私は26年前、ちょうど皆さんと同じ年齢のころに、日本ソフトバンク(現 ソフトバンク)を創業しました。九州の雑居ビルを間借りしてのスタートです。アルバイトを2人雇い、みかん箱の上に立って、「いずれ売上高を1兆円、2兆円と数えられる規模の会社にするぞ」と演説しました。
2人はそれを聞いてキョトンとして、1週間たったら辞めてしまいました。私のことを少し変わった人だと思ったようです(笑)。しかし、今やソフトバンクは連結売上高が1兆円を超え、グループ企業が約800社、社員数は17,000人規模となり、ほぼその時イメージしていたとおりの企業になっています。ただ、規模こそ大きくなりましたが、私の気持ちは当時とまったく変わっていません。
もちろん、これまでの過程には、様々な困難がありました。「ソフトバンクはもうつぶれる」と言われたことも何度もあります。ただ皆さんにお伝えしたいのは、例え困難があっても、自分の気持ち次第で人生は変わるということです。よく物事がうまくいかない理由を、周囲や社会のせいにしまうことがあると思います。自分のことをかわいそうだと思って、自分が間違った方向に行くことを正当化してしまう経験は、誰にでもあるでしょう。しかし、それでは自分が一番損をしてしまいます。むしろ困難や苦労を自分を鍛えるチャンスだととらえ、真正面から乗り越えていく。若いころからこうした経験をたくさん積めば、人生がまったく違ったものになるのではないでしょうか。