべてを最適化し、さまざまな方法で貢献できます。

私たちにはより豊かな都市を創造するオポチュニティがあるのです。交通の自動化は、約140年前の自動車の発明以来、私たちが経験してきた変化の中で最も大きなものだと信じています。

Wayveの技術は、自動運転車以外でどのような用途がありますか?

現在、Wayveは自動運転車に完全にフォーカスしています。データもAIも整っており、車も準備が整っているので、世界中の都市で自動運転を実現できます。

しかし、私たちのAIは特定の用途に特化したものではなく汎用性があるため、他のデータから学習し、他の状況にも適用できます。そのため私たちは、このAIを製造業から家庭用ロボットまで、さまざまなロボティクスに応用し、真の自動化時代を創造できると信じています。

エンボディドAIは、私たちが使用するかどうかを選択するツールを提供してくれると考えています。これにより、単調で危険な作業をツールに任せて、大切な時間をもっと人間らしいつながりや創造性、価値あることに使うことができます。

私の夢は、信頼できる知能を持つ機械や道具が、私たちがやりたくない仕事を引き受けてくれる世界です。

AIの発展を振り返るのは興味深いです。10年前にはコンピュータビジョンが大きなブレークスルーをもたらしましたが、ここ5年では主に言語が中心となっていました。次はロボティクスだと考えています。ペタバイトの映像データという次のレベルのデータスケールをもたらすからです。私たちは、新しくより優れたAI対応システムの構築を迫られるといった、本当にチャレンジングな課題に直面すると思います。

これらの機械がどのようなもので、どのように機能するか未知数です。特定のタスクに特化するのか、それともより一般的なものになるのか。人型になるのか、それとも全く異なる外見になるのか。しかし、私たちの生活のあらゆる面を支援し、補完してくれるインテリジェントマシンが登場するでしょう。

私たちは、まだロボットを作る必要があり、AIを適応させるためにはデータも必要ですが、これは確実に進展しています。その市場もあります。運転で構築したAIは、より汎用的で知能の高いものとなり、私たちは新しい領域へ進出できると考えています。

What dreams are made of