IR情報
アニュアルレポート 2021 ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資戦略
実現されていくビジョン
ソフトバンクグループ(株)副社長執行役員
CEO, SoftBank Investment Advisers
ラジーブ・ミスラ
2020年度は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、また世界にとって、大きな転機となった一年でした。
新型コロナウイルスが引き起こした混乱によって、われわれの誰もが予期し得なかった大きな影響を受けました。個人としても組織としても、これまで以上に機敏に行動し、未知の領域に進むために団結することが求められました。一生に一度あるかないかのこのような逆境下で、われわれはより強靭になったと思いますし、チームが示してくれたレジリエンスには頭が下がります。われわれは休むことなく、自社のため、リミテッド・パートナーのため、そして投資先のために尽力してきました。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドを未公開企業への投資の中心的存在に据えることで、ソフトバンクグループは投資会社への転換を成し遂げてきました。設立から2021年3月末までに、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1は、14社の投資先が上場を果たし、550億米ドルの累計投資利益(グロス)※1を創出し、リミテッド・パートナーへ223億米ドルを分配しました※2。最近のハイライトとして、Auto1、Coupang、DoorDash、Opendoor、Relay Therapeuticsの新規株式公開や、OSIsoftの売却が挙げられます。また、発表済みのGrabやWeWorkのSPAC(特別買収目的会社)との合併や現在進行中のNVIDIAによるアームの買収も、取引完了時には多大な価値を生み出してくれるでしょう。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド2※3も力強いスタートを切りました。2021年3月末現在、投資先44社※4に67億米ドル※1を投資しており、強力な投資先候補のパイプラインをグローバルに有しています。BeikeやSeer、Qualtricsが株式公開したことで、設立来の投資利益はすでに40億米ドル※1超押し上げられました。
2021年度はエキサイティングな1年になるでしょう。われわれの投資の矢筒には沢山の弓矢が入っています。アーリーステージからIPOまで、さまざまなライフサイクル上のステージにある企業とパートナーシップを組める柔軟さもあります。他に類を見ないわれわれのエコシステムはこれからも成長を続け、企業の成長を加速させるポテンシャルで、ますます起業家たちを惹きつける存在になっていくことでしょう。
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※1:当社連結ベース
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※2:分配額には、ファンド設立から2021年3月末までにリミテッド・パートナーへ分配または支払われた実現収益および優先出資投資家への固定分配が含まれ、ただちにファンドに留保・再投資された再コール可能な払込資金返還額を差し引いています。また、再コール可能な未使用の払込資金返還額を含みません。
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※3:本資料に記載の情報は情報提供のみを目的として提供されるものであり、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)を含むいかなるファンドのリミテッド・パートナーシップ持分の販売の申込みまたは申込みの勧誘を行うものではありません。SVF2は外部投資家の参画を含むクロージングを行っておらず、参画可能性のある外部投資家は、クロージングに先立ち、SVF2の投資に関する追加情報を入手することとなります。
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※4:投資先の件数は、ファンド設立から2021年3月末までにSVF2が行った投資および既存投資先との合弁会社を含みます。投資に関連するヘッジ取引は含まれません。
永く続く組織に
始動からわずか4年間で、今後何十年もAI企業へ投資できる構えができました。SoftBank Investment Advisersは現在、世界10拠点に300名以上の従業員を擁し、まだ成長し続けています。強力な投資チームに加えて、ライフサイクルを通じて投資先をサポートできるような組織を構築してきました。
例えば、経験豊富な実務家が集うオペレーティング・グループは、投資先の新規市場参入や成長を助け、ソフトバンクグループのエコシステムが活用できるよう支援しています。投資先に同じ投資先企業とはもちろん、ソフトバンクグループのグループ会社や投資先とも協力関係を築いてメリットを享受してもらう上で重要な役割を担っています。
また、100名以上の従業員が、コンプライアンス、投資リスク、オペレーショナル・リスク、内部監査、バリュエーション、法務などの管理部門で従事しています。バリュエーション・チームは四半期ごとに投資先一つひとつについて分析と公正価値評価を行っています。
キャピタル・マーケッツグループでは、現在500億米ドル相当以上の上場株式の運用を行っており、規律あるバランスのとれた保有資産の資金化に貢献しています。投資先の上場が増えるにつれ、われわれの保有上場株式も増えていくことでしょう。
持続可能で公平な未来
