次の30年、ソフトバンクのビジョンは、「モバイルインターネットを制するものがインターネットを制する」「アジアを制する者が世界を制する」この2つです。ソフトバンクは世界一のインターネットカンパニーを標榜して、世界最大の携帯電話ユーザーを持つチャイナモバイル・リミテッドと、世界最大の売上を持つボーダフォングループPLCとのジョイントベンチャー「JIL(ジョイント・イノベーション・ラボ)」を設立しました。3社のユーザーを合わせると約10億人です。かつて坂本竜馬は薩摩と長州を同盟させ明治維新を起こしましたが、我々は世界1位と2位の携帯電話会社と連合軍を作ったわけです。日本は世界一携帯電話が進んでおり、そのノウハウを持つソフトバンクが2社にアイデアを提供し、世界中のお客様に対して新しいビジネスモデルやテクノロジーを作り出し、モバイルによるインターネット革命を提供していこうとしています。
「アジアを制する者が世界を制する」のはなぜか。中国のGDPは2年後に日本を抜き、20年以内にアメリカを抜き、その後インドも日米を抜くと言われています。21世紀はどんな業界でも、アジアを制さなければ世界一にはなれないのです。ソフトバンクグループは、さっそく中国で「アリババ・ドットコム」を中心に、BtoBビジネス、ネットオークション、電子決済、SNSの4つで圧倒的No.1のポジションを確立しました。これに日本のNo.1サイトである「Yahoo! JAPAN」を合わせて、アジアのインターネットNo.1をほぼ手中にしています。この2つのビジョンを実現できたなら、ソフトバンクは自信を持って、将来に向けた経営をしていけると考えています。
日本で最初に株式会社を作ったのは坂本竜馬です。彼は明治維新を起こしただけではなく、日本で最初に「会社」を興した人物なのです。「会社」を英語に訳すと「カンパニー」です。「カンパニー」の語源は、“一緒にパンを食べる仲間たち”、すなわち一緒に生活し、パンを分かち合い、苦楽を共にする仲間のことを言います。「志」を持った人たちの結合体、それが「会社」なのです。もしソフトバンクに入って一緒に仕事をしていただくのであれば、お金や生活のためだけではなく、一緒に苦楽を共にできる、そんな人に来ていただきたい。人類が生み出したコンピューターという文明の利器を、正しい「志」のために利用する仕事のために一緒にやってほしい。そして人類のあらゆる知恵と知識を分かち合い、より豊かでより楽しくより幸せな社会を作る、21世紀の新しいライフスタイルを提供する、そういう理念のもとにがんばっていきたいのです。
夢を「志」にしていきたい。ありがとうございました。