LINEヤフー株式会社は2021年に「AI倫理に関する有識者会議」を設置し、AI活用やガバナンス体制整備について継続的に議論しています。また「AI倫理基本方針」を制定し、専門組織であるAI倫理ガバナンス部門を設立することで、全社的な生成AIの活用を推進しています。2025年3月には、AIの開発・提供・利用にあたって想定されるリスク対応策のベストプラクティスを網羅したガイドラインを社内展開し、ガバナンスの一層の強化を図っています。社員の啓発や研修にも積極的に取り組んでおり、生成AIの利用に伴うリスクやプロンプト作成を学ぶための全役職員受講必須の研修を年2回実施しているほか、2025年1月には、「難しい」を「楽しい」に変えるをコンセプトに生成AI活用方法やプロンプトエンジニアリングを学べる「Generative AI Boot Camp」を展開しました。これは、業務の隙間などを活用してステップアップできる自律的な学習を促す仕組みで、社員のAI活用能力向上を後押ししています。
サステナビリティ
責任あるAI
ソフトバンクグループは、常に情報革命の最先端に立って人々を幸せにすることを使命としています。現在その最先端にあるAIの恩恵を広く社会全体が享受できるよう、ASIの実現に向けて取り組むとともに、世界で最もAIを活用するグループを目指し、責任あるAIの実現に向けた取り組みを推進しています。
適切なグループAIガバナンスの確立に向けて
ソフトバンクグループ株式会社は、「責任あるAI」を優先して取り組むべきサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)のうち最も優先度の高いマテリアリティとして特定し、適切なグループAIガバナンス体制の確立を目指しています。
その一環として、2024年4月にソフトバンクグループ株式会社の関係部門および主要なグループ会社で構成されるAIガバナンスワーキンググループを、グループ・リスク・コンプライアンス委員会(GRCC)の傘下に設置しました。同ワーキンググループでは、定期的にベスト・プラクティスの共有を行うとともに、グループにおけるAIガバナンスの在り方について議論を重ねています。
AIガバナンスワーキンググループ体制図
AIの積極的な活用を目指して
ソフトバンクグループ株式会社は、ASIの実現に向けて、AIを積極的に活用するための基盤となる取り組みを推進しています。具体的には、当社の倫理規範である「ソフトバンクグループ行動規範」に責任あるAIに関するアクションステートメントを追加するとともに、ソフトバンクグループ株式会社の全役職員を対象とする研修を通じて社内浸透を図っています。また、ソフトバンクグループ株式会社ではAI利用者・開発者・提供者それぞれに向けたガイドラインを制定しているほか、社内でAIを開発・導入する際は、情報セキュリティ委員会による事前評価を行うことでリスク低減を図る仕組みを整えています。さらに、グループ会社に対する年次アセスメントなどにより各社の取り組み状況やリスクを把握するなど、グループ全体で適切なAI活用を推進しています。
次世代AI研究パートナーシップに対する支援
ソフトバンクグループ株式会社は2025年5月、アームと共に米国カーネギーメロン大学へ総額1,550万米ドルを寄付し、同大学と慶應義塾大学の次世代AI研究パートナーシップを支援することを発表しました。
このパートナーシップは、2024年4月に日米両政府により発表されたAI分野における産学研究連携の一環であり、AI分野における国際的なリーダーとしての日米両国の結びつきをさらに強めることを目的としています。
ソフトバンクグループ株式会社とアームによる支援のもと、カーネギーメロン大学と慶應義塾大学の研究者は「マルチモーダルおよび多言語学習」「ロボティクスにおけるエンボディドAI」「人間との共生を目指す自律型AI」「ライフサイエンスおよび科学的発見のためのAI」という4つの主要分野において研究に取り組みます。
また、ソフトバンクグループ株式会社は今回の寄付により、重点分野の研究支援に加えて、「ソフトバンクグループ–Arm フェローシップ」を創設し、カーネギーメロン大学の博士課程の学生を支援します。フェローシップに採用された学生の研究内容は、カーネギーメロン大学の公式サイト内、Storyで紹介されています。また、学部生向け学術プログラムも支援し、次世代の人材育成に貢献します。
こうした取り組みを通じて、ソフトバンクグループ株式会社は先端的な研究と人材育成を後押しし、責任あるAIの発展と社会課題解決に寄与していきます。
AI活用による業務最適化
ソフトバンクグループ株式会社は、社内におけるAI活用も進めています。その一例として、これまで人が対応していた社内からのOA環境などに関する各種問い合わせに自動応答するAIチャットボットを導入しており、業務の効率化と社員の利便性向上および業務負担軽減に寄与しています。
グループ各社の取り組み
リスクレベルに応じたAIガバナンスを推進(ソフトバンク株式会社)
ソフトバンク株式会社は、AIを適切に活用し顧客に安全・安心なサービスを提供するため、「ソフトバンクAI倫理ポリシー※」を制定するとともに、独立した専門部門を中心に関係部門・関係者と連携し、ガバナンスを推進しています。2024年4月からは社外有識者が参画する「AI倫理委員会」を設置し、国内外の規制動向や課題などを踏まえた議論を行っています。加えて、2024年12月には、AIサービスの迅速な開発・提供とリスク対策の両立を目指す「リスクベースアプローチ」の運用を開始しました。これは、案件のリスクレベルに応じた適切なガバナンスを適用する仕組みで、審査にメリハリを持たせることで、現場の過度な負担軽減とリスク低減の両立を実現しています。また、ソフトバンク株式会社ではAI倫理・ガバナンス教育にも注力しています。具体的には、年1回のeラーニング研修、年2回の勉強会、毎月配信のメールマガジンなどを通じて、社員のリテラシー向上を図っています。なお、これらの活動や知見はビジネスとしても活用されており、自社にとどまらず、社会全体のAIガバナンス水準の向上を通じて責任あるAI社会の実現を目指しています。
2025年10月末時点でソフトバンク株式会社傘下のグループ会社88社に適用
自律的学びで進めるAI活用(LINEヤフー株式会社)