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SVF:マネジメントメッセージ—ソフトバンクグループレポート 2023

世代を超えるAIの成長に投資

Co-CEO, SB Investment Advisers

ラジーブ・ミスラ

この1年、マクロ環境はボラティリティの高い状況が続きました。大規模な資金が市場に流入した2021年度に対し、2022年度は、地政学、規制、金融政策などが大きく動く中で、世界中の投資家がより保守的な舵取りを迫られた年でした。

難しい市場環境の一方で、2022年度はAIの普及にとって大きな転換点となりました。生成AIが物語を書き、ジョークを言い、オリジナルのアートを創る姿は、世界中の人たちを魅了し、喜ばれています。OpenAIのChatGPTは、わずか2カ月でユニークユーザーが1億人に達し、見たこともないようなスピードで普及しました。TikTokとInstagramが同じレベルになるまで、それぞれ9カ月と28カ月かかったことを考えると、今やAIがメインストリームとなったことは疑いようがありません。

生成AIを新しいアプリケーションに活用している投資先もありますが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは多様性に満ちた投資プラットフォームで、これまでもAIテクノロジーのあらゆるスタックに投資してきました。AIのユースケースの幅がますます広がる中で、われわれは投資対象を3レベルに分けて考えています。1つ目は基礎レイヤー。チップの開発を通じて、次世代コンピューティングに必要な処理能力を擁するAIアーキテクチャーを開発する企業です。2つ目はアプリケーションレイヤー。AIがB2Bに広く普及するために不可欠なデジタルインフラです。3つ目がサービスレイヤー。デジタルヘルスから金融サービスまで多岐にわたる分野での、ユーザーが新製品やサービスに直接アクセスするためのテクノロジーのインターフェースです。

これらの技術が浸透するにつれ、既存の産業は変革を余儀なくされ、全く新しいものに生まれ変わっていくことでしょう。AIは2030年までに15.7兆米ドルの経済成長をもたらすとのPwCのレポート※1があります。また2025年には、世界のデータ量は10年前から10倍以上増えているとの予想もあります※2

より多くのデータが利用できるようになれば、AIがもたらす影響はますます大きくなり、エンタープライズテクノロジーのあり方をも変えていくことになるでしょう。ヘルステック分野では、AIによって革命的ともいえる変化がもたらされており、潜在的な薬剤分子の探索のスピードが最大1,000倍も速くなりました。

ソフトバンクグループは、40年以上にわたって、大きな技術革新に先んじて投資を行ってきました。AIへのグロースキャピタル提供でも、2016年にアームを買収、2017年にソフトバンク・ビジョン・ファンド1を立ち上げて、いち早く大規模投資を行ってきました。生成AIは過大評価されているとの批判もありますが、アマラの法則※3を思い出してください。AIは市場サイクルを超越する、世代をまたがっていくテクノロジーです。デジタル変革の波は止まりません。AIはそれを先導していく存在です。2022年という年は、グローバル投資にとって困難だった年として記憶に刻まれることでしょう。しかしながら、われわれのポートフォリオはAI革命への確固たる確信に基づいて作られています。このテクノロジーの秘める可能性が現実のものとなったとき、われわれの投資先は必ずやその恩恵を受けることになる。私はそう確信しているのです。

私個人の役割は、SB Investment AdvisersのCEOとして、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1のパフォーマンスと資金化に注力することに変わりました。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2とソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの日々の管理はエグゼクティブ・コミッティーのメンバーに引き継ぎましたが、私は引き続き当社に強くコミットしています。ソフトバンクグループとファンドのリミテッド・パートナーに貢献し、投資目標の達成に向け、引き続き尽力していきます。

  1. PwC「Sizing the prize, PwC’s Global Artificial Intelligence Study: Exploiting the AI Revolution」

  2. Statista「Volume of data/information created, captured, copied, and consumed worldwide from 2010 to 2020, with forecasts from 2021 to 2025」

  3. 米国未来研究所所長ロイ・アマラ氏は「新技術は短期的には過大評価され、長期的には過小評価される」と提唱しました。

  • 本ページにおける情報は2023年7月27日現在のものです。

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