2025年度の総括―大型投資の実行と財務規律の両立
2025年度は、グローバル規模で本格的なAIへのシフトが始まった年でした。AIの進化とともに、その中核を担う企業群が大きく成長する中で、われわれを含む各社が、どの企業と連携し、どのような枠組みを築いていくのか、最初の大きな選択を迫られた年でもありました。
そのような中ソフトバンクグループは、OpenAIへの大型投資をはじめ、AIチップ、AIインフラ、フィジカルAIなどのAIの各領域で、重要な投資を着実に進めることができました。この背景には、われわれの保有資産の成長と、支えていただいている金融機関・投資家の皆様との強固な信頼関係があります。CFOとして、大きな手応えを感じた1年となりました。
業績総括
投資持株会社であるソフトバンクグループにとって重要な指標であるNAVは、ArmとOpenAIが牽引した結果、2026年3月末時点で40.1兆円と過去最高を更新しました。また、安全性を測る指標であるLTVは前年度末から1ポイント低下し17.0%、手元流動性は同0.2兆円増加し3.5兆円となりました。大型投資を進めながらも財務安全性が改善したことは、2025年度の大きな成果です。
また、親会社の所有者に帰属する純利益は5.0兆円と過去最高となり、日本企業として史上最高益を更新しました。この結果は、投資家の皆様にもポジティブに受け止めていただけるものと思います。一方で、われわれは投資持株会社であり、会計上の利益に一喜一憂することは必ずしも適切ではありません。重要なのは、現在の投資が5年後、10年後のNAVの成長にどうつながっていくかです。今回の結果も、その長期的な成長曲線における一つの通過点としてご評価いただきたいと考えています。
投資持株会社であるソフトバンクグループにとって重要な指標であるNAVは、ArmとOpenAIが牽引した結果、2026年3月末時点で40.1兆円と過去最高を更新しました。また、安全性を測る指標であるLTVは前年度末から1ポイント低下し17.0%、手元流動性は同0.2兆円増加し3.5兆円となりました。大型投資を進めながらも財務安全性が改善したことは、2025年度の大きな成果です。
また、親会社の所有者に帰属する純利益は5.0兆円と過去最高となり、日本企業として史上最高益を更新しました。この結果は、投資家の皆様にもポジティブに受け止めていただけるものと思います。一方で、われわれは投資持株会社であり、会計上の利益に一喜一憂することは必ずしも適切ではありません。重要なのは、現在の投資が5年後、10年後のNAVの成長にどうつながっていくかです。今回の結果も、その長期的な成長曲線における一つの通過点としてご評価いただきたいと考えています。
PayPayの上場
2026年3月、PayPayがNasdaq Global Select Marketに上場を果たしました。われわれの保有資産の価値は、数多くの投資先の成長に支えられていますが、その中でもPayPayは、ゼロから立ち上げ、2兆円に迫る時価総額の上場会社へと孵化させることができた、意義深い事例です。CEOである孫さんの起業家精神の下グループ中から意欲ある人材が結集し、新たな事業を立ち上げ成功させるというのは、過去から脈々と続くソフトバンクグループのDNAを象徴する案件でもあります。今後は、日本で築いた強固な事業基盤のグローバル展開に加え、さまざまな金融サービスの提供を通じて、さらに魅力的な企業へと成長することを期待しています。
2025年度の投資・調達実績
2025年度は、OpenAIへの追加出資とAmpereの買収など合計440億米ドルの投資を行いました。また、このためのファイナンスとして、合計150億米ドルのブリッジローン※2を組成したほか、保有株式の売却や社債の発行を通じて合計496億米ドルを新たに調達しました。投資と調達のいずれも大規模なものとなりましたが、その舵取りが特別に難しかったとは感じていません。われわれのNAVの水準から見て、十分安全なレベルのレバレッジしかかけていないからです。
安全なレバレッジを常に追求する中で、その安全の範囲がどこまでなのかを見極めるのがわれわれの仕事です。われわれが安全なレバレッジと判断できれば、レンダーである金融機関や社債投資家の皆様とも同じ目線で調達案件に向き合うことができます。2025年度に取り組んだ案件は、そのような皆様から見ても安全な範囲で運営することができたと評価しています。
大型投資案件における資金調達の考え方
われわれは常に手元流動性を厚めに用意し機動的に投資案件に対応できる体制を整えていますが、保有資産の最適な売却時期が新規投資のタイミングと重なるとは限りません。そのため、大型投資案件においては、まず一定期間のブリッジファシリティ契約を金融機関と締結し、その期間内に最適なテイクアウト・ファイナンスを準備していくことが、最も合理的な手法だと考えます。この考え方は主要な取引先金融機関の皆様とも共有しています。一部の銀行団との間では、投資案件の検討開始段階からそのファイナンスに関する初期的なスタディを始めるため、案件発表の段階ではすでに枠組みが決まっていて、ドローダウンまでは事務的な手続きを残すのみとなります。このような、日頃からの丁寧な対話の積み重ねが、大型案件における機動的な資金調達を可能にしているのです。
このような信頼関係の土台は、ソフトバンクグループが、財務方針を堅持・順守する姿勢を示し続けてきたことにあります。われわれの財務方針は「LTVを通常時は25%(異常時でも上限35%)で運用」し、「少なくとも2年分の社債償還資金の手元流動性を保持」するという、非常にシンプルなものです。われわれの社債に投資いただいている個人投資家の皆様をはじめ、さまざまなステークホルダーにとって、財務方針は分かりやすいことが大事です。同時に、この方針は、実質的なバランスシートの余力と、さまざまなファイナンスの返済に対応するキャッシュという両面を押さえたものであり、金融機関の皆様からのわれわれの財務マネジメントへの評価につながっています。私としては、大型のファイナンスが実行できていることになんら不思議はないのです。
