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合同入社セレモニーあいさつ(骨子)

本日開催した2024年度ソフトバンクグループの合同入社セレモニーで、グループ代表の孫 正義が、国内グループ企業の新入社員約890人に向けてあいさつしました。

皆さん、おはようございます。
4月1日は私にとっても節目の日です。桜の花が咲き始め、われわれのグループにも新しい社員の皆さんが入ってきて、会社全体が活性化される。そういう息吹を感じます。私がソフトバンクグループを創業して40年余り、あっという間に過ぎました。でもおそらくこれからの5年間は、人類の歴史の中で最も重要な5年間になるのではないかと思っています。

AGI(Artificial General Intelligence)はいつ来るのか。AIが人間よりも賢いのか、人間より賢いAIが生まれるのかという議論がいまだに起こっています。答えはシンプルで、必ずAIは人間よりも賢くなります。金魚がどんなに優れたトレーニングや経験をしようとも、人間より賢くならない。何が違うのかというと、脳の働きは、脳細胞の中のニューロンの数によって決まりますが、金魚と人間のニューロンの差は約1万倍。これだけ差があると、どんなに優れた金魚でも平均的な人間より賢くなることはあり得ないわけです。これは物理の法則です。AIも、基本的には2進法を複雑化して、人間の脳細胞の働きと同じようにいろいろなものを考えたり記憶したりするわけですが、トランジスタの数が圧倒的に増えています。トランジスタの数が増え、そしてさまざまな形で連動して動き、データがその上で走ることで、脳細胞に近い働きをするのです。

私が考えるAGIの定義は、人間の叡智の総和の約10倍ということです。昨年、ChatGPTが知られ始めました。今はGPT4ですが、それの50万倍から100万倍の能力を持つに至る頃には、AGIがほぼ来るのではないかと私は考えています。金魚と人間のニューロンの差はたった1万倍です。GPT4は昨年医学試験と法学試験に合格しましたが、その100万倍が例えばあと5年でやってくると想像してみてください。われわれの目の前にある常識がことごとくひっくり返っていきます。AGIを先に手にしたものが21世紀、22世紀を制覇する時代がやってくると思います。AGIの次にはASI(Artificial Super Intelligence)がおそらく10年以内には来るのではないかと思います。皆さんが20代の頃にAGIがやってきて、30代の頃にASIがやってくる。ASIの世界では人間対蚊よりもニューロンの差が開いて、人間対アメーバくらいになります。われわれが今から体験する5年間、10年間で、人類が体験したことのない世界がやってくると、私は信じています。みなさんは大変重要な時期に生まれたということです。

われわれソフトバンクグループはさまざまな形でAGI、ASIの世界に関与していくことになると思います。多くの日本の方は、ソフトバンクは携帯電話の会社だと思われているのではないかと思いますが、40年の歴史の中で、携帯電話事業をグループに入れたのはほんの十数年前です。今から10年、20年、30年、50年、皆さんが元気に生きている間に、情報革命はものすごい勢いで進化します。ソフトバンクグループは情報革命屋さんで、情報革命をするのが使命です。では、何のための革命をするのか。それは、情報革命で人々を幸せにしたいということです。毎日、がんや交通事故などで人が亡くなり、多くの人々、家族、友人が悲しみに暮れています。AGI、ASIの世界になり、そういった理由で人々が悲しまなくて済む世界にしたい。AGIにつながったロボットが生まれると、人間のさまざまな筋肉を使う仕事をやるようになり、衣食住を行う分はロボットとAGIが提供してくれるようになっていくでしょう。そうすると、人間は何のために働くのか。仕事とは、幸せとは、人間関係とは何か。根本的なことを考え、議論し、もう一度再定義していくことが必要となっていきます。それが目の前にあるのです。みなさんが現役の間に起きるわけです。

5年以内にAGIが、10年でASIが来る。仮に5年、10年ずれたとしても、それは10万年、20万年の人類の歴史で考えれば誤差です。そういう世界が来た時に、自分たちは何をすべきか。われわれグループの皆さんは、人々を幸せにするために情報革命をやっているのだ、AGI、ASIの一部分をわれわれのグループが担ってやっていくのだ、という思いでやっていただきたいと思います。少なくとも日本では間違いなくトップグループになる。私は世界でそのトップグループの一社になろうと本気で思って毎日過ごしています。

言いたいことは一つです。AGIは来る。すぐそばにある。われわれがそのAGIの世界を、日本であるいは世界で一日も早く実現させて、人々を幸せにしたい、悲しみを減らしたい、喜びを増やしたい。そのためにわれわれは仕事をする。それがわれわれの理念であり、存在価値だということです。入社したら、いろいろな仕事が待っていますが、それも経験だと思います。不満がある時は上司とぶつかり合っていいと思います。そのくらいして進化していきましょう、発想を解き放っていきましょう。みなさん一緒にがんばりましょう。よろしくお願いします。

合同入社セレモニーあいさつ(骨子)合同入社セレモニーあいさつ(骨子)

(掲載日:2024年4月1日)