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2014年度新卒向けイベント 「ソフトバンク新卒LIVE2014 ~ 孫 正義から未来を担う皆さんへのメッセージ」

ソフトバンクグループの新卒採用向け会社説明会「ソフトバンク新卒LIVE2014 ~孫 正義から未来を担う皆さんへのメッセージ」が2月18日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催されました。ソフトバンクグループ代表の孫 正義が、大阪・福岡のサテライト会場も合わせ、約5,000人の学生の皆さんに対し、ソフトバンクグループがこれまで挑んできたこと、これから挑んでいくことについて約2時間にわたり熱く語りました。

渡米~マイクロプロセッサーとの出会い

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私は毎年このイベントで学生の皆さんから多くの情熱をいただいており、とても楽しみにしています。皆さんが、結果的にソフトバンクグループと縁がなかったとしても、今日のこのひととき、同じ空間で一緒に、これから進むべき人間社会や私の想いなどを共有したいと思います。

今日はソフトバンクグループが過去に取り組んできた「挑戦」と、未来に行うべき「挑戦」についてお話しします。
私が幼いころは、家はとても貧しく苦しい生活をしていました。そのような中、父が病に倒れ、わが家は危機的な状況に陥りました。私は悩みました。今私が高校を辞め、仕事をして家計を助けることはできる。しかし将来家族を幸せにすること、さらにはより多くの人々を幸せにすることが自分の使命だと考え、大きな志を持って単身渡米したのです。これは私にとって大きな「挑戦」でした。
留学中は鬼のように勉強しました。そしてこの留学中にマイクロプロセッサーに出会い、そこに大きな未来を感じたことが、後のソフトバンク設立のきっかけになりました。

ソフトバンクグループの「挑戦」の歴史

日本に帰った私は、1年半かけて成すべき事業を考えました。そして1981年、現在のソフトバンクグループの礎となる、株式会社日本ソフトバンク(現 ソフトバンク株式会社)を設立しました。
ソフトバンクの創業事業はパソコンソフトウエアの卸売事業です。そしてこの卸売事業の売り込みのため、大阪で開かれたエレクトロニクスショーへ出展し、さらにパソコン関連の出版事業への参入に乗り出しました。ソフトバンク設立時の資本金は1,000万円。ところがこの二つの「挑戦」のため、設立からわずか2カ月で資本金を全て使い切りました。まさに全財産を賭けた「挑戦」でした。

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その後パソコンソフトウエアの卸売事業は軌道に乗り、1994年、ソフトバンクは上場しました。そして次に狙ったのは、アメリカ進出です。当時、アメリカではインターネットのビジネスが始まったばかりでした。私は「インターネットこそが、これからの情報革命の中心になる」と確信しました。そこで、インターネットの世界へ飛び込むための「宝探し」を始めました。「宝探し」に必要なものは何か? それは「地図」と「コンパス」だと考えた私は、「地図」にあたる世界最大のパソコン関連の出版社であるジフ・デービスを2,300億円で、「コンパス」にあたる世界最大の展示会であるコムデックスを800億円で、それぞれ買収しました。上場を果たしたとはいえ、この当時のソフトバンクの時価総額が約2,700億円であったことから、またしても全財産を賭けた「挑戦」になりました。しかしこの「地図」と「コンパス」の中から見いだすことができたのが、アメリカのYahoo! Inc.だったのです。
1996年当時のYahoo! Inc.は、まだ社員が5、6人、売上が月1,000万円で、毎月赤字の小さな会社でした。しかし、そこに100億円もの巨額を投資し、さらにこの投資の翌月には、日本でYahoo! Japanを立ち上げました。これが日本において、インターネットが本格的に普及するきっかけとなったと自負しております。

ところがここで問題に突き当たりました。それは日本のインターネットは速度が遅い、料金が高いという問題でした。当時、日本の通信はNTTが事実上100%独占していました。「このままではインターネットの世界で日本が取り残されてしまう」と危機感を持った私は、政府に対し規制緩和を訴える一方、2001年に自らの手で高速インターネット接続サービス「Yahoo! BB」を開始しました。ここに巨大企業NTTへの「挑戦」が始まったのです。
「Yahoo! BB」は、資金も経験も技術もなく、大変困難なスタートとなりました。サービス開始直後、申し込みが殺到しなかなか開通することができず、お客さまから多くの苦情をいただきました。NTT局舎での工事も難航し、さらには毎年1,000億円規模の赤字を出しながらのぎりぎりの「挑戦」でした。しかしその結果、日本のブロードバンドは世界で最も速く、最も安くなり、インターネットの普及に貢献することができました。

モバイルインターネットの世界へ

実は私には「Yahoo! BB」を展開しているころから、「インターネットはいずれモバイルインターネットに移っていく」と確信がありました。そして移動体通信事業への参入を目指し総務省との幾度もの交渉を行い、紆余曲折を経て、2006年にボーダフォン日本法人を買収しました。当時、やっとブロードバンド事業による赤字から抜け出したソフトバンクグループにとって、2兆円をかけたこの買収もまた、極めて大きな「挑戦」でした。買収したボーダフォンには、電波がつながりにくい、携帯電話端末ラインアップが少ない、店舗が少ないなど、他社と比べてさまざまなハンディキャップがありました。そこで、これらを克服するための「4つのコミットメント」を掲げ、画期的な料金プランである「ホワイトプラン」や業界初の割賦販売方式の導入など、次々と新しい取り組みを行いました。
このように、業界の常識に挑戦し続けたことで業績は急回復し、現在ではついに利益面でKDDIを抜くことができました※1。また電波のつながりにくさについても改善を重ね、音声接続率、データ接続率ともに、第三者機関による調査でついに1位になりました※2。夢を掲げ、志を持って前向きに取り組んでいけば、結果は必ずついてくる。ソフトバンクグループの歴史は、まさに「挑戦」の歴史だと言えるでしょう。

皆さんと挑む未来

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最後に「皆さんと一緒に挑んでいく未来」について語りたいと思います。それはアメリカ市場への「挑戦」です。ソフトバンクは、ウィルコム、イー・アクセスそして、アメリカの大手移動体通信事業者であるスプリント・ネクステルを新たな仲間に迎えようとしています。これを実現することで、国内の携帯電話契約数ではNTTドコモとKDDIを抜き、売上高では世界3位の通信事業者に躍り出ることになります※3。そして、どうせならアメリカでもトップを目指します。なぜならわれわれが本当のリーダーとなって、情報革命を引っぱらなくてはならないと考えるからです。そのためにソフトバンクは、アメリカの通信市場138年の歴史に「挑戦」します。

学生の皆さん、「挑戦」する者にのみ将来は開かれます。私たちと一緒に「挑戦」しましょう。世界に「挑戦」できる集団になりましょう。

ありがとうございました。

(掲載日:2013年3月14日)

  1. 各社の開示資料を基に当社算出

  2. 2013年1月29日時点 イプソス株式会社による全国調査

  3. 2012年1~6月期 ソフトバンクグループはイー・アクセス、ウィルコム、Sprintを単純合算 各社開示資料を元に当社算出