財務方針に基づく投資判断とリスク対応
ソフトバンクグループは、投資について予算を組む会社ではありません。いつ、どのような投資案件が発生してもおかしくない中で、どの規模の投資までなら許容できるのか、その判断の基準となるのが財務方針です。財務方針の範囲内で安全性を確保できる案件であれば、われわれにとっては「グリーンライト」、すなわち投資機会を逃さず機動的に実行可能です。財務方針が守られていれば、われわれの保有資産には十分な余力がある状態のため、金融機関とは即座に調達ファイナンスの検討に入ることができます。このため、投資案件というのは、発表時にはすでにグリーンライトと確認できているのです。LTVが財務方針で定めた水準を超えるような案件については、当然ながら特別な議論が必要です。
われわれのクレジットはNAVの成長に支えられています。NAVが成長すれば、より一層攻めの経営ができますが、NAVは市場環境に左右される部分も大きく、必ずしもすべてをコントロールできるものではありません。その一方で、LTVはわれわれが主体的にコントロールできる指標です。市場環境が悪化した場合でも、投資活動をコントロールすることで財務の安全性を維持するとともに、それをステークホルダーに透明性高く示し続けることが大事だと思っています。
外部環境によってLTVの悪化懸念が出てきた場合は、分子の純負債の相対的な増加を抑える対応を検討します。LTV改善の方法としては、資産の売却やアセットバック・ファイナンスの実施などによる保有資産の資金化のほか、ハイブリッド調達による一定の資本性を有する資金の確保など複数あります。特に保有資産については、自己勘定で投資を行う投資持株会社として、保有を継続するか、あるいは資金化するかを常に検討しています。外部環境の変化を想定し、あらかじめ対応策を準備しておくことが、機動的な財務運営につながっています。
2026年度の投資と財務方針
2026年度においても財務方針に変更はなく、財務安全性を堅持していきます。一方、大型投資への対応は引き続き重要なテーマです。公表済みの主な案件としては、OpenAIへの300億米ドルの追加出資があります。このうち200億米ドルは4月と7月の2回に分けて実行済みであり、残り100億米ドルは2026年10月に払い込みを予定しています※4。加えて、ABBのロボティクス事業の54億米ドルでの買収、DigitalBridgeの31億米ドルでの買収も、年内に完了する予定です。
ブリッジローンとテイクアウト・ファイナンス
これらの投資に対応するため、2026年3月に400億米ドルの超大型ブリッジローンを組成しました。上記のOpenAIへの追加出資に伴い200億米ドルをドローダウン済みであり、残りの払い込みに併せて2026年10月に100億米ドルの借入を予定しています。このブリッジローンは、満期となる2027年3月までに、さまざまなテイクアウト・ファイナンスを組み合わせて、返済を進めていきます。
テイクアウト・ファイナンスの大部分については、保有資産を活用したアセットバック・ファイナンスを中心に検討します。Armやソフトバンクなどの上場株式に加え、われわれのOpenAI持分を活用することで、十分な調達が可能だと考えます。保有資産の売却も選択肢となりますが、売却は、その資産の将来のアップサイドを手放すことでもあります。そのため、条件が整う限り、アセットバック・ファイナンスを優先的に検討すべきです。とはいえ、安全性を高める観点から、一定の資産を売却して資金化する可能性もあります。また同時に、われわれの現在の財務安全性には十分な余力があることから、ローンファシリティの設定や社債の発行などもテイクアウト・ファイナンスの重要な選択肢になります。社債については、国内外の市場を十分に活用し、ベストミックスで調達を実行していきます。
財務リスクを抑制しながら、成長投資を継続
電力やデータセンターなどのAIインフラ投資案件においては、プロジェクトファイナンスによる負債調達を、われわれのLTVに影響しないノンリコース・ファイナンスとして追求します。レンダーの皆様に安心してご参画いただけるストラクチャーの構築には相応の努力が必要ですが、事業からのキャッシュ・フローにより余力をもって負債を返済していけるストラクチャーを構築していきます。この場合、ソフトバンクグループが負う財務リスクは原則としてエクイティ出資分にとどまります。また、DigitalBridgeについても、買収後に同社の投資先のバランスシートや負債がそのままソフトバンクグループのクレジットに影響を及ぼすものではありません。
2026年度は金利コストの上昇も見込んでいます。ただし投資持株会社にとって資金調達は、いわば投資のための仕入れです。負債調達によって発生する金利コストは、その調達資金を投じた資産の成長によるエクイティリターンで回収していくというのが、われわれの基本的な考え方です。これまでも、アリババやArmなどへの投資においては、負債調達のコストをはるかに上回るエクイティIRRを実現してきました。今後の投資回収についても強い自信を持っています。金利コストが上昇したとしても、われわれのビジネスモデルに大きな影響を与えるものではなく、財務方針を堅持しながら必要な投資を行っていく姿勢に変わりはありません。
さまざまな分野でのAIの浸透を背景に、われわれを取り巻く環境変化のスピードは一段と速まっています。だからこそ、財務戦略の基本的な考え方を堅持しながら、これまで以上のスピードで必要なアクションを取れる体制を整えていくことが重要です。投資面では、経営とシンクロしながら市場変動に即応し、投資機会を逃さない機動性を維持します。また調達面では、多様な手法を活用して必要な投資資金を確保します。安全性については、最適レバレッジの追求とLTVの徹底管理を継続します。今後も、成長機会を確実に捉える機動性と、ステークホルダーの皆様に安心していただける財務安全性を両立しながら、ソフトバンクグループのNAVの最大化を目指していきます。
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