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社外取締役メッセージ—ソフトバンクグループレポート 2026

グローバルな知見と深い実務理解で、
意思決定の質を高める

社外取締役

ケン・シーゲル

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ソフトバンクグループの
進化を支えて

ソフトバンクグループとの関わりは、約30年前にさかのぼります。最初は1990年代後半のインターネット創成期で、最先端のビジネスモデルを日本に展開するためソフトバンクグループが米国大手インターネット企業との提携を幅広く進める中、私は外国法事務弁護士として、ヤフー日本法人やイー・トレード日本法人などの米国企業との数多くの合弁事業の立ち上げに幅広く携わりました。その後、ソフトバンクグループがアリババなどのインターネット企業との関係を拡大しながら投資領域をモバイルやAIへと広げる中、案件はよりグローバルなものになっていきました。私はさまざまな案件に関わりながら、ソフトバンクグループの進化を間近で見てきました。

その中で強く感じたソフトバンクグループのユニークな特徴は、孫さんが将来のテクノロジーのトレンドをいち早く見抜く力を持っているだけでなく、そのトレンドの先頭に立つために鍵となる企業や経営者との関係を築き、さらに、その関係を軸として、新たな成長基盤となる構造を自ら生み出そうとする点です。この特徴は、現在のAI への取り組みにも表れています。ソフトバンクグループは、AIモデルやAI チップ、AI インフラ、フィジカルAI など、AI における重要技術への投資を進めています。こうした投資は、独立した案件として有望な企業に出資し、その成長を待つものではなく、AI 時代の成長機会を複数の領域からとらえ、シナジーによる将来の価値創造につなげようとするものです。

このような潮流を踏まえ、取締役会における議論の重点も変わってきました。いま重要なのは、個々の投資案件について、財務的な健全性だけでなく、それがソフトバンクグループの戦略の方向性やエコシステムにどう適合し、資産価値の長期的な向上につながるのかという観点から検討することです。その上で、案件ごとの条件やリスクについても議論を行います。特に近年は、大規模な戦略的投資が増えており、会社全体の大きな方向性の中で技術、人材、パートナーシップをどのように組み込んでいくかを考える必要があります。また、法律や技術に関する論点も一層複雑化しています。

取締役会の運営と
ガバナンスの実効性

ソフトバンクグループの取締役会は、ベンチャー投資、企業経営、法律・ガバナンス、AI など、会社にとって重要なバックグラウンドを持つ取締役で構成されており、意思決定にあたっては、それぞれの知見を踏まえた意見が交わされ、オープンで建設的な議論が行われています。

また、取締役会において十分に適切な議論が行われるための配慮がなされています。ソフトバンクグループの動きは非常に速く、また多くの技術領域にまたがる膨大な取り組みがあるため、取締役会に対してすべてを事前に説明するのは容易ではありませんが、私自身は非常によく説明を受けていると感じています。社外取締役を含めた取締役に対しては、議案への理解を深めるため、取締役会に先立ってミーティングが設けられており、われわれは、投資対象や周辺の論点への理解を深めた上で、取締役会での議論に臨むことができています。さらに、取締役会後は、フランクな場で、孫さんから向こう3~6カ月程度の間に想定される戦略上の機会や取り組みについての説明を受けます。こうして、社外取締役も会社の投資と執行における本質的な機会、また必要に応じて課題について理解をした上で、意思決定に臨めています。

OpenAI への投資については非常に大規模なものですが、取締役会は強く支持しています。ソフトバンクグループは、同社への投資は単なる持分取得ではなく、AI エコシステムの中で重要な関係を築く機会と捉えており、一連の投資を通じて同社との関係性は非常に多面的かつ深いものになっています。取締役会としても、今後のAI の発展を考える上でOpenAI は市場のリーダー的位置を占める会社であり、この重要な局面で投資を通じて同社との関係を維持し続けることが必要だと判断しています。また、ソフトバンクグループはこれまでは米国Yahoo!、アリババ、Arm など多くの投資で成功を収めてきましたが、そのような投資先とも、市場における位置付けなど、共通する特徴があると思います。財務規律を維持できる道筋が示されていることを前提に、NAV の成長を実現する上でOpenAI への投資は会社の資源の適切な使い方だと判断し、意思決定しています。

