ムーディーズの格付けの取下げについて

ソフトバンクグループ株式会社

当社は本日、ムーディーズ・ジャパン株式会社(以下「ムーディーズ」)から取得していた発行体及び外貨建て債券に対する格付けについて取り下げることといたしました。

本日公表されたムーディーズの格付変更について、当社の考えは以下の通りです。

当社が2020年3月23日に発表した資産売却プログラム(以下「本プログラム」)は、株主と債権者の皆様の利益に資する目的で実施するものであり、実施後には株主還元策としての評価に加え、当社の信用力は改善するものと確信しております。本プログラムは、最大4.5兆円の資産売却等を実施し、うち最大2兆円を自己株式取得、残額を社債買入れを含む負債の大幅削減にのみ充当するものです。

ムーディーズは今回の格付けアクションの理由として、当社の財務方針に対する懸念を説明しております。同社は従前から当社の財務方針をアグレッシブ(ネガティブ)と判断していますが、当社としては、本プログラム実施をムーディーズの格付基準(クライテリア)に反映させた場合でも、2ノッチもの格下げを行う合理性は無いものと考えております。当社としては、このようなクライテリアを大きく逸脱したと思われる格付評価は、格付けに基づき投資判断を行う投資家の皆様に誤解を生じさせるものであり、財務改善に取り組む発行体を大きく混乱させるものと考えております。

本プログラムは、資産売却等に合わせて、自己株式取得及び負債削減を行うものとして公表しています。この方針については、当社経営陣は、ムーディーズに対しても繰り返し説明を行っています。にもかかわらず、株主還元の金額のみをとらえた財務方針の評価、すなわち当社の信用力改善への取り組みとしての資産売却等及び負債削減の方針を全く考慮していないと思われる格付けアクションとなっており、当社の考え方が全く反映されていないものと懸念しております。

ムーディーズは、この環境下の資産売却等について、当社が大幅に低い価格での資産売却等を強いられることを懸念していますが、当社は、ムーディーズに対し、1年をかけて本プログラムを慎重に実施していくことや、最大4.5兆円の資産売却等は実際には27兆円にのぼる保有資産(うち75%は上場株式)の中からいくつもの実行の選択肢を持ちうる点を既に繰り返し説明してきました。

また、ムーディーズは資産売却後のポートフォリオの質の悪化を懸念していますが、仮に同社の考える「評価の高い」資産(上場株式)を売却したとしても、当社としては、ポートフォリオに占める上場株式の割合は70%以上となり、かつLTVも改善するため、定量的には、本プログラムの実行は信用力評価上ポジティブであり、そもそも格下げを行う理由が存在しないものと考えております。

今回のムーディーズの格付アクションは、市場環境についてのムーディーズの過度に悲観的な想定、及び当社が何の熟慮もなく市場で性急に資産売却を行い、さらに財務改善を行わないという、誤った理解と憶測に基づくものと考えます。当社からの再三の説明や市場への説明を無視し、一方的にこのような判断がなされたことは許されることでは無いと考えます。

今般、当社は投資家の皆様における当社の信用力評価に誤解のないように、また、当社の説明を理解していないと思われる情報で市場が混乱することを避けるため、当社の発行体及び外貨建て債券に対するムーディーズからの格付けを取り下げます。

当社の事業戦略は、2020年3月23日付の当社プレスリリース及びマネジメントからのメッセージの通り、事業の長期的な成長に対する取締役及び経営陣の自信をあらわすものであり、本プログラムの実行は当社の事業戦略の一環として当社の信用力を改善させるものと確信しております。

ムーディーズに対しては、今回の格付けアクションの前に、当社の考え方を繰り返し説明した上で、当社の考え方を否定するだけの合理的な説明を求めておりましたが、ムーディーズから当社に対して現在に至るまで説明はなされておりません。

なお、本プログラムに対し、S&Pグローバル・レーティング社(S&P)は「実現すれば信用力への下方圧力を緩和」、日本格付研究所(JCR)は「格付けへの影響は限定的」と発表しています。

以 上

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