株主・投資家情報(IR)

チーフ・リスク・オフィサー(CRO)メッセージ
—ソフトバンクグループレポート 2025

ASI実現に向け、
不確実な環境に備える

ソフトバンクグループ(株)
CRO
リスク管理室長

市村 清

Q1.この1年間の国際情勢の変化を受け、特に注視しているリスクはありますか?

2024年度はAI 技術の進化が加速した一方で、国際情勢の不透明さがさらに増した一年でした。ロシアによるウクライナ侵攻や中東問題、米中対立など、国際情勢の悪化が進む中、各国では経済安全保障を背景とした輸出規制や関税制度など、政策を変更する動きも見られます。当社は、グローバルに投資活動を展開していますし、投資先はさまざまな国・地域で事業を行っているため、こうした国際情勢や法規制の影響を受けやすい立場にあります。例えば、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先は現在400社を超えており、地政学リスクの高まりは、これらの投資先の成長性や収益性、エグジット機会に大きな影響を与える可能性があります。また、アームは収益の一定部分を中国から得ていますので、各国の対中輸出管理や貿易制裁、関税措置などにより業績が悪化する可能性があります。

このような背景を踏まえ、リスク管理室では、当社の投資活動に影響しうる投資規制や、半導体の対中輸出規制、米国をはじめとした各国の制裁・規制対象リストの動向について、国内外の政策渉外チームと定期的にコミュニケーションをとりながら情報を収集し、状況をフォローしています。また、重要な子会社とこれらのリスクやその影響について議論を行い、グループ全体でリスクの早期把握に努めています。

Q2.ASI 実現に向けた投資の進展に伴うリスクと、その対応方針を教えてください。

この一年でAI 開発は大きく発展し、競争環境も激化しました。このような状況の中で、当社はASI 実現に向け、投資を加速させています。多くの方の印象に残っているのは、OpenAIのためのAIインフラストラクチャーを米国内で構築するStargate Projectなど、2025年に入ってから発表した新たな取り組みかもしれません。しかし、それ以外にも当社はさまざまな分野への投資を行ってきました。例えば、AIを活用して日本の医療のさらなる進歩に貢献するSB TEMPUSの設立、米国で太陽光発電所の建設および運営を手掛けるSBE Globalの子会社化、さらに、ロボティクス、自動倉庫、自動運転関連の企業への投資も進めてきました。戦略的投資持株会社である当社のポートフォリオが拡大したといえるかと思います。

リスク管理室では、これらの投資先の事業状況や、当社による投資額および今後の支払予定額を把握するとともに、各社の事業の進捗や課題に関する情報を収集し、経営陣へ報告する体制を整備しています。当社は、2025年度も積極的な投資スタンスを継続する方針です。OpenAIへの追加出資をはじめ、今後の投資規模はここ数年と比べて大きくなる見込みですので、財務面だけでなく、AI技術の進歩や競争環境の変化、規制強化など、あらゆるリスク要因を早期に把握することが重要です。リスク管理室は、事業部門から独立した立場で、さまざまな角度からリスクを検証し、ASIの実現に向けた取り組みを引き続きサポートしていきます。

  • 本ページにおける情報は2025年7月28日現在のものです。

  • 本ページにおける社名または略称はこちらよりご確認ください。

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