株主・投資家情報(IR)
SVF:マネジメントメッセージ—ソフトバンクグループレポート 2024
柔軟性とレジリエンスで
不確実性の時代を生き抜く
(左から)
SoftBank Investment Advisers, Co-CEO
ラジーブ・ミスラ
SoftBank Investment Advisers, Co-CEO
SoftBank Global Advisers, CEO
アレックス・クラベル
ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、早くから、AIの牽引役として他を圧倒してきました。2023年は、未公開・公開いずれの市場でも不確実な状況が続く中、規律を保ったグローバル投資戦略を引き続き実行した年でした。米中間、ウクライナ、中東全域では地政学的緊張が続き、より激しさを増す局面もありました。インフレが経済成長に重くのしかかる中、各国の中央銀行は過去数年で最高水準の高金利を維持しました。
高金利環境はベンチャーキャピタル市場に影響を及ぼします。資金需要の旺盛なスタートアップ企業にとって高金利は資本コストの上昇を意味するからです。2023年の資金調達環境は困難を極め、特に10~12月期は未公開市場の資金調達ラウンド数と調達額は、いずれも過去6年間で最低※1となりました。
一方、明るい兆しもありました。「マグニフィセント7」と呼ばれる高パフォーマンス銘柄は、AIの無限の可能性への期待から2023年も好調な伸びを見せ、それ以外の銘柄がまちまちな値動きとなる中で、S&P500を1年間で20%以上押し上げる原動力となりました。
われわれは、AIの大きなトレンドに数年間投資し続け、その秘める成長と効率化の可能性、そして世界をより良くする力を信じてきました。最近のAIの著しい進展は、われわれの信念が正しかったことを証明しており、AIがもたらす新たなテクノロジーの夜明けが目前に迫っていることを示しています。
1990年代にインターネットが世界を変えたように、AIもこの世界を再定義していくことは疑うべくもありません。この瞬間を長く待ち望んできました。AIの真の力を見届ける日を心待ちにしています。
変動するマクロ経済環境の中、われわれは慎重にバランスをとり、厳格な財務規律を維持しながら、魅力的な投資機会が生じた際は柔軟に対応してきました。ポートフォリオの長期的な成長を確信して、2023年度はTractable、Cato Networks、TravelPerkなど、長期的に価値を創造する可能性が高いと見込んだ複数銘柄に新規に投資を行ったほか、フォローオンラウンドにも32件参加しました。
長引くボラティリティを生き抜いてもらうために水面下で行ってきた投資先支援も実を結びつつあります。2023年度、ファンド全体でのパフォーマンスは安定化し始め、投資利益は48億米ドル※2になりました。投資およびオペレーションチームは投資先経営陣と密接に連携し、資本効率に優れた成長を促しています。市場での地位を固め持続的な形で収入を成長させることに特に注力し、資本コストが高い状況下でキャッシュを厚く保てるよう取り組んできました。投資先がこの厳しい環境をうまく乗り切っている姿を見ると、彼らの持つ強いレジリエンスを改めて実感します。
投資の資金化も大きく進みました。2023年度は220億米ドル以上※3の投資回収を行い、設立来の資金化総額は680億米ドル※4を超え、グロス投下資本倍率(MOIC)は1.71倍になりました。これは、不安定な市場環境の中での大きな成果といえるでしょう。この多くはソフトバンク・ビジョン・ファンド1保有分アーム株式のエグジット※5によるものです。その後2023年9月のアームのIPOも成功裏に終わりました。
しかし、全般的にIPO 市場は依然として低調で、2024年も概ねこの状況が続くと予想されています。われわれのエクイティ・キャピタル・マーケットチームは市場環境を注視し、オペレーションチームは投資先が最適なタイミングで株式公開できるようサポートしています。レイトステージ投資先の公正価値は合計320億米ドル※4に達しており、機が熟した際には上場できる準備が整っています。IPO市場はいずれ再開するでしょう。そのときが来たら、最大限のメリットを享受できると確信しています。
市場のサイクルが繰り返すことは歴史が示す通りですが、われわれの戦略は一貫しています。それは未来を創るメガトレンドを見極めて投資すること。またこれは、財務規律への強いコミットメントによって裏打ちされています。潮目が変わろうとしている中、この投資方針と、長期的なパートナーシップを築いてくれている投資先企業の創業者たちへの確信は強まるばかりです。これまで同様、持続可能なリターンを提供することを目指しながら、2024年度に向けて楽観的な見通しを持っています。
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出典:CB Insights「State of Venture 2023 Report」。2024年1月
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ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業に計上された「SVF1、SVF2およびLatAmファンドからの投資損益」に基づきます。本項におけるその他の数値はSVF単体ベースです。外部投資家持分および税金等の控除前の数値です。
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2023年度の投資資金化合計額は、デリバティブ、配当収入および利息を含みます。アーム株式売却からの未収金を含み、支払いは2年間にわたって分割で行われる予定です。
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2024年3月末現在
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本取引は子会社株式のグループ内譲渡のため関連投資利益は連結上消去されます。
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本ページにおける情報は2024年7月29日現在のものです。
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