われわれには、未来のテクノロジーに投資することが、明日の社会と経済により大きなリターンをもたらすという確固たる信念があります。
投資からソーシャルインパクトへの取り組みに至るまで、世界にポジティブなインパクトを生み出そうと努力しています。設立当初から、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿って活動を行ってきました。SDGsが謳うミッション主導のフレームワークは、投資先の創業者やわれわれの従業員、リミテッド・パートナーが重視するものと合致します。2020年度は、多くの投資先が、世界各国で新型コロナウイルスの感染拡大にいち早く対応し、治療法の開発や最前線で働く人々への支援、必需品の供給などに貢献しました。
今後も、社会をよりよいものにするために、テクノロジー企業やベンチャーキャピタルの世界のエコシステムをより公平なものに育んでいくための具体的なアクションを起こし続けるつもりです。今年で2年目となる「Emerge」プログラムでは、ダイバーシティを促進するために、過小評価されている創業者と、事業を拡大するために必要な資金、ツール、ネットワークとを結び付けることに取り組んでいます。先日、「Emerge」の第2期の募集を、今回はヨーロッパで開始しました。今年はソフトバンクグループならではの招集力を活用してプログラムを拡大しており、この重要な取り組みに、ヨーロッパの主要なベンチャーキャピタルやシードステージ投資家に協賛をいただいていることをうれしく思います。
ビジョンを加速
孫さんと同じく、私も常々、AIが経済にもたらすインパクトは、PCやインターネット、モバイルといった情報革命の各ステージよりもさらに大きなものになると信じてきました。少し前のテクノロジーがもたらした革命は広告やイーコマースなど一部の業界にしか波及していませんが、AIは、世界の全ての産業を大きく転換させると確信しています。新型コロナウイルスがもたらしたパンデミックは、孫さんのビジョンが正しかったことを証明し、さらに加速させています。
今後、新型コロナウイルスによるパンデミックが恒久的に経済を変化させていくことは明らかであり、その道筋はまだ分かり始めたばかりです。パンデミックが加速させたことのほとんどは今後も続くでしょう。人は、新しい習慣が確立されると、それが生活をより楽にするものであればなおさら、その習慣から離れられなくなります。このことは、イーコマース、エンターテインメント、ヘルスケア、教育、フィンテック、食料デリバリー、物流など、需要が急増している多くの産業でイノベーションを推進しているわれわれの投資先に、特別に大きなベネフィットをもたらすと確信しています。
非常に大きな機会とリスクが併存する、狭間の時代です。この移行期に、賢明な投資と資金化を行い、投資先がこの時期を乗り切れるよう支援できるかどうかが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの最終的な成功を左右することになるでしょう。
裏付けられていくビジョン
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※5:資金調達ラウンド、上場、戦略的エグジットには、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2の投資を含みます。
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本項の情報は、例示のみを目的として本書の日付時点でのSBIAの見解を反映し記載しており、さまざまな不確定要素を伴う多くの仮定および見積りに基づいています。記載された見通し、目標または見積りは多くの重要なリスク、制約、制限、例外により本項で例示するシナリオや結果が重大な悪影響を受ける可能性があります。したがって、実際の結果は記載と著しく異なる可能性があります。疑義を避けるために付言すると、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2またはSBIAにより運営される他のファンドまたは投資ビークルのいわゆる「トラックレコード」やパフォーマンスの見込みと理解されるべきではありません。本項に記載された計画が、記載の条件で、またはその全てが実現される保証はなく、全て不確実性とリスクにさらされるほか、該当する場合、投資家の同意と規制当局の承認を要します。ここに記載の投資先は例示を目的として選択的に掲載されており、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2の全投資先の一覧を意味するものではありません。
本項に掲載された投資に関する言及は、特定の投資対象または証券の推奨と解釈してはなりません。将来行われる投資が、本項に説明される投資と質またはパフォーマンスの点で同等であると仮定すべきではありません。ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2の投資先のより網羅されたリストは、22~23ページをご覧ください。投資の売却またはIPOに関する情報は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2の過去および現在の上場投資先の例示する目的で掲載しており、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1および2の全投資先の一覧ではありません。投資の結果は、投資家個人により異なる可能性があります。特定の投資対象に関する言及は、特定の投資対象または証券の推奨と解釈してはなりません。
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本ページにおける情報は2021年7月末現在のものです。