株主・投資家情報(IR)
株価を意識した経営の実施状況
現状評価
ビジネスモデル
戦略的投資持株会社である当社は、NAV(Net Asset Value:保有株式価値-調整後純有利子負債で算出)の持続的な拡大を通じて企業価値の最大化を目指しています。NAVの拡大を目的に、ソフトバンク・ビジョン・ファンド※1により、AIを活用して各分野をリードする成長可能性の大きな企業に投資、その株式価値を高めた上で適切なタイミングで売却、回収した資金を再び成長可能性の大きな新たな企業に投資することで、「投資のリサイクル」を継続的に行っています。このほか、2016年9月に買収した半導体IP大手アームのように、当社が直接戦略的な大型投資を行い、経営や事業戦略に深く関与しながら株式価値の向上に取り組むこともあります。いずれについても投資判断を下す上では、市場規模、競争環境、ビジネスモデル、事業戦略、経営陣の意欲・能力などを踏まえて十分な投資リターンを生み出せるか総合的に検討しています。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド1、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド
市場評価
当社の価値を測る上では、連結純資産や期間損益に基づく指標ではなく、戦略的投資持株会社としての時価純資産であるNAVこそが最適な指標と考えており、市場評価を見る上では1株当たりNAVと株価の比較が妥当と認識しています。1株当たりNAVは企業の解散価値と言うことができるので、本来は、ゴーイングコンサーンとしての企業の株価は1株当たりNAVを上回ることが期待されています(税金考慮前)。しかし、この数年は株価が1株当たりNAVを大幅に下回る「NAVディスカウント」の状態が続いています。その要因としては、①ソフトバンク・ビジョン・ファンドを中心とした投資パフォーマンスが低迷し、株主や投資家から成長ストーリーが見えにくくなっていること、②非上場資産を中心に保有株式価値がさらに減少する可能性が高いと見られていること、③半導体市況が引き続き厳しい中、アームの上場時の株式価値や上場のタイミングが不透明なこと、④多様な投資資産やグループストラクチャー、資金調達手法など、株主や投資家にとっての“理解の難しさ”、などが挙げられます。
2019年3月末 | 2020年3月末 | 2021年3月末 | 2022年3月末 | 2023年3月末 | |
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株価(円) | 5,373 | 3,788 | 9,330 | 5,559 | 5,182 |
1株当たりNAV(円) | 10,688 | 10,792 | 15,354 | 11,206 | 9,656 |
NAVディスカウント(%) | 50 | 65 | 39 | 50 | 46 |
1株当たりNAVの定義はこちらをご参照ください。
NAVディスカウントの改善に向けた方針・取り組み
当社は、NAVディスカウントを縮小し、いずれは株価が将来の成長期待を織り込んで1株当たりNAVを上回る「NAVプレミアム」の状態にするために、まずは前述のディスカウント要因を解消していく必要があると考えています。ソフトバンク・ビジョン・ファンドについては、現在の市場環境を踏まえて引き続き「守り」を維持しつつも、情報革命を牽引する投資は実行し、株主や投資家から成長ストーリーが見えやすくなるよう努めていきます。また、アームの上場については、同社が米国証券取引委員会に同社普通株式を対象とした米国預託証券の新規公開計画に関するForm F-1の登録届出書ドラフトを非公開で提出したことを2023年4月に公表しました(プレスリリース)。今後も大きな進展があれば随時情報を開示していきます。さらに、株主や投資家にとっての “理解の難しさ”については、引き続き徹底的に対話をし、理解の促進や疑問の解消に努めるとともに、開示資料のより一層の工夫にも取り組んでいきます。
このほか、自己株式の取得についても、LTVや手元流動性に関する財務方針を堅持しつつ、持続的な成長に向けた投資機会やNAVディスカウントの水準などを考慮しながら機動的に実行していきます。直近では、2021年11月および2022年8月の取締役会決議に基づき、合計1.4兆円の自己株式の取得を行いました。2019年3月期以降の自己株式の取得額は合計4.5兆円(直近の1.4兆円を含む)にも上ります。