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トップメッセージ—ソフトバンクグループレポート 2026

ASIの4つの重点領域を制し、
世界No.1プラットフォーマーへ

ソフトバンクグループ(株)
代表取締役 会長兼社長執行役員

孫 正義

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AIは超知性へ

AIの進化は本当にすごいですね。私自身、毎日「ChatGPT」に何度も問いかけ、アイデアの壁打ちをし、社員たちとの議論を深掘りする上でも活用しています。しかし、AIの進化は、こうした会話にとどまるものではありません。今や、自ら考え、自ら行動を起こすAIエージェントへと進化しており、ゴールさえ共有すれば、そこに向かって不眠不休で働き続けてくれます。

さらにその先には、AIが人間の知能をはるかに超えるASI(Artificial Superintelligence)時代がやってきます。知能が高いだけではなく、人々の幸せのために人間の理性や道徳と調和しながら人類の進化を支える知性です。ですから、「超知能」ではなく「超知性」と言うべきでしょう。私たちは、このASIのNo.1プラットフォーマーを目指しています。

人生50カ年計画を修正し、70代でASIをやり抜く

これまで何度かお話ししてきましたが、大学在学中の19歳のとき、事業家としての人生50カ年計画を立てました。20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を貯め、40代でひと勝負かけ、50代で事業を完成させ、そして60代で次の世代に事業を継承するというものです。

これまでこの50カ年計画に沿って歩んできたのですが、今68歳になり、欲が出てきました。当社の成長にもう少し役立てるのではないか。まだあと10年、15年は頑張れるのではないか。そう考え、人生50カ年計画を修正し、引き続き70代も頑張ることにしました。では、70代で何をやるのか。ASIをとことんやり抜くのです。やる以上は、一番にならないと気が済みません。日本では圧倒的一番になりたいし、ASIのプラットフォーマーとして世界一を目指します。

新30年ビジョンが現実に

人類は、この30万年ほどの歴史の中で進化を続けてきました。その過程においては、知能と実行力こそが人類の強みであると同時に制約でもありました。人類がASIを最大限に活用することで、その上限を乗り越え、さらに進化していくことができるようになります。

創業30年の節目を迎えた2010年に発表した「ソフトバンク 新30年ビジョン」(以下「新30年ビジョン」)では、脳のように自ら学び、考えるコンピューターが生まれ、それがロボットにつながっていく未来を描きました。当時「脳型コンピューター」と表現したものは、まさに今で言うASIにほかなりません。AIが人間を超える知性へと進化し、その知性がロボットという身体を持って現実世界で動き出す。新30年ビジョンで描いた未来が、今、目の前で現実になりつつあります。

ASIは、人間を置き換えるものではなく、人間の進化のための道具であり、同僚であり、相棒であると思っています。教育分野では子どもに寄り添う先生となり、研究分野では勤勉で有能な助手となり、医療分野では患者一人ひとりに寄り添い、治療を助け、相談に乗ってくれます。そして、ASIがロボットにつながることで、知能が身体を持つフィジカルAIとなり、現実の世界で自ら動き、働き、実行する存在になります。宇宙や海中、災害現場のように人間による作業が困難な現場でも、製造、建設、農業の現場でも、この知的ロボットが人間を助けてくれるようになります。

ASI実現に不可欠な四隅を押さえる

こうした未来を実現するためには、ASIの知能そのものを生み出すAIモデルと、それを動かすための膨大な計算処理を担う半導体、さらにそれらを集積・稼働させるAIインフラ、そしてAIを現実世界で働かせるロボットが不可欠です。私たちはこの4つを重点領域と位置付け、それぞれの領域でNo.1 ポジションを築きつつあります。

知能を司るAIモデル領域の重要なパートナーは、「ChatGPT」を生み出したOpenAIです。そのプロダクトは、会話から、画像生成、動画生成、コーディング、サイバーセキュリティーへと急速に領域を広げてきました。

半導体領域では、Armがますます重要になっています。会話や画像・動画生成といったAI進化の第1段階では、並列計算に強いGPUが大きな役割を果たしてきましたが、AIエージェントが活躍する第2段階では、複雑な処理を支え、システム全体を動かすCPUの重要性が高まっています。そのCPUの中核技術であるIP(Intellectual Property:半導体設計上の知的財産)で圧倒的な強みを持つのがArmです。さらに、IPを提供する会社から、チップそのものを開発・販売する会社へと進化し始めています※1

AIインフラ領域の中核となるのが、データセンターと電力です。大量の半導体を内蔵するサーバーを大規模かつ安定的に稼働させるには、巨大なAIデータセンターとそれを動かし続けるための膨大な電力供給が求められます。そのため、今年3月、米国オハイオ州で10GW規模の発電設備と10GW規模のAIデータセンターを同一サイトで開発する官民連携プロジェクトを発表しました※2。また、5月にはフランスで5GW規模のAIデータセンターを開発・運営することも発表しました※3

ロボット領域についても着々と準備を続けています。各分野で高い専門性を持つロボット関連企業を数多く傘下に持ち、昨年10月には産業用ロボティクス分野におけるグローバルリーダーであるABBのロボティクス事業を買収することも発表しました※4。ロボットにASIという頭脳が加われば、自ら考え、判断し、協力しながら働く存在へと進化していきます。

オセロでは、序盤の石の数だけでは勝負は決まりません。中盤戦で四隅の角を押さえれば、中の石が一気にひっくり返ります。この4つの重点領域という四隅を押さえつつあることが、ASIのNo.1プラットフォーマーを目指す上での大きな強みになります。