一方、局面や案件によって、特に慎重な議論が行われる場合があります。そのような例の一つが、2023年のArm のIPO 前に行われた、SVF1が保有する同社持分の取得を巡る議論です。IPO に際し、同ファンドが保有する持分を売り出し、グループとして希薄化を受け入れる選択肢もある中、取締役会にはソフトバンクグループが同ファンドの持分を取得してIPO 後もグループとしての持分を維持する議案が提出されました。これに対し、私を含む複数の取締役から、ソフトバンクグループとしてArm に対し追加で投資を行うことが本当に妥当なのか、単一アセットへのコミットメントとして過大ではないかといった意見が出ました。しかし議論を重ねた結果、Armをソフトバンクグループの戦略の中核企業として位置付ける方針の下、取得を行う意思決定に至りました。その後Arm は上場し、非常に優れたパフォーマンスを示しているのはご存じの通りです。また、持分を維持したことで、AI 戦略の中核としてArm を活用していく上での戦略的な選択肢も広がりました。結果として、当時の判断は、戦略・財務の両面において妥当だったと思います。

複雑な案件を読み解き、
意思決定を支える

私が社外取締役に就任した2021年以降は、ソフトバンクグループが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドを中心とした純投資から、戦略的な投資へと軸足を移してきたフェーズでした。私はこれまで、M&A を専門とする弁護士として数多くの複雑な案件に関わり、ストラクチャーの設計やリスクの検討を行い、案件を確実な実行へとつなげてきました。取締役会においても、そうした実務経験を踏まえて議論に参加しています。

特に、案件の条件やストラクチャーは、単なる契約上の論点にとどまりません。なぜそのストラクチャーなのか、その条件によってどのようなリスクが生じうるのか、またそれらの条件がどのような機会や課題に対応しようとしているのか、を理解することが重要です。そして、これらを常にソフトバンクグループの中長期的な目標達成に向けた、より大きな文脈の中で捉える必要があります。例えば、Ampereの買収においては、同社の中核となる技術陣を維持した上で、ソフトバンクグループの半導体関連の取り組みと緊密に連携して開発が継続できるよう特別な配慮を行いましたが、これはグループの価値創造を推進する上で不可欠なものでした。

孫さんが描くASIのビジョンは、AIモデルだけでなく、AIチップ、AIインフラ、フィジカルAIなどの複数領域にまたがる壮大な構想ですが、未知の部分も大きい分野です。成長機会を追求する一方で、投資における規律を確保することが重要です。ソフトバンクグループが取り組む複雑な案件も、こうした考え方に基づいて捉える必要があり、それが株主価値の長期的な最大化に貢献するものと考えています。

実態を深く理解し、
独立した視点で助言する

私の選任について、所属する法律事務所とソフトバンクグループとの関係を踏まえ、社外取締役としての独立性について懸念を示す見方があることは理解しています。一方、ソフトバンクグループ特有のスピード感や事業規模を踏まえると、案件を深く理解する人間が取締役として関与することは、取締役会における意思決定の実効性を高める側面があると考えています。私は、ソフトバンクグループのグローバルな投資案件の多くに関与してきた法律事務所の代表として、案件の背景や論点を深く理解していると同時に、社外取締役として、経営陣とは一定の距離を保ちながら、株主全体の利益と企業価値向上を重視し、外部の視点から意見を述べることができる立場にあります。これは、数多くの案件に対する深い理解を背景に、経営陣との信頼関係がしっかりと築かれているからこそ可能なことでもあります。また私は、ほかの社外取締役の求めに応じて、案件がどこまで進んでいるのか、どのような論点があるのか、などの点を個別に補足することもあり、取締役会での議論の前提となる理解に貢献することもできていると思います。

ソフトバンクグループは、孫さんの卓越した洞察力とスピード、そしてほかに類を見ないグローバルなネットワークを原動力とする、世界的に見ても稀有な会社です。このような強みが最大限に発揮されることは、ステークホルダーの皆様が期待していることでもあると思います。取締役会は、ソフトバンクグループが、この期待に応えながらも、適切かつ慎重に経営されるよう、保守的な視点を持って経営の監督を行っています。ソフトバンクグループの社外取締役であることは簡単なことではありませんが、この点において私自身も大いに貢献していきたいと思っています。

  • ケン・シーゲル氏は、モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所のマネージングパートナーおよびMorrison & Foerster LLPのBoard Director, Member of Executive Committeeを兼務しており、ソフトバンクグループは同法律事務所との間に法務アドバイス業務等の取引があります。ソフトバンクグループは、同法律事務所との間の取引の有無にかかわらず、同法律事務所に対する今後の報酬額が未定であることから、独立役員としての届出は行っていません。

  • 本ページにおける情報は2026年7月27日現在のものです。

  • 本ページにおける社名または略称はこちらよりご確認ください。

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