次なるパラダイムシフトへ向けた情報革命を

ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役社長 孫 正義

今日はソフトバンクグループとARM Holdings(以下「ARM」)にとって歴史的な日となります。私たちは、人々の生活をより便利で安全に、かつ満たされるものにするテクノロジーを世界に提供するために、共通のビジョンと志をもつに至りました。ARMはソフトバンクグループの一員となることで、ビジョンやミッション、事業もそのままでありながら、さらにより良いものになっていきます。

今日は、この両社がなぜより良い未来を共に分かち合うことができるのか説明したいと思います。これまで、ソフトバンクグループとARMはコンピューティングとコネクティビティの中核になる技術を世に送り出してきました。毎日のように、世界中の人々の生活とビジネスの現場に役立つ4千万個以上のARM設計のチップがARMのパートナーによって出荷されています。また同じように、ソフトバンクグループは日本と米国において、1億を超える人々や機器に対して移動通信や固定通信によるコネクティビティ、数多くのインターネットサービスを提供し、AI、スマートロボット、IoTの新規事業を開拓しています。

ただ、私たちは単にチップの出荷数、接続しているユーザー数、もしくは売上高によってのみ成功したと考えているわけではありません。私たちは、人類の役に立つためにテクノロジーは進化を続けるべき、と信じています。別の言い方をすれば、私たちは、ソフトバンクグループが提唱する「情報革命」の真の可能性を追求していくことが、人々の幸福や喜び、ひいては世界の未来への貢献につながると信じています。このような考えは大胆かもしれません。しかし、このように考えるからこそ、テクノロジーは何を生み出すことができるのかという、まさにその核心へ迫ることができるのです。

ソフトバンクグループは、パソコンのソフトウエア流通から事業を開始し、インターネット、モバイルインターネットと、テクノロジーの進化をリードしてきました。そして、ARMは情報革命における次のパラダイムシフト「IoT」の中核です。ARMはソフトバンクグループの中核として、今よりもさらにスマートで、よりつながる世界に向けて、新しいテクノロジー、インフラ、プロダクト、サービスの創造にこれまでよりも迅速に取り組めるようになります。

このたびの買収は、ARMのパートナー、双方の従業員、協業する全ての人々にとって、より明るい未来につながると信じています。この買収は、ARMの経営方針を変更するものではありません。ARMの経営幹部に変更はなく、今後も中立性、省電力で革新的なテクノロジーを多様な市場に提供すること、パートナー、株主、人々と利益を分かち合うこと、という同社の成功の基盤に継続してコミットしていきます。

ARMは、プロセッサーのデザイン、システム、ソフトウエア、フィジカルIP、セキュリティー技術、ワイヤレス、スマートコネクテッドプラットフォーム研究開発にさらに集中していくことで、私たちのテクノロジーの拡張を継続していきます。ARMはソフトバンクグループの一員として、世界中の人々をつなぐ新しいテクノロジー開発に情熱を傾ける人を魅了し続ける、先進的なエンジニアリング企業としてさらに成長していきます。

私たちは、本買収は、両社の合算した価値をはるかに超える価値があると信じています。ソフトバンクグループは移動通信からロボティクスまで、多くのテクノロジーに関わりがあります。ARMはデジタルの世界において、半導体設計分野のリーダーです。私たちが共に歩むことで、この産業の歴史において重要となる新しいチャプターを刻むこととなるでしょう。これまでも私たちは未来志向でしたが、一緒になることで、さらに大きな志を抱くことができます。先進ロボティクス、5Gネットワーク、グリーンデータセンター、スーパーコンピューター、インテリジェントコネクテッドデバイスなどさまざまな分野で、私たちはポジティブな変化を実現していきます。今まさに私たちの志を実現するときです。情報革命で人々を幸せに。

以上

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