2042年にNAV1,000兆円を目指す

ソフトバンクグループは、戦略的持株会社です。Armやソフトバンクといった子会社のほか、OpenAIやByteDanceといった投資先の株式を保有しています。これらの保有株式の価値から純有利子負債を差し引いたNAV(Net Asset Value)は、現在74兆円(2026年6月23日現在*5)に達しています。これはソフトバンクグループの時価総額37兆円(同)の2倍に当たります。つまり、株価には保有株式の価値がまだ十分に反映されていないのです。

以前、ソフトバンクグループを金の卵を産むガチョウに例えてお話ししたことがあります。金の卵一つを1兆円と考えると、16年前、2010年のNAVは3兆円、つまり金の卵3個分でした。それが2026年までの16年間で74兆円、金の卵74個分へと増えました。

  • ※ 各四半期末時点のNAV(税金考慮前、アセットバック・ファイナンス控除後)の推移を示しています。ただし、1999年3月末以前は時価総額、1999年6月末以降はNAVです。1994年の2,000億円は、株式公開後の1994年9月末時点の時価総額です。2010年の3兆円 は、「新30年ビジョン」発表前の2010年3月末時点のNAVです。倍率は本グラフに記載の概数を基に算出しました。

卵は卵を産みません。卵を産むのはガチョウです。ソフトバンクグループは、時代とともに変化する情報革命の中心的なテクノロジーを見極め、そこに集中してきました。そして、独自の組織戦略である「群戦略」によってシナジーを生み出しながら、さまざまなグループ企業や投資先を成長させてきました。つまり金の卵を増やし続けてきたソフトバンクグループというガチョウそのものに、今見えている卵の数以上の価値があるということです。

新30年ビジョンの折り返しを過ぎた今、ここから先の16年間で、もう一度、大きな挑戦をしたいと思います。NAVは1994年から2010年までの16年間で15倍、そして2010年から2026年までの16年間で25倍に成長しました。ここから同じ16年間で、2042年にNAV1,000兆円を目指します(グラフ参照)。今見えている金の卵を積み上げるだけで実現できるものではありません。4つの重点領域という四隅を押さえながら、「群戦略」を通じて将来の金の卵となる事業や投資先を育み続けることで、このビッグビジョンの達成に向かっていきます。

  • ※5 2026年6月23日時点のNAV:2026年3月末のNAVを基に次の調整を加えて算出しています。株価:Arm、ソフトバンク、Tモバイル、Intelは2026年6月23日終値。為替:1ドル= 161.63円(2026年6月23日時点)

AI革命はまだ始まったばかり

AIについては、バブルではないかと言われることもあります。しかし、私はまったくそう思っていません。むしろ、まだ始まったばかりです。今のAIの進化は、インターネットが世の中に広がり始めた初期の段階に似ています。当時も「一時的な流行ではないか」「過大評価ではないか」と言われました。しかしその後、Amazon、Google、Microsoftをはじめとするテック企業が大きく成長し、世界の産業構造そのものを変えていきました。

もし当時に戻れるなら、誰もがこれらの企業に投資したいと思うはずです。今、AIで同じことが起きようとしています。AIは一つの技術にとどまらず、あらゆる産業を変え、人間の知能と実行力の可能性を飛躍的に広げていきます。その変化は、インターネットやスマートフォンを超えるかもしれません。

だからこそ、今勝負しなければなりません。将来振り返ったときに、「あの時がASI時代の始まりだった」と言われるかもしれません。その時代の中心に立つために、未来を見据え、今行動する。それが、私たちの姿勢です。

人々の幸せのために

ただ、私たちが目指しているのは、単に会社の価値を大きくすることではありません。「情報革命で人々を幸せに」という創業以来の経営理念を、ASIの時代において、さらに大きな形で実現していくことです。

ASIが人間の知能の限界を押し広げ、フィジカルAIは活動の範囲を劇的に広げていきます。教育を受ける機会が広がり、医療の質が高まり、人間は危険な仕事や過酷な作業から解放され、新しい発明や産業が生まれていきます。ASIが正しく使われれば、人類はもっと豊かに、もっと自由に、もっと幸せになれるはずです。

だからこそ、ASIは、超知能ではなく超知性でなければならないのです。高い知能だけではなく、人々の幸せを願い、人間の理性や道徳と調和する知性を社会の基盤として広げていくことこそ、私たちが挑むべき使命です。

2年半前、父の最期を看取りました。そのとき父が遺した「虎は死して皮を残す。人は死して名を残す」という言葉を、今でも折に触れて思い出します。私が幼いころ、父は仕事から帰ってきて、酒を飲みながら私を膝の上に乗せて「お前は金のための人生を生きるなよ。人を幸せにするために生きるんだぞ」と話してくれました。NAV1,000兆円を目指しますが、決して金を追い求めているわけではありません。そんなことをしたら、父に怒られます。目指しているのは、より多くの人々の幸せに貢献することです。

私たちは、ASIのNo.1プラットフォーマーへの進化を通じて、人間の知能と実行力を拡張し、人類の可能性を広げていきます。そうして一人でも多くの人に幸せになってもらうことこそ、私たちが目指す「情報革命で人々を幸せに」の実現です。

2026年6月24日
ソフトバンクグループ株式会社
代表取締役 会長兼社長執行役員
孫 正義

  • 本ページにおける情報は2026年7月27日現在のものです。

  • 本ページにおける社名または略称はこちらよりご確認ください